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「かにみそ」
なるほど、かにみそってここからね。
第20回日本ホラー小説大賞の優秀賞を受賞した「かにみそ」。読者賞「ウラミズ」と競り合っての受賞とのことで、更に選考委員に貴志祐介、宮部みゆき、高橋克彦、荒俣宏、って荒俣宏!?荒俣宏ってホラー小説書いてるの?とかて、でもってユニークな題名でどうやってホラーと結びつけたのか気になり手に取りました。
職を転々として今は無職の私は、朝浜辺で見つけた蟹。顔を近づけても撫でてもつついても逃げない蟹を家に持ち帰り、飼い始める。次第に興味が湧いてきた私は、新たな餌、綺麗な砂と蟹に買い与えるが、蟹はどんどん大きくなり、遂には言葉を発し始め、人を喰らうことに固執する。
蟹が話すだけでもホラーだが、あのデカイハサミと何より不気味な真っ黒な目をチラつかせながら音も立てずに綺麗に人を喰い、肉団子を放り出す。不気味この上ない。
しかし、この蟹よりもホラーなのは、20過ぎの私であるのを見逃してはならないと思います。蟹を買うために水槽にいた熱帯魚を庭土に捨て、熱帯魚が跳ねる姿を思い暗く笑う、蟹が吐き出した肉団子を家族の夜ご飯の肉団子の野菜あんかけに紛れ込ませる、蟹を連れ帰りながらも飽きたらばらばらにすればよい 等、明らかに常軌を逸しています。蟹を人喰い蟹にさせるのも私であり、蟹の最後を作るのも私。
人を殺すことを蟹で体現しているような様には、ぞくぞくさせる怖さがあり「生きることは食べること」と言い放つ蟹を見事に食べ上げ、生き生きとした衝動と感じる私には、底が見えない恐怖を抱えている様に思えます。蟹に隠れた私にあるこの怖さこそホラー。
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泣けるホラーと謳われているけれど、ホラーというか、むしろ怖いどころかなんだろうなぁ、どっか青春小説とかまたは恋愛小説を読んでいるみたいな雰囲気があって、個人的にはそっちの方のが印象として強かった。もちろん冷静に考えれば、人食い蟹(今思ったけど、これカニバリズムとかけてるのかな?)だなんて、めちゃくちゃ怖いけど、それよりも蟹の愛嬌にやられた 笑
百合の火葬の方が何か泣けるホラーというの合ってるんじゃないかなぁと。まぁ、かにみそと百合の火葬合わせての謳い文句だろうけど。
どちら共に「流星群」をきっかけに、日常に変異が表れてて、あとがきにも書いてあるようにこの「流星群」の日というのが、3.11らしいのが感慨深いような何か、考えさせられる
熱湯に飛び込んだ蟹、そして食べられちゃう蟹がやたらに切なくて、そして何だか妙にエロくて、う〜ん、だけどもしかして蟹は震災後の地震に対する慣れ、麻痺的な感覚を表してる存在であり、その妙でおかしい感覚と別れなきゃ…という、そういうメッセージがあると考えると、面白いなぁ…
短く、結構手軽に読めるので、何読もうかと悩んでる人なんかにはおすすめしたい小説
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匂い系と聞いて。確かに妖しい関係ではあるけど、蟹は“蟹”であり、時折少女に比喩されているからか、男同士のあれこれを想像する余地もなかった。お互いが食べられても良いなんて究極の何かであるのは確かなのだが。
ちょっと残念なのは色々と説明不足で雰囲気で押し進めているような。サイコパスも人の子でしたか…
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表題作、無邪気な蟹がどんどん怪物化してゆく不気味さがとてもよい。イノセントさが他者にとっての脅威になってゆくというのが、すごく皮肉で好き。そしてラスト、ずっと不気味だった蟹のイノセンスが涙を誘う。別に悪意があったわけではなくて、心のままに無邪気に生きたというだけだった。そしてそれが心底邪悪な行動だったんだよなー。
食べることと殺すことって美談みたいになりやすいけど、すごくグロテスクに書いていて、うまいなーと。
表題作でないほうの百合の花の話は今ひとつよくわからない。確かに百合ってグロいなーと思うことはあるけど、そこだけで話を膨らませるのはさすがに無理でないか?
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自分を誰よりわかってくれる大切な存在が、許されない性を持っているとき、どうするのか――せつなく苦いホラーです。
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「かにみそ」「百合の火葬」の二篇。
カニや百合の花が人を襲うという、モンスターパニック映画じみた設定。しかし、モモンスターパニック自体ではなく、モンスターを通じた心の交流を描いている内容に驚いた。
「かにみそ」では、友達(カニ)と悪事に興じるうちに、感受性に乏しい主人公が共感能力を取り戻し、悪友と決別しようとする過程が描かれている。
「百合の火葬」では、母親を知らない主人公・母親になりたい女性・子供のように無邪気な百合の花(ただし人を襲う)を通して、親子の情愛を描いている。
話の外見はホラーだけれども、内容を読むと異種生物を通した人と人との心の交流という部分に注力されているのが分かり、そうした部分をホラーというジャンルで描こうとしていることに大変驚いた。罪もない人が犠牲者になっていく部分は大変ホラーっぽかったけど。
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蟹が人間を食べる話。
かなりグロい話かと思いきや、
蟹の人柄(なにそれww)が良くて
何だか可愛くて普通に読み進められた。
最後・・・切ない!
個人的には書下ろし併録の中編
「百合の火葬」
の方が好き。
こちらは植物である百合の花が人間を惑わす話。
どちらも素晴らしい話だった!
自作の「いぬの日」も期待ができそう。
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これもホラー特集。ホラー小説優秀賞を取ったからというより、どこかの書評で勧められていたから入手したものか。中編2作から成るけど、表題作が特に秀逸。カニとの不思議な友情も面白いし、あまりスプラッタを感じさせない描写も良い。最後のほろ苦い別れも含め、読まされる作品でした。これだけだったら満点でも良かった。もう片方の百合の話も、それなりに楽しめはするんだけど。
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かにみそ面白いです‼‼ 蟹の話し方は大人みたいだけど(自分的にば)蟹との会話を読んでいるとなんだかほっこりしますε-(´∀`*)ホッまるで自分が5歳児と会話をしているような、、、百合の火葬という話も収録されており満足感倍増!!!オススメですのでぜひ!!! 面白い小説を探している方やお金に余裕のある方! ぜひ買ってみてください!!!! あっ これホラー文庫ですよ
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泣けるホラー、なるほど。と最後に思えた。
カニのちょっと生意気な、しかし優しい、ツンデレな所もかわいい。
食べることはやっぱり大切だ。
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異世界に誘われた時、ごく普通に自分もその事実を受け入れるだろう。
そして共生する。
でも共生なんて最初はできないよ。
初めて知る奴なんだから。
だから、最後も、きっと、相容れない。
だから、きっと、悲しい気持ちになる。
怖さなんて、二の次だよ。
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おすすめの小説だというのを見て買った一冊。
かにの話と百合の話の2つの話の小説だった。
蟹の話は、クソみたいな青年が、拾った蟹を育てて行くにつれて、まともっぽい人間に成長していく話だった。
蟹は友達は食べないと言っていたが、青年は友達を食べてしまう。
なんかいい話みたいな感じで話は終わったが、重大な問題が残ってるんじゃないか?と感じた話だっだった。
百合の話は母親の愛情を知らない青年が、ふらっと現れた女性を母親じゃないかと思いながら接する話だった。
こちらの話はいい感じで終えた話だった。
喋る蟹に百合。
それらに触れて他人が成長していくいい話だと思うが、現実離れしていてマンガみたいな話だなとも思った小説でした。
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角川ホラー文庫から出版され、2013年の日本ホラー小説大賞、優秀賞受賞作品。食事をして人語を解す不思議な蟹との泣けるホラー!と、銘打たれていたのでそういえばホラー小説ってあんまり読んだことないな(乙一の「夏と花火と私の死体」くらいかな)、どんなんだろう、と思って読んだんですが、これはもはや純愛小説ではないかと。
何事に対しても無気力で流されるように漠然と生きていた主人公が、偶然浜辺で出会った蟹ちゃんとの生活の中でどんどんと変わっていく、そんな主人公の成長もありつつ、もうとにかく蟹ちゃんが可愛い。まじで。本当に蟹ちゃんが可愛すぎて、終盤の主人公の気持ちとシンクロしてしまう。そんな苦しさもありつつ、読み終わった後にはどこか決意めいた余韻を残される、美しくて切ない純愛小説、という印象でした。
ただ、割と途中にグロテスク?な描写もあるので万人にはオススメできないなー残念。
一緒に収録されている「百合の火葬」、こっちは割とホラー寄りなのかな?まあホラー小説の定義がわからないので何ともいえないのですが!
しかし、この倉狩聡という作家、特殊な技巧を凝らした文章というわけではないのに兎にも角にも描写が上手い。どこかファンタジーめいた情景のはずなのに、匂いや質感も伴って想像ができる文章を書く。淡々としているのだけれど、不足しているわけでもなく、過剰でもない。上手いなーと思いながら読んでました。
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知人の紹介で読んでみる。
好きか嫌いかで言えば間違いなく好きなのだが…。
「私」が出会った「蟹」は何かの例えではなく人語を解しフレンドリーでコミュニケーション力の高いまさに親友と呼べる蟹である。
ただし、人を食う。
蟹なので罪悪感とかは無い。
やがて私は蟹の人でなし(当たり前だが)な面に嫌悪を抱くようになり、○ってしまう。結局、一度は友情を育んだ仲であっても人間の本質である’食欲’に負けて殺めてしまう所、かつ妙に前向きに食い食われるシーンこそが本当にホラーなのだと思う。
2話目「百合の火葬」は1話目の「かにみそ」に比べればシンプルな恐怖を感じる話。儚さ・美しさを漂わせた怪異。
なるほど、流星群が引き起こした奇跡みたいなものなのかもしれない。
自分のメモを読んでいて我ながら面白そう。
再読したい。
5刷
2021.3.28
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2話目の百合の火葬…子への愛、母への愛が沁みる話でした。自分の母親をちゃんと好きだって言えること、素敵です✨
かにみそもですが、そんなホラーな小説ではないです…切なさの方が勝ちます。