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繋がっているような輪のような。
すぐ隣に狂気の穴が空いているような、不気味な気配がついて回る。
読んでいて感じるのは、圧倒的なグルーヴ感。
そして、脳のどこかをグワンと押し広げられているような感触。
残る。これは。
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雑誌「新潮」の1月号に掲載…三部構成の意味が分からないょぉ~中島さおり:彼氏の西村三奈想とはセックスを済ませているが,夢中になれず好きでないのかも知れない。大学進学で福井から東京に出てきて,何となく交際は終わり,大学の友達と行った鹿児島で,桜島の噴火に遭遇し,麓に住む人達を救いに行かなくて良いのだろうかと想ってしまう。小学校時代に忘れ物を取りに戻って暗くて一人で帰れず,縋った杉田浩輝君の事が気になる。地元に残った大橋伊都ちゃんが色々教えてくれるが,杉田君の彼女からDVで相談を受けていると云う。結局,二人は結婚し,子供も出来たが,子育ても衣都は相談に乗っているのだ。ある夏,さおりが帰ってこないと,衣都は余所の子を殺してしまうかも知れないと涙ながらに訴えるのだ。尋常でない事態に深夜バスで福井に帰ったさおりは,衣都が新たに借りた部屋で我が物顔に振る舞う母子を見て,杉田を駄目にした原因が女の方にあると理解し,出て行くように宣言すると母となった女は椅子を振り下ろし,幼い娘に鋏で首を刺すように命令する。その鋏を蹴り入れようとするのは,運転手となって行動していたさおりの弟に阻止された。堀江果穂:古びた文学全集を読もうと決めていた果穂は,読んでも覚えていないことを姉に告白するが,読んだという事実が大事だといい,漫画も薦められる。グルニエにたくさんあるというが,そのグルニエ自体が果穂の家にはない。中学時代から始めたテニスは,中学時代も高校時代も都の準優勝。高校時代は,コンビニで漫画を立ち読みするようになったが,さりげなくお尻を触る親父に舌打ちをすると,待ち伏せされていそうな雰囲気を察知し,公園で撒いて逆に住まいを確かめる。2年後,親父は女子高生を追い回した挙げ句,刺して逮捕される。アパートに寄ってみると,同じ学年の痴漢の息子が話しかけてくる。両親は離婚しているが,彼は学校にいられなくなるが,電話番号を交換し連絡を取り合う仲になる。大学に通い始めて再会した広瀬順は,漫画だけでなくアニメを紹介する。トトロを気に入った果穂は,さつきを描きたくなり,練習するが納得いかない。果ては,美術学校に通い始めて絵を習い,雑誌にテニス漫画を投稿する。不思議な設定の漫画は受けて売れっ子になるが,顔の表情がないお化けのような女性を無意識のうちに描いていた。お化けは退治されなければならないと考える果穂は,新たな漫画でお化け退治を始め,久し振りに帰った実家のリヴィングからありもしないグルニエに36歳で処女のまま果穂は消えていく。中村悟堂:会計事務所に勤める悟堂の彼女:湯川虹色は共通の友人である斉藤範子の話題を持ち出す。結婚して福井に住んでいるが,子供が生まれるというのに旦那は浮気しているという。子供は死産で旦那とは離婚となったが,その影響があってか脳溢血で斉藤さんは倒れたのだ。布団・・・ごごご悟堂と叫んでいたというので,悟堂も来てみると,斉藤さんは普通に話をしている。慰謝料代わりに貰った新築の家の片づけに,悟堂と虹色が来てみると,妙な物音がして,丸裸の男を追いかけてグルニエを覗くと,上半身しかない犬が屋根裏でうろつき廻り,腹の膨れた女が居て,更に闇の中に消えつつある穴が見えた。女は元旦那の浮気相手,放置されてミイラ化した斉藤さんが産んだ子を犬に喰わせ,その犬を女が喰ったのだが,犬の胃袋はミイラ化した女の子を消化できず,そのまま女の腹を破裂させたのだ。虹色に今云うべき事は言うべきだと詰め寄られ,病室で斉藤さんに悟堂が別れを告げて戻ると,虹色の行方が知れなくなっていた。虹色の家族が失踪届を出すが,悟堂は暗闇の穴が関連していると考え,斉藤さんから家を買い取って住み始める。一度は虹色の声を聞いたが,その後二年経っても何も進まないまま,家は荒れ果てていく。虹色の妹・湯川里佳が心配するが,斉藤さんは再婚が決まって,悟堂に福井を離れて東京に出てくるように勧めたのは結婚式当日だった。式場には呼んでいない元旦那と招待された里佳も来ていて,元旦那は里佳を見て驚いた挙げ句,車で撥ねて連れ去った。悟堂は屋根裏で斉藤さんから聞き損ねていた怖い話を聞いて,穴を呼び出し,穴に飛び込み,出た先は斉藤さんの元旦那の三鷹のアパート。元旦那の竹内敦之は,2年前に湯川を殺して,床下に隠していたが,その妹にも同様の扱いをしようとしていたのだ~賞が欲しいのだろうなぁ。福井の西暁と調布市仙川or国領は相変わらずで,懐かしくもあるが,鬱陶しくもある。何なんだよぉ~もおぅ
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舞城王太郎の小説は句読点があるだけで「すごい!読みやすい!」と思えてしまう。
やっぱり文体がすき。
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「私はあなたがここにいるという理由でこの世界が好きだった」みたいなくだりがあったと思うんだけど、そこが印象に残っていて、すごく好きだと思った。また読み返したい。
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初めての舞城さんの作品。
Twitterで話題になっていたので読んでみた。
こ、この作品はホラーだったのか?と(ホラーが苦手なため)ガタガタガ体震わせながら、一人分読んだら、次へ、そのまた次へ、と少し時間を置いて読み進めた。
薄暗く、暗い人の想い。
負の連鎖が連鎖を増殖して繋がっていくような恐怖。
果歩の部分の描写が鮮やかで怖くて数ページ飛ばしてしまったくらい、自分的には2人目が恐怖を感じた。
もしかして3人目も救いようのない暗い影がつきまとうのかと思ったが、よかった。
3人目にして打ち勝つことができ、読後スッキリした思いになれた。
そして最後に。
福井弁ってやっぱり可愛い!
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祝・Twitter文学賞国内編1位
「怖い話」をめぐる話、かな。
主人公とは違う、でも神ではない(時々主人公の言動に驚く)第3者からの語りで話がすすむ。
私的には、これはホラーです。
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守護霊?視点での書き方が面白い。
会話でどんどん話進んでいって非常にテンポが良い小説。
ホラー要素も結構怖い。
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怖かった。さすが舞城王太郎。阿修羅ガールでも怖いとこをずーっと憶えとるけど、今回のもなかなか。
とはいえ、一話目、「中島さおり」はその後どうなったか気になるし、二話目「堀江果歩」も謎が残ったまんま。三話目「中村悟堂」で少しはわかるものの、いつから黒坊主に目をつけられとったのか、とか細々とした謎は謎のまま。三話目はスカッとするんやけども、読後には、全体的な謎が残って、あれ?あれ?と一つ一つ思い出して、この感覚はしばらく続くのかなぁ。
けど、すげー読ませるなぁ。
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9/9 読了。
地元の友人から、初恋の男の子が現在の恋人にDVをしていると聞き、半信半疑でいたさおりだったが、地元を離れ東京で暮らす自分が立ち入るべき問題ではないとも感じていた。しかし、ある日、友人からSOSの電話が来る。原因は初恋の男の子と結局結婚して妻となった女とその子ども。急いで故郷に戻ったさおりは、友人が女に支配されて恐怖のうちに生活してきたのを目の当たりにする。
あらすじは第1章だけ。要約すると普通のリアリズム小説っぽいが、この小説の最大の特徴は、主人公を見守る第二人格というか守護霊的な視点から書かれていること。この語り手は章ごとに主人公が変わるのに合わせて一緒に切り替わり、それぞれ明確な個性を持っている。また、主人公とは完全なる別人格のため、主人公の心情を把握することはできないし、行動に干渉することもできない。なので、突飛な行動や発言には語り手のツッコミが入り、語られる話の悲惨さに対して全体のポップな読み心地を支えていると思う。
この特殊な語り手は、それぞれ他の章の主人公だというのが通説らしい。言われてみれば女2人の男1人で比率が同じだし、必然性があるなぁ。3人の主人公は自分たちの章では寡黙なタイプのようなのに、語り手側に回ると内語はおしゃべりである。この辺のキャラ造形も素晴らしい。
物語はそれぞれ独立しているが、さおりは支配願望、果歩は人を殺すまでに至る暴力への恐怖、悟堂は執着が引き起こす狂気、と三者三様に対峙する。起こる事態は非常に現代的で(というかまさにリアルタイムな)リアリティを持ち、宮部みゆきの「名もなき毒」以来に味わう身に迫る恐怖を感じさせるが、それだけでは終わらない。舞城はここに文字通りの<闇>を、視覚的に出現する存在として描き出す。<闇>は堕ちた人びとのもとに現れ、ブラックホールのように吸い込もうとするのだが、主人公たちは自ら飛び込んでいく。それで何かが相殺されるわけじゃないし、<闇>が消滅したりもしない。けれど普通の人間が、自分のなかの正義のために勇気を振り絞る瞬間、それはとんでもなくヒロイックな場面になり得るのだ。
皮膚感覚に訴えかける怖さと、誰も救われない結末と、爽快な読後感が奇跡のバランスで成立している作品。
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久々に舞城さん読んでみましたけれども、うーん…相変わらずよく分からんですね。新潮社から出ているみたいですし、やはり純文学方面? なのかな? とも思いますけれども…。
やたらと漫画のタイトルが登場してきましたねぇ…舞城さんは結構漫画、読まれるんでしょうか…? この小説もとある漫画のストーリーというか、設定と類似しているように思えたんですけれども、どうでしょう…?
まあ、ともかく個性的なキャラクターにして名前にしていつも通りの舞城さんでしたね! おしまい…。
ヽ(・ω・)/ズコー
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むちゃくちゃに面白かった。たいへん深く満足している。だが、二度と舞城氏の作品は読みたくないなと思ってしまうほどにはきつかった。この手のホラーが、おとなになった今でも滅法だめなのである。それゆえに面白かったと言うしかないわけなのだが。きつい。しんどい。
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面白かった話なのですが、解説を要しますね…
俯瞰して見てるのは誰?それぞれの話のつながりは?タイトルの意味は?
この辺がよく分からん
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初舞城王太郎氏!!と、何故に!!を2つ付けたのかというと、
私のストライクゾーンにものすごい剛速球を投げ込まれた衝撃からの
それを大ホームランにて打ち返すという、久々に出会った作家。
こんなに心を揺さぶられて泣いてしまうホ
ラー小説って今までに無かった!
いや!これは純文学といっても良いと思う。いいのかな?(笑)
人間の心の汚物に感応されるように現れる黒い塊。
主人公の影のように寄り添い続ける不思議な存在。
日常に潜む凶・狂と戦いつづける主人公たち。
最初はこの独特な文体に少なからずも嫌悪を感じながら読み進め
そして『ウサギちゃん大草原』最後はこの言葉に泣いてしまった。
第1章、中島さおり。第2章、堀江果歩。第3章、中村悟堂。
この3人に寄り添い続けたものこそが『淵の王』なのかしら?
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とても怖がりです。でも怖い話が読みたくなります。怖いもの見たさです。
この小説は、面白い!という評判だけ知っていました。なので怖い話が読みたくて読んだわけではないです。
いくつか、怖いと言われる小説を読んで、あまり怖くないなという肩透かしばかりだった時に読むことになりました。
部屋の隅や夜の道の暗闇、理不尽で脈絡のない不可解な言動、人の悪意、そういうものが怖い人にはとても怖いと思います。
読んでいて動悸と鳥肌が止まりませんでした。
今日は電気を消して眠れるか心配です。
でも読み終わって感想を書いていると、もう一度読みたい気持ちになってきました。なんだか、このお話は、恐怖がテーマではなく、勇気や優しさがテーマな気がするので。
文体も読みやすかったので、舞城王太郎の他作品も読みたいですが、またこんなに怖かったら心臓もたないなぁと少し躊躇います。
けど多分読みます。
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中短編3編
何だろう,これら3編に共通する主人公の背後霊のような語り手の得体の知れない優しさあるいは一方通行の愛,そしてそれぞれの主人公たちに纏わりつく不穏な穴.人間の悪意や呪いの怖さと超自然的な怖さとが磁力のように引き合って,独特の世界観を出していて,それに挑む主人公たちが生真面目な愛で屹立していて,とても美しかった.