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さめない悪夢の中にほうりこまれたような気持ちになる、珠玉の短編集。趣向をこらしたさまざまなジャンルの作品は、どれも甲乙つけがたいですが、中でも『五色の舟』は陰鬱でグロテスクなのに美しい物語です。
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単行本を持っているが、こちらも購入。
何度読んでも『五色の舟』が凄い。『くだん』は怪談に取り上げられることが多いモチーフだが、まさかそれをこう扱うとは。
どれを読んでも面白いのは確かだが、『微笑面・改』の気持ち悪さ、『キリノ』の文体、『YYとその身幹』のグロテスク……等々、読みどころは様々。寧ろ多すぎて困る。
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短編集。津原泰水さん独特の「ないもの」が溢れている魅力的な世界だった。「五色の舟」は一度読んでまたすぐ読み返した。戦中の見世物小屋興行の一団(家族のような絆があるけれど家族ではない)が出くわした「件」誕生。件に載れば今いる「場」と未来を変えられるという。彼らが見た未来というのはわれわれが今いる過敏で潔癖で過剰な現在よりも、未熟かもしれないけれど素晴らしい世界だと思った。
あとは「微笑面・改」が恐ろしかった。
あのエッシャーの絵の喩え、すごい。津原さんはこういう「意識」の世界(形而上というほうがしっくりくるか)を素敵に創る人だ。
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津原泰水の作品は素材(金属か岩の塊か)から削り出したような印象を受ける。けど、ゴツゴツした荒削りということではない、余計なものをそぎ落とし繊細に磨き上げたものだ。それを素手でやるものだから、作者は血まみれ……。
大森望さんは「できあがった作品にその苦労のあとをいっさい残さない」というけど、どうだろうか。本人のブログを見ていたりするからかな。
単行本でサイン入り・なしの2冊を持っているのに、また買ってしまった。近藤ようこからの熱気のせいか。あとカバーの四谷シモンさんの人形、やはりインパクトは大きい。今回ビジュアル面の衝撃から購入に至ったようだ。
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まず思ったのは、すごいの読んじゃったな、ということ。
SFのようで現実のよう、現実のようでSFのよう。
自分がどこの世界にいるのかわからなくなります。
日本なのか外国なのかも。
(著者の出身が広島だからか数回“広島”という地名は出てきますが。)
タイトルの通り、11篇の短編が収録されています。
私が特に衝撃を受けたものは、
「微笑面・改」、「手」、「クラーケン」、「YYとその身幹」の4篇。
読み終わった後の余韻が、それはもう恐ろしいです。
それに比べると「琥珀みがき」や「キリノ」、「土の枕」は安心して読めました。現実っぽい。
著者による自作解題も収録されており、それによると「テルミン嬢」は「マトリョミン」が発想の原点となってるということで、最近私の中でマトリョミンが熱かったので「お!」となりました。
「五色の舟」は漫画化もされてるってことでちょっと気になるなぁ。
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近藤版「五色の舟」がよかったので。
こちらを先に読んだらまた印象が違ったかもなので忘れたころに再読したい。
ほかは「テルミン嬢」と「土の枕」がよかった。
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読んでいて後味の苦さが残る短編集。
解説を読むと、あらゆるジャンルの小説にチャレンジしている触れ込みだが、これのせいで逆に何を伝えたいのかがよくわからない短編集だった。
しかし、前半の数作はなかなか面白かった。
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収められた11の短編どれも違った味わいだが、共通して怪しげな輝き方をする。「バレエメカニック」のときもそうだったが、描かれた世界を頭の中に想像しようとするのだが、自分の能力を作品が遥かに上回ってできないことがもどかしい。降参しようとするのだが、物語が力ずくで脳を押し広げようとする。そんな、辛いながらもなかなか体験できない1冊だった。
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怖いのと怖くないのと。SFなのか、ホラーなのか。両方なのか。まぁ、そんな区分をあえてしなくてもいいかな、と思える短編集でした。
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11の作品からなる短編集。
大好きな伊坂さんが進めていた作家さんだと思い、読んでみた。
帯にジャンルを超えたと書かれているが、
まさにそのとおりというか個人的にはノンジャンルという印象。
正直SFというイメージで読み始めてしまったためかなかなか読み進められず理解に苦しんだ。
どれもそれぞれにインパクトがあるが、
最初の「五色の舟」がなんだかんだ一番好きかもしれない。
難しさを感じずにはいられないが、
時間をかけて2,3度読むと深まっておもしろいかもなと思える一冊だった。
「バレエ・メカニック」も読んでみようと思う。
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KL 2014.8.9-2014.8.10
台風で閉じこもっていたので一気に読了。
とは言えやはり国内ものはサクサク読める。
目当てだった五色の舟はよかった。
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心の奥の混沌とした暗闇の中から何ものかを取り出して、陽の当たる場所にさらしたような、あるいは胸にあいた風穴から欠落したしたものを丁寧に掬いあげて提示したような、そんな短編集でした。フィクションをリアルな物語として捉えられるのは、誰もが心の奥底に混沌とした部分を秘め持っているからなのでしょうネ。文学のジャンルを超えた、とても味わい深い一冊でした。
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「そんな人生は(中略)「よく人からエキセントリックな性格って言われます。自分ではそういうつもりはないんですけど・・・」なんてうかつな代物を顔文字つきで世界に向けて発信する、そのアップロードの一瞬を何十年にも引き延ばしたようなもんだと思うんだ。」
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五色の舟
なんなんだこれは
不思議な読後感
延長コード
これも不思議な話。結局何が言いたいのか・・・
追ってくる少年
う〜ん
微笑面・改
これ好きかも
琥珀みがき
なんとなく好き
キリノ
これは嫌い
読み辛い
〜的アトモスフィアってなんだよ
手
これは怖い
クラーケン
なんか気持ち悪い
YYとその身幹
結局気になってしょうがないという訳か
テルミン嬢
そりゃ薬漬けは嫌だろうけれども
土の枕
最後は歴史小説
これは面白い
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幻想、SF、ホラー、文学など11話の作品を収録した短編集。
自分が今まで読んだことのない物語たちでした。短編それぞれが多種多様なジャンルをまたいでいる、というのもありますが、それに加え文章もそれぞれの短編の味を最大限に引き出すため、それぞれに工夫が加えられている、そんな風に思いました。
そうした短編たちばかりだったので初読での評価が非常に難しい、というのが正直な印象…。自分の理解の範疇を越えているように感じた短編もいくつかあって、あらためて小説の世界は広いのだな、と感じました。
そんな中印象的だったのは、異形の家族がたどり着く新たな運命を描いた「五色の舟」。幻想的かつ圧倒的な物語の力、想像力の強さを感じさせられます。これまでも、そしてこれからもこういう作品は生まれないように思います。
「微笑面・改」は自分の顔の前に常に別れた妻の顔が見えるようになった男の話。シュールなホラー形かと思いきや最後で男がたどり着いた心理は過ぎ去った過去への郷愁を感じさせます。
「琥珀みがき」はショート・ショート。ラスト一行でぐっと心がつかまれます。
脳科学と音楽をテーマにしたハードSF「テルミン嬢」は理論が難しかったものの読みごたえは十分。
そして「土の枕」も「五色の舟」に負けない唯一無二の短編であるように思います。20ページに満たない短編ながら、戦争と、戦後の時代の雄大かつ急な流れ、そしてその流れの中での人間の小ささ、そんなものを濃密に感じさせてくれる短編でした。
既存の小説で満足できない、という人にはぜひ読んでみてほしい短編集です。自分もまた時を置いて再びこの短編集は読むことになるのだろうな、と思います。
第2回twitter文学賞