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無期雇用転換申込制度の創設は「従来のわが国企業の安定した雇用体系を混乱させ、かえって新たな問題を引き起こす改正ではないかと思われます。」(p.33)
今般の雇用法改正について、批判的な立場から解説すると共に、実務上の留意点を述べています。
実務的な内容でありつつ、批判的な立場から判例/学説を引用してコメントされていることに違和感を感じる方もいるでしょうが、企業内で実務に携わる身としては、改正法の論点が明示されて参考になりました。
「自分がおかしいと思う点には、やはり否定的見解があるのだな」とわかるだけでも収穫です。
本来の法的理念や契約社会の原則、他方で「日本人の法意識」。実社会でこの両者のバランスを追求してきた労働法分野ならではの矜持、という気がします。
(念のため付け加えますと、安西先生は労働者保護が不要と言っているのではなく、別の方法で実現すべきだったとのお考えのようです。)
普段「日本の経営者は海外に比べて〜」と批評している方、「法と経済」に関心のある方は、是非今回の雇用法改正についての論考を積極的に発信していただきたいところであります。