紙の本
海軍士官達の反省録。
2009/08/03 22:26
15人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
帝国海軍讃歌ではない海軍士官達による海軍の体質批判自体は評価出来る。しかし、特務士官以下の海軍軍人達の視点から見た海軍批判もあった方がいい。
この本にも出て来るが、兵学校出身の海軍士官の方が階級が低くても機関学校出身の機関士官より指揮権がある、というのも、帝国海軍という軍隊は、英国海軍仕込みの階級社会を無批判で明治日本に導入した結果なのは分かっていても、どこかおかしな存在だ。陸軍だったら少なくとも指揮権に関しては階級が全てなのに。
なお、口絵写真のキャプションで、「華頂宮博信少佐」とあるが、臣籍降下されているので「侯爵華頂博信少佐」の間違い。
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海軍の『大東亜戦争』後の話。反省会とされてますが非常に白熱してます。
戦後の日本の立て直し、海軍のこれから、開戦の是非、何故負けたのか、教育とはどうするべきか、人選はどうだったのか 等々。
10回分を載せてあります。
後半の頁でかなり『関連資料』が載せられています。
コレには脱帽。
反省会当時85歳にしてこの記憶やスゴイと思わせてくれます。
この本自体が 資料 となる。
私は背景がシッカリしてないのでわからない単語を調べながら読み進めるという時間のかかりよう。
それでも勉強できます。
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先の戦争については、「なぜあんな無謀な戦争に突入したのか」との疑問をつねづね持っていたが、本書を読んで、専門家である「海軍士官」たちが当時どのように考え、どういう問題意識を持っていたのかがよくわかる思いがした。
本書の内容は、さすが大官庁「日本海軍」であるだけに、内容は多岐にわたっている。
しかし、「反省会」と名付けられた会議での詳細な論議を読むと、海軍の多くのシステムが多くの問題点を内包しつつ、情勢に押し流された様子は伺えるものの、戦後出席者たちが「失敗の原因」を真剣に追求し、認識を共有していたようには思えない。
彼ら「海軍」の専門家において、「戦争へと向かった道」や「海軍のありかた」についての深刻な反省は、この会議までほとんどなされていなかったのだろうか。
少なくとも本書の内容は、「多くの意見」が出ているといえば聞こえはいいが、「敗北へ至った道」への考察を全員が共有しているようには思えなかった。
本書は、旧海軍士官による迫真の「反省会」であると思うし、よくこの資料が残っていたとも感嘆するが、同時に「戦前・戦中」の日本をどう捉えたらよいのかという「時代の認識」が当事者「海軍士官」でさえ、戦後の長い期間を過ぎても成熟していなかったということではないかと思えた。
専門家ですらこうなのだから、現在の日本において「先の戦争とその時代」への「歴史認識」が成熟していないと言われるのも無理もない。
それでも、「陸軍と右翼による内乱を避けるために海軍は開戦に応じた」とか「軍令承行令」という日本海軍のシステムの問題点とかの多くの知見は実に興味深い。
本書は、現在第4巻まで発行されているが、次巻以降を読むのが楽しみである。本書を、歴史を知ることができる本であると高く評価したい。
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テープ起こしなので、話の脈絡などグダグダなのだが、場の雰囲気が分かると言う意味では面白い。だが、構成がまとまっていないだけに索引は欲しかった。
人事の話が一番盛り上がったりサラリーマン的だなぁという感想。