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ペニー・ジョーダンのアニー・グローブス(Annie groves)名義での近代ヒストリカルロマンスです。
作風は長編のペニー作品に見られるように暗く陰鬱。
時代背景は、1902年。歴然とした階級意識と貧しい人々の格差を背景に、新しい世紀での希望と絶望に満ちた激動の時代。女性参政権運動やストライキの余波に苦しむ時代で、身勝手な大人に翻弄されながらも、幼い恋を捨てたエリーが自分の足で立ち上がるまでを描く、渾身の一作。
冒頭の執筆中に亡くなった夫へ捧げる献辞が与える読者への影響は大きい。
読めば読むほど、薄幸になるヒロインに幸せが訪れるまで鬱々としながらもページをめくる手が止まらない。
緻密で丁寧ではるが、根本的なストーリー構成は他のペニーのハーレ作品でもよく見られる離別と再開のロマンス。
だが、ハーレクインロマンスらしいエンターテイメント性を求めると大きく方向性が違うのでご注意。
良いロマです。
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