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電子書籍
分からない
2019/11/30 19:46
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:漣 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は小説として、真っ当になりたっています。
それ故、読後に私は自身のメンタルが瓦解しそうになりました。
崇は、この物語に登場してあまり間がないタイミングで、自身の住むマンションのベランダから飛び降りて死ぬまでの数秒と数十年後に死ぬことに何が違うのかと、自問する箇所があります。私はその描写が、読み進めていく間、ずっと通奏低音の様に流れ続けました。
崇の父親が鬱病として描かれていますが、私自身が躁鬱を患っていますので、筆者がよく調べて書き記しているのが、分かりました。
崇は決壊を起こしましたが、取ってつければ色んな理由が該当するのでしょう。
個人の意思を、感情を一言で語ることはできません。
しかし世の中の大勢は、個人をカテゴライズしたがります。それは、未知のものを拒否し、ある場合は恐れ、ある場合は過剰に評価し、ある場合は卑下することに繋がります。崇に関わらず誰もがいろんなものが、ごちゃ混ぜになって、知らず知らずのうちに作り上げられているものです。それは、最早当人の思惑からは遠く離れた場所にあるのかもしれません。
気付いた時には、取り返しのつかない場合もあるでしょう。
私は躁鬱病を患っていると、わざわざ書きました。
同病者や鬱病の方は、この作品は余程調子の良い時でない限り手に取ることは避けた方が賢明かもしれません。
筆者の選んだ単語、その組み合わせ、構成、物語そのものの引力は相当なものです。
私は、自身がぐらついてる時に読み始めたものですから、その引力から離れることが出来ませんでした。
小説を読んで、ここまで打ちのめされたのは初めてでした。
レビューのタイトルに「分からない」と書きましたが、この言葉は、本文中に何度も出てきます。
詰まるところ、この物語が提示しているのは「分からない」ということなんだと思います。
このレビューを読んで下さった方の横にいる人のことをあなたは、どれだけ知っているでしょうか?
そして、自分のことをどれだけ知っているでしょうか?
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