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芥川賞を史上最年少で受賞したあの平野啓一郎のエッセイと聞いて手にとってみたが、期待はずれ。なるほどと思う考察もあったが、素人に毛が生えた程度。
雑誌に発表したものなのでまとまりがないのは致し方ないとしても、自作の宣伝のために文章を書いている感じがしてならない。インタビューも豊富な文学的知識を披露するが、社会を分析するにいささか思考が甘い。
この人はあまり人間観察ができない人なのだろうか。
文語体で話題をさらったあの名作からすでに二十年近く経つも、平常文でのエッセイはあまり練られていない。骨子となる「分人主義」なるものについても、個々人が分けられない個性ではなく、多様な顔をもつ、という単純な指摘のみで終わっている。
横尾忠則に対する雑感はおもしろかったが、意外と自堕落なことを書き付けている。かなりのネットオタクらしくて、足で稼いで情報を得ていないなと感じた。本で調べたらわかることを組み合わせているのみで、あまり感性のある方ではない。
最後は飽きたので読み飛ばした。対談の相手ももっとまともな人を選んでほしい。
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平野啓一郎さんの、知識の広さや、感性の多様さがわかる本。他の著書やコラムなどで読んだ内容もありましたが、様々な切り口の対談などは、とても読みやすく面白かった。まだ読んでない平野作品を読みたくなった。
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世の中をこういうふうに批評し、それが急所を突いているかもしれないと思わせる文章に出会った感じ。落ち着いてる。小説は未だだが読んでみたい。若くして逝った父親のことを書いたところは何度か読み返した。
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平野啓一郎のエッセイ集
社会論、思想論からエンターテインメント論まで、理論の納得感と博覧強記ぶりに感動しました。
以下、印象的だったところ
・教養は話題のデータベース。話題たりうるトピックが色々ある中でも、それを話題にすることでコミュニケーションが一段上等になるものが、教養だった(p.18)
・殺人事件には赦す本来の主体がいない(p.47)
・機能分化された社会では職業選択を自由化することが効率的。職業選択は義務でもある。自分のアイデンティティーに相応しい職業を選べと。自分とは何かを問うて人生の目的を考える必要が生じる(p.55)
・神秘主義・オカルティズムにおける病気治し。万人が否定しない価値、健康と幸福(p.59)
・松坂の60億円は"外貨"(p.84)
・原発と偽ソフィー問題。原発問題に関しては、ハイデッガーと逆のことを言わなければならない。すなわち、人は千年後、万年後にも生きているかのように考えなければならない(p.137)
・全体意志と一般意思。前者は特殊意志の集合(p.147)
・キャプ翼のロベルト本郷(p.158)
・PAシステムはヒトラーの演説のためにナチスが開発したとされるが、ロックコンサートはそれを言わば民主化した(p.185)
・人間は、穏やかなコミュニケーションの中では「人当たりのいい自分」をプレゼンしようとするが、危機的な状況に陥ってイライラさせられると、本音を言おうとする(p.293)
面白かったです。
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過去に発表されたエッセイと対談集。
アートやエンターテイメント、文学についてのエッセイが中心だが、元ネタが分からないので理解も中途半端。
けれど、新たなアーティストを知ったのでそれだけでも得した気分。
対談は、森達也氏とのものが特に面白かった。
ノルウェーで起きたテロ事件の話(P122)はとても考えさせられた。
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社会からアート、エンターテイメント、そして文学まで、多様性における生命力(強い影響力を持つこと)が何処に向かうのかをエッセイと対談で考察、通低するのは個人の多様性である分人です。本丸の文学についてはやや難解ではあるものの他の分野での著者の博覧強記ぶりには驚かされる。先日参加した人工知能のイベントでは暦本教授と対談もされていたので、次は人工知能関連のエッセイにも期待したいところです。
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作者の文学、アート、音楽、ファッションといった様々な分野への造詣の深さには感服せざるを得ない。自分と同い年くらいなのに圧倒的な知識の差を感じ、恥ずかしくなる。
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途中難しくてわからない箇所もあったが、平野啓一郎さんがぎゅっと詰まった一冊だと思った。横尾忠則さんとだけ、長電話をするというのもわかる気がした。