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日本と同じく資源小国でありながら、高度な福祉や教育で知られ、またムーミンやマリメッコといった、アートやデザイン分野でも優れたブランドをもつフィンランドが現在抱える課題に関する現地調査やフィンランド人研究者による考察をまとめた一冊。
帝政ロシアやスウェーデンによる相次ぐ支配からの独立により国としてのアイデンティティを高め、一時は「北欧の日本」といわれるほどの急速な産業化を果たしながらその代表格であるノキアが衰退。教育についても国際的な高評価とは裏腹に国内では格差が問題視され、若者の引きこもりや自殺が社会問題化する。それでも今度は「起業家大国」として、グローバル社会の中で生き残る術をしたたかに探る姿は日本も参考にすべきところが多いように感じる。
ただ、タイトルにあるフィンランドが「何度も再生できた理由」や、そこから「日本が何を学ぶべきなのか」といった核心的なところは必ずしも明らかにはされない。各研究者の論文もおそらく賛否両論あるのではないかと思うが「一方の主張」だけが述べられているように感じる。著者による各章の「まとめ」もどこか表層的で、とても興味深いテーマだけに、もう少し掘り下げた分析がほしかった。
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教育 起業大国フィンランド
その実情をフィンランドの論客達の論文を元に
編集してある。
副題の『持たざる国であるフィンランドが何度も再生できた理由』は明確には提示されてはいない。
だが
今の日本が抱えてる解決策の一端は見えた気がする。
フィンランドが行ってきたのは
みんなから評価された私になることではなく、
今の私に出来ることをやる。
スウェーデンやロシアに支配されていた歴史からアメリカやロシアのような大国のルールを適応する事は出来ない。敗者?としての身の丈の戦い方、身の振る舞いを身につけていく事が生き延びる術であった。
フィンランドというケースを用いて
海外のいいところ取りばかりをするのではなくて
日本人の為の日本人にしか思いつけない処世術を身につけなければならないと切実に願う。
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良きイメージのあるフィンランドも、本当はすごく課題を抱えているんだよ。という小論文がいくつも掲載され、それについて古市氏がまとめを書いている。
生活、教育、起業、ダイバーシティなど日本が見習うべきことがたくさんある。しかし、良い面ばかりでなく、悪い面からも学ぶことがある。それはフィンランドの過去の歴史を紐解くに、敗北からの復活を何度も遂げてきた国であるということ。
日本も今ぶつかっている壁の見方を少し変え、必ずや復活できる!ということが書いてある。
日本として、何をどう見習うべきなのかは読者に委ねられている感じだ。トゥーッカの話があまり出てこず、日本とフィンランドを見比べた意見が見えないのが残念。
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「ワカモノ」の次は北欧フィンランドか、と古市さんの目のつけどころに感心させられます。
もともとノルウェーに留学していたこともあり、フィンランドとも近いですが、石油資源を持つ国と持たざるために何度も「国が終わった」状態になったフィンランドならではの強さの源が何かに迫ろうとしている本です。
単に教育が,福祉が進んでいる、というだけで思考停止しないために役に立ちます。
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スウェーデン、ロシアに統治された時代、敗戦からも這い上がったフィンランド。資源がなく、隣に大国の脅威があること、排他的で自助を促す社会など、精神面でも日本と近いところがある。教育や男女平等など(日本人には隣の芝が青く見える部分も)多分に問題点をはらんでいるが、フィンランド人はそれらを解決しようとする。それは歴史から育まれた忍耐と不屈の精神かもしれないが、時代や情勢の変化に合わせることは、国家としてのアイデンティティを否定するものではない。「変わり続ける勇気を持つ限り、国は終わらない。」
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フィンランドの国の文化や国民性などの概要と
福祉国家でほのぼのしているという思い込みはとれた。
教育制度を支えている教員の大変さや起業して新しい産業をつくっていることがわかった。
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3年前の本であり現状はまた変わっているかもしれないし、答えは特に明示されていないので感想が難しい。
北欧と一括りにしがちなデンマーク、ノルウェーとフィンランドは違うらしいというのは伝わった。
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"フィンランドはもう福祉国家じゃないよ" 文中に出てきたフィンランド人の言葉。そもそも「北欧」と強引に一括りにされたもののイメージをすべての国にほぼ同一に当てはめて考えていたけれど、もちそんそれぞれの国に別の歴史文化価値観があって。フィンランドという国であっても、外から見えるものと、数値と、Aさんのいうことと、Bさんの言うこと、それぞれ全く違っていて。隣の芝生は青く、数値と実態は必ずしも一致しないことを念頭において色んな世界を見て考えないといけないなと思わせてくれる本だった。
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自殺者数が調査できるということは、自由な民主主義国家だからこそ。フィンランドの教育の成果は、平均値が高く、底上げの意味が強く、高得点者の割合は日本を含む他国の方が高い。男女平等により、力仕事や学生時代に真面目に学習する男女の違いが顕著になり、若い男性による保守と若い女性によるリベラルという傾向が見られる。
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感想
福祉は自分事。日本内部を見ていては国内の福祉について議論することは難しい。福祉は平等を目指すか公正を目指すべきか。これからの課題が見える。