」お受験」の実態
2016/04/21 09:10
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投稿者:TW6429 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「お受験」というと、どの学校においても厳しい受験戦争が行われていると考えられがちであるけれども、厳しい受験戦争が行われているのは一部の名門校だけであり、大半の学校は定員割れで学校運営そのものが困難であるという」お受験」の実態が克明に描かれています。
また、「お受験」の歴史だけでなく、歴史を見ることで、現代の公教育の抱える課題についても言及していて興味深かったです。
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初等部、初等学校という名称を持つ私立学校は、戦時下の国民学校令で私立の国民学校が認められず廃校は免れるものの国民学校と名乗れないため国民学校に準ずる学校として教育活動をした名残であることを知りました。公立と一線を画して独自の教育理念を掲げていくとは私立学校の歴史として見るととても重要なことに思えました。
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電車に乗っていると、一目でわかる小学生がいる。
何が一目でわかるかというと、彼らは「お受験」をした子供達なのだ。
暁星、雙葉、白百合......
よく、そんな彼らを見て、かわいそう、という人がいるが、私はそれよりも金持ちの家の子なんだろうな、と思っていた。
私自身私立の中高を出ており、塾通い、入学金、授業料にいくらかかるか、大まかではあるが、知っていたからだ。
本書では私立小学校を通して初等教育を考える。
金持ちか否か、そういった感覚的なもので論じるのではなく、史料を通じて公教育について問うている。
そもそもどうして私立小学校が設立されたのか、このことについては第2章で触れられている。
もともとは私立小学校の方が数が多く、公立小の代用とされてきた。
つまり、一ランク下とみなされていたのだ。
現在私立小学校では、「初等学校」「初等部」という名称のものが多い。
これは戦争によって国民学校ではない、と位置付けられ名称を変更させられた経緯があるのだそうだ。
そして戦後の改革によって再び小学校に改めよという文部省(当時)の一方的通達に対する反旗だった(成城学園)ことを考えると、今の多くの人が感じているであろう「お高くとまった」学校であるというのは大きな勘違いであると言わざるをえない。
第4章では「お受験」「お入学」というイメージについて取り上げられている。
バブル期は、自分より高い階層に行こうと皆が躍起になっていた。
その中で、小学校から私立、つまりブランドを身につけさせるのは、身の程知らずと捉えられていたのではないだろうか。
それは、私立小学校受験の実態をマスコミも含め理解不足だったからだと筆者は指摘する。
父親の稼ぎ、母親の学歴、両親の年齢、兄弟の有無、そういったものもきちんと出しながら私立小学校を論じているのは傾聴に値する。
確かに「金持ち」家庭が多いのは事実である。
しかし、それを事実としながら、では、公立教育はどうしていけば良いのかというところにまで問題を提起している点は教育に関わる全ての人にとって大切な問題である。
当事者(保護者、子)、教育者、為政者にとって、大事なことは、私立公立の比較だけではない。
最終的には、教育を受ける子供にとって最適なものを与えられるかということだ。
本書に挙げられた歴史を、俯瞰しながら考え、知ることで得るものはそれらすべての人々にとって貴重なものとなるだろう。
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膨大なデータに圧倒される.定員割れの話は大学だけと思っていたが,地方の私立小学校でも頻発している由.文科省の場当たり的は政策が良くないのは感じていたが,いっそのこと文科省を廃止したらどうでしょう.最後の(p255)3行が素晴らしい.
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他の方も指摘されているが、この本で知った意外だった事実は任期付教員が多いという話。これって関西に限った話なのか、首都圏もそうなのだろうか。
過去、小学受験は女子が相対的に多く、女子大系列校に一定の人気があった。
現在は女子大は不人気であり、人文系ないし文系だけの大学は人気が低下する方向にある。こうした情勢を受け、個別の小学校の人気も大きく変化していくだろう。