投稿元:
レビューを見る
題名が主人公の心情すべてを物語っています。テーマであり主人公そのものだと言ってもいいです。
全体としてちょっとほの暗さが漂いますし、人間臭い部分も多々描かれますが、最期に主人公が希望を見出した辺りが救いがあってよかったと思えました。「師長」さんのキャラの存在が大きいですね。彼女のような人がいればどんな人でも救われるのかもしれません。もっと早く主人公と「師長」さんが出会っていればと思わずにはおられません。
彼女の仕事についての考え方や価値観にははっとさせられるものがあり、看護師さんだけではなく、様々な人の胸に届くのではないでしょうか。
主人公が「師長」さんの元に行くのではなく(結末から察するに行くことになりそうですが)自ら蹴って自分の気持ちを貫いたところが彼女の「成長」の結果なのだと思えて胸が熱くなりました。私もそういう生き方ができればと思います。
投稿元:
レビューを見る
中脇初枝さんが包み隠さず表現してくれる「人の心」にハマッています。どんなに情けない人にも,どんなに酷い人にも,作品の最後には救いの光が当てられているのが嬉しいです。私自身も抱えたことのある「説明のできない感情」をここまで解りやすく表現してくれる嬉しさも。
投稿元:
レビューを見る
三月に捨てられたから「弥生」と名付けられた主人公。
今ある自分の居場所を守るための日々が、偶然の出会いや、新しい師長との二ヶ月間で、少しずつ変わっていく。
三月に捨てられたけれど、三月に誰かが拾ってくれて、きっと自分のために誰かが祈ってくれたのだと。
「きみはいい子」のある話に出てくる子供の母親も出てくるので、つい途中でその小編を読み直しも含めて、一気読み。
辛くて、最後に祈りや温かさのある物語でした。
投稿元:
レビューを見る
「いい子じゃないと、いけませんか。」
内へ内へと向けられた思い。
「いい子じゃないと、捨てられる。」
その思いが、周りの人たちに支えられ外へと向けられる。
「わたしはわたし。」居場所を見つけるまでの流れが自然で
心静かに読み終える事が出来る。
投稿元:
レビューを見る
最近児童施設関連が出てくる物語をよく読む気がする。自分を存在を確認するには、相手が必要で、その相手には自分を好きでいて欲しいし必要とされたいと願う。親であればなおさら。傷ついた心が柔らかく再生される物語
投稿元:
レビューを見る
テレビドラマのノベライズみたいに一気に読める。
それぞれのエピソードにおける登場人物の感情がもう少し細やかに描かれていると良いのだが、いやむしろエピソードそのものがもっと掘り下げられているとかなり重厚な作品だったかな。
院長の診療ミスの犠牲となった患者さんたちのその後が気になる。
しかしそこは話に織り込まれているものを、読者の想像力にまかせて読み取るべきなのかも。
暗いようだが最後に光はある。
投稿元:
レビューを見る
本を読むのと同じくらい、おままごとが好きでした。
それも、「おかあさん」「おとうさん」と呼び合うおままごとではなくて
「今日の私は、エリザベス♪」と、金髪巻き毛の女の子になり切って
小さなティーポットでしずしずとお茶を淹れるような。
おままごとそのものよりも、「今日の私の素敵な名前」を考えるのがうれしくて。
そんなふうに、名前に込められた意味やイメージについて想像するのが大好きなので
初めてピアノのレッスンに来た生徒さんには、必ず「お名前は?」と訊いて
「うわあ、きれいなお名前ね!」と盛り上がったり
「あ、そのお名前の入った曲があるよ!」と弾いてあげたりするところから始めます。
。。。だから、ショックでした。
名前の由来を訊かれること、言い当てられることを苦痛に思う人がいると知って。
三月に捨てられたから、弥生。
三月に生まれたから、ではなく。
たぶん生まれ月は二月なのに、捨てられ、拾われた月の
「弥生」という名前を背負って彼女は生きている。
施設は18になったら出なくてはいけないから、准看護士の資格しか取れない。
院長がアパートの保証人になるのは一回きり、という規則のせいで
天涯孤独で他に保証人の当てがない彼女は、
勤めている病院でどんなに理不尽な扱いをされても、職場を変えられない。
いい子でなければ、欲しがってもらえなかった。
いい子だから、と引き取ってもらった家では、
わるい子でも変わらずに愛してもらえるのか確かめたくて
ことさらにわるい子を演じ、案の定突き放されて。
『きみはいい子』で、通りすがりだろうが、ちょっとした顔見知りだろうが
誰かが「きみは、ほんとはいい子だよ」と語りかけ、見守ることで
救われるこども(もちろん大人も)がいることを、丁寧に描いた中脇初枝さん。
でも中脇さんは、ちいさな救済のその先を、ずっと考え続けていたのですね。
いい子でもなく、わるい子でもなく、わたしはわたし。
誰でもいいから、「わたしをみつけて」と心の中で叫んでいた弥生が
「わたしをみつけて、さあ、それからどうする?」と
人の顔色を窺うばかりだったまなざしをすうっと上に向けるとき
ああ、このタイトルは、ラストシーンは
悲痛な叫びじゃなくて、思わせぶりな尻切れトンボでもなくて、
未来へと繋がっていたんだ!と、ただただうれしくなるのです。
投稿元:
レビューを見る
▼いい子のふりをしていないと居場所がなくなると思うあまり、
余計なことは「しない」「言わない」ようにしてきた弥生が、
約二ヶ月ほどで大きく成長。
▼弥生は自分の居場所確保のために、いい子を演じてるけど、
多くの人は面倒なことはイヤだからいい子を演じているよね・・・
なんてひねくれて思ったりして。
▼藤堂師長は正しく堂々としていて、素敵な人。弥生はいい人に巡り会えたと思います。人との出会い方ひとつで、人はその後の考え方が良くも悪くも大きく変わってくる。人生って不思議。
▼「見えないものは見なくていいんだよ」という菊池さんの言葉。そうかもしれない。ただ、”見なくてもいいもの” と ”本当は
見ておかなくちゃいけないのに見なくていいものだと思い込んで、見ないもの” (←上手く説明できない) の区別は難しいなぁ。
▼神田さん、彼氏の逮捕で息子さんと穏やかな生活ができそうでよかった。出所後、暴力彼氏が神田さんを探し出して、嫌がらせなんかしなければいいな、と心配にもなりますが、そんな風になりませんように。神田さん、息子さんのためにも、今後はそういう男に引っかからないでほしいと思います。
▼特別いい子だったわけじゃない私を、両親は叱り飛ばしながら、それでも根気よく、ちゃんと育ててくれて、ありがとう。親ってありがたい。
投稿元:
レビューを見る
生後すぐに捨てられた看護師の弥生。いい子でいなければ。病院での出来事や人との出会いによりその意識が少しずつ変わっていく様子。よかった。
投稿元:
レビューを見る
いい子じゃないと、いけませんか。
施設で育ち、今は准看護師として働く弥生は、問題がある医師にも異議は唱えない。
なぜならやっと得た居場所を失いたくないから――
『きみはいい子』(第28回坪田譲治文学賞、第1回静岡書店大賞、2013年本屋大賞4位)で
光をあてた家族の問題に加え、医療現場の問題にも鋭く切り込む書き下ろし長編。
中脇初枝が再び放つ感動作!
投稿元:
レビューを見る
生まれてすぐに捨てられ、本当の親の顔を知らずに施設で育った主人公。
誰にとっても無害な存在であることで、静かに生きてきた。
准看護師として働く病院では厄介な医師や同僚たちとも無難に関わり、淡々とした日々を送っている。
そんな彼女の前に、新しく赴任してきた看護師長と、世話好きの老人が現れたことで、これまでの生き方・考え方を改めはじめる。
成長の止まっていた彼女の心のなかの部分が、だんだん育っていく。
設定、展開ともベタに進行するが、その分安心して読める。
嫌なやつは最後まで嫌なやつだったのが少し物足りない。嫌なやつにも事情はあるし、もっと掘りようがあったのではないかと思う。
情緒的で、ループする箇所もあり、エピソードではなく主人公の心理描写で物語を進めてしまうので全体的に幼い。予定調和。
痛みのある設定と展開の割にひりひりしないのはこのあたりが原因な気がする。
「きみはいい子」の方が物語として厚みもあり魅力的だった。
悪くはない、無難に面白い一冊。
http://www.horizon-t.net/?p=1256
投稿元:
レビューを見る
前作の『きみはいい子』と同じ空気が流れています
捨て子で施設で育ち、准看さんになり病院で働いたはる女性の話
今まで、当たり前と思っていた病院の常識、自分の振る舞いが、新しい師長さんをきっかけにゆらいでいく
自分の居場所って?
ほんとうのわたしなんて探してもいない?
自我形成ができきっていないけれど、ひととの関係は比較的保てる
でも、どこか不安定な彼女が変化していくのか
投稿元:
レビューを見る
前作よりも重い空気を感じた。人間としての『存在』『命』というものを深く問いかけているような。主人公は救われるのだろうか?希望をもう少し、見せて欲しかった。
投稿元:
レビューを見る
親に捨てられ、施設で育った准看護師の弥生。病院に新しい師長がやってきて…
テーマはいいんだけど若干期待はずれ
投稿元:
レビューを見る
「いい子じゃないと、いけませんか。」
この問いかけに、はっきりNOと答えたい
でも自分自身にも「いい人」と言われたいという気持ちが根強くある
前作の「きみはいい子」も好きだった
これは長編、一気に読んだ
≪ どこにいる? ほんとのわたし つくるもの ≫