紙の本
脳と体の進化の過程への興味深い仮説
2009/03/07 15:31
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Skywriter - この投稿者のレビュー一覧を見る
人類を人類たらしめている器官、脳。その絶対的な体積で言えば人間よりも大きな脳を持つ動物は存在するものの、体重に占める割合からすれば、余りにも歪なほど、人間の脳は大きすぎる。その巨大な脳を得られたからこそ牙などの際立った武器が無いのに人間は他を圧する力を手に入れたのだ。
だが、もしそれほどまでに知能の力が大きいのなら、なぜ人類以外に高い知能を発達させた他の動物はいないのだろうか。
タイトルどおり、人の脳がなぜこんなにも大きいのかということに始まり、脳の巨大化を支えた様々な要因を解説してくれている。
特に興味深かったのは、脳が猛烈にエネルギーを必要とするわけだが、そのエネルギー獲得を支えたのが誰なのか、という疑問だ。現在の社会状況からは父親という答えしか思い浮かばないが、(特に母方の)祖母の存在が大きかった可能性もあるという。確かにサルの群れでも歳を取ったメスが危険を避けたり食料を確保したりといった技能を活かして活躍するそうなのであながちそれも正しいかもしれない。
他にも脂肪が脳を支える不可欠な存在であることを始め、脳と体の関係を色々な角度から論じているので、脳の持つ力の広さと同時に体の側の凄さを実感できる。ブルーバックスらしく、とても上手く纏められた脳科学の入門書ではなかろうか。
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表題の通り、人類進化の過程の中で他の生物のと大きな差は脳の発達にあります。
この発達がなぜ起こったのかの謎解きをしよう手いているのが本書です。
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上手く当たれば(というのは図書館で適当にアタリをつけて借りるからだけど)科学本は下手な小説の何倍も面白いんだよねー。しかしこゆの読んでると、すべての生物の雄は基本使い捨てで大事なのは雌なんだなーって女性としては気分ヨロシクなりますな、はっはっは!
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[ 内容 ]
生物としてのヒトが大成功している最大の原因が、発達した脳であることは、誰もが認めることです。
しかし、ヒトの脳がなぜこれほどまでに大きく発達してきたのかは、まだまだ解明されていない、人類進化史の中の最大の謎のひとつです。
霊長類の形態比較を研究する著者が、全く新しい視点からこの難問に挑みます。
[ 目次 ]
第1章 まずヒトの進化をたどってみよう
第2章 なにが脳の発達を促したのか
第3章 言語コミュニケーションを行う発声器官の進化
第4章 脳の拡大は、なぜ、どのように起こったのか?
第5章 カニクイザルの道具使用行動
第6章 脳のエネルギー消費を支える食物獲得方法の進化
第7章 寿命と老化と脳の進化
第8章 長い成長期間と脳の関係
第9章 脳のインフラとしての脂肪
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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2007年刊行。体重比でみるとヒトの脳は非常に大きいが、その進化の過程は判然としていない。本書は、他の霊長類との比較、骨を中核とする古人類学の成果、石器等の使用道具の変遷等からこの問題を解読。原猿類から進んできた左利き進化(右脳の発達。樹上生活に適したものらしい)、その後の聴覚・発声機能進化による左脳の発達(右利き進化)。脳の大型化を支えた調理技術の進歩、脳へのエネルギー供給を増加させるための消化器官の短縮化などの理由づけは説得力があるように思う。もちろん、私にその是非を論じる力はないが、興味深い一書。著者は京都大学霊長類研究所形態進化分野助教授。
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読む前からある程度 人類史の知識はあったほうだと思うが、いろいろ知らなかったことが書かれていて良かった。効果器(手や発声器官)と脳の共進化、脳のエネルギー消費が身体成長に年数がかかる(コドモ期)。
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https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057279