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メーカーのように、基本ひとつの事業が占める割合が高い企業群と、そうでない企業群で、また少し様相が違うと思いますが、それでも、このGOM(global operating model)という概念により、いままでもやもやしていた事業管理のグローバル化を考える上で、頭を整理する材料を得られました。
日本人的な、品質完璧主義(過剰品質等)、駐在員依存経営管理モデル、暗黙知経営などから脱却するのは、想像以上に難しい、苦戦しているんだな、どこの企業もと感じる。
経営者何代かで解決に取り組む話だけに、長期的な確固たるストーリーを描く(変革大工程)必要があるし、それを遂行するための実働部隊の人材層の厚みも成功の鍵。
結局自社でいろいろ考えなくてはならないので、どんな管理項目を設定するかとか、そういう具体的なところについては、ほとんど触れられていませんが、大変革だけにテクニカルなところ以上に、その将来ストーリーを描けるかどうか、経営トップがコミットするか、そこまでにたどり着くのが大変なんでしょうね。
一番は、人材。グローバルな機能統制軸を支えるプロ集団をいかに調達・養成するか。どこもリーダー人材の確保(調達・要請)から取り組み始めている。特にいまの人にはできるが、次の世代は? この問いかけは常に持っておかないとです。
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幾つかの企業の事例を入れつつ、具体的な組織構築の手順を示している。特にシステムの統一が、企業のグローバル化に不可欠であるという視点は、とても面白い。またグローバル企業として、日本企業らしさが仇になるケースがあることを改めて認識できた。
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益々強まるグローバル化の流れの中で、
日本人駐在員に頼った日本企業の成長は限定的。
真のグローバル企業になるためにすべき「GOM構築」の必要性を説いた内容。
国・文化・(M&Aの場合)会社も異なる海外事業、
これまでの事業軸だけの管理から、機能軸の管理を強めることで、
より強い組織足りえるというのが趣旨。
基本はここにあるが、実現するために経るプロセスとなる組織については、
企業の現状や考えによって、色々あって良いとしており、
改めて正解はないのだと感じる。
ただ、海外売上構成の低い企業については、
今後の事業拡大に向けては、国内リソースの配分を高める必要があり、
そのためにも本書に書かれた内容は極めて重要。
色々と参考になった。
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なるほどと思わせる記述も多数散見されました。
個人的には、日本企業がグローバル化ができない理由は、
経営幹部層の日本人:外国人の比率の悪さだと思います。
いうならば、日本人を優遇して、外国人を人事面で差別しているからだと思います。
駐在員制度などは、以前の典型的な海外進出の方法でしたが、
今は、ほとんど、うまくいっていません。
もう、こういう制度も、早く完全撤廃した方がいいと思います。
駐在員制度は、ただ、現地に日本人を送り込んで、連絡係として、
本社の意向通りに操作したいだけです。
現地化といっても、現地に本社の意向をよく聞く現地人を、
安い給料で雇っているだけです。
優秀な人を、安く雇えることを良しと思っている。
これは、グローバル化とは、相反する考え方です。
グローバル化とは、一面の見方では、人事面での公平性のことです。
こういう差別的な人事を行っている企業には、まず優秀な人材が集まりません。
つまり、ほとんどの日本企業には、優秀な人は、行きません。
私は現在中国にいますが、一流と呼ばれる大学の学生は、
まず日本企業なんかには、行きません。
まず、将来性がないことと、差別的人事を行っていると、
多くの学生が知っているからです。現に差別人事を行っています。
ホワイトカラーで雇って、同じ仕事内容なのに、
給料レベルで数倍の違いをつけています。
もし、反対の立場なら、どう思うでしょうか?
でも、それを何とも思わないのが、日本企業です。
今は、ネットの発達で、その手の情報が、
すぐに広まりますから、
日本企業に行く人材の質は、どんどん落ちています。
グローバル化の失敗とは、英語ができないとか、組織の仕組みの問題ではなく、
少なくない日本企業の性質が、グローバル化に適していないからです。
油が水になれないのと同じ論理です。
水になるためには、性質を変えないといけませんが、
それは、公平と平等を受け入れることです。
もし、それを受け入れるならば、多く日本人職員は、職を失います。
よって、グローバル化をするには、少なくとも、
経営陣含めて外国人比率が高いことが、一番確実なグローバル化です。
少々、組織をいじっても、社内を英語オンリーにしても、
比率が変わらない限り、何も意味がありません。
海外現地法人に駐在を置く、置かないというのは、
本質的な問題ではありません。
本質的な問題は、経営層が全て日本人に固められているからです。
外国人に対しての人事は常に閉鎖的です。
グロバール化という言葉には、いろんな捉え方がありますが、
人材面での評価の平等性ならば、
なぜ、経営層に日本人を多く置くのか、わかりません。
それは、先も言いましたが、公平と平等にすると、
自分達が不利になるからです。
この20年で日本企業にはグローバル化の波が押し寄せましたが、
多くの企業は失敗しました。
この20年でGDPも上がってませんし、
労働生産性も企業利益率も上がってません。
フォーブスに出る世界企業500には、
日本企業は数社しか残されてません。
20年前は、数十社が軒を連ねていました。
この20年で、グローバル化の結果は出ています。
つまり、多くの日本企業は世界市場の進出で失敗し、
これからは、ドメスティックな市場争いをするしかなくなりました。
ただし、国内消費市場も、これから、確実に縮小していきます。
今も、その混乱が様々な企業活動を行う上で、深刻な問題として、
発生しています。
これは、もはや解決不能な問題です。
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グローバルオペレーティングモデルに関する事例集と、著者による体系化したもの、そして意見。
グローバル展開した時に経営管理どうしましょうかね?業界や事業や社風等、企業毎に環境は違うから最適なものを考えないと機能しないよね、って本。
個人的には良かった。
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題名は「なぜ日本企業は真のグローバル化ができないのか」であるが、本書の内容は、その問いに答えつつ、ではどうすれば?ということも論じている。それも、かなり骨太に。
自分なりに、本書からの学びを整理すると、下記の通り。
■グローバル化の仕組みづくりは、単なる制度設計ではないし、ノウハウ的なものでもない。それは、経営の仕組みそのものだし、企業のガバナンスそのもの。従って、部分的に手をつけるといったいったものではなく、全体の改革が必要
■時間がかかる。大きな改革と捉えるべきものであり、小手先の問題ではない。何代かの経営者が、取り組み続けて成果が出てくる、くらいに考えた方が良い
■やり方は各社各様。何を目指すのかによって、そもそも違うし、各社のビジネスやグローバル化の程度などによって、全く異なる
骨太で納得感は高いが、経営者でないと取り組めない問題が論じられている。
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日本のグローバルの経営スタイルは「連邦経営」。多くの場合、地域/事業ごとに拠点を築き、それぞれが「自律的に」、事業規模を拡大することを意味する。
仕組み・システムとしての経営ではなく、「暗黙知を共有した人材(日本人)」に依存した経営モデル。
大半の日本企業のMission(何を目的に)、Vision(どんな会社に)、Value(どんな価値観で)は自社ならではの尖った言葉で定義されていない。
グローバル企業のマネジメントの本質は、事業軸・地域軸・昨日軸の三次元の最適解を模索すること。
脱グローバルマネジメント1.0向けた問題・課題をまとめると、組織/ガバナンスの壁、業務/ITの壁、人材/ビジョンの壁がある。
・組織/ガバナンスの壁→情報が事業・地域軸に集中し日本本社の機能軸は物理的にも、情報量でも現場からはなれてしまう。
・業務/ITの壁→業務プロセスが標準化されていない、ITのグローバル化が困難なため、本社機能軸が自律的に情報をとれない、上がってきた数字を地域・事業間で比較できない(言葉の定義がバラバラなので。)
・人材/ビジョンの壁→日本人だけでは事業軸、地域軸、機能軸を支えられない状況になってきている。
守るべきもの(固有の競争力の源泉)を担保する仕組みを構築する
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真にグローバル組織を作るための具体的な提言がまとめられており、日々の業務を俯瞰して考えるきっかけをくれた。
弊部としてはGOM構築のためにグローバル本部を立ち上げたものの、①日本以外の特定の国のトップをグローバルヘッドとして新設役職に置いた結果(GOMモデル2に近いか)グローバルな事業内容がわかっておらず結局日本の既存本部が動かざるを得なくなった②海外人材がすぐに辞めてしまい立ち消えになってしまった(総括もろくにされていない)という経験があるため、
①に対してはGOM構築の2条「情報をグループで公共財化する」によって1条「地域の壁を崩す」 を実現し地域横断的な方針立案ができるようにすること、②に対しては8条「長期にわたるGOM構築シナリオを保持する」によって人がいなくなって雲散霧消するのを回避するのが必要だなと感じた。
人材育成という観点では、p206「GOMを構築する人材を育成するには、「日本本社で入社後、10年間経理・財務畑を中心にキャリアを積んできました」という制度では困難である」というのが大変自分の耳に痛かった。ちょうど今年で同じ業務ひたすらやって10年になるわ、、勿論専門人材を目指すキャリアパスもあるのだが、今の興味関心としては全体感を持って仕事ができるようになりたいので、複数の業務を経験したいと感じている。その経験を踏まえて、キャリアのゴールとしてGOMのような経営・組織運営まで行くのか特定事業を横断的な視野で見るようになるのかは今後考えていきたい。
また駐在員依存からの脱却についてはローカル人材の育成と本部からのコミュニケーション強化、意思決定への巻き込みが必要だと感じた。本部からすると全体感がわかってなくて好きに言ってるだけ、ローカルからすると情報は落ちてこないし勝手に決められるし何も反映されないってなってるので、それゃ離れていくよねと。。というのを実現するには一旦駐在員を入れて、徐々にシフトしていくようにした方がいいと思うんだけどねえ。。(自分が駐在したい欲もありここは割り引いて検討)
p191performance(数字面での業績)だけではなくbehavior(組織のミッションに根差した行動)を評価軸にするという点も、既に組織では目標設定に置かれてるので、自分自身の話として特定業務ばかり深掘りするのではなく全社的な方針を行動に移せる人材であることを示す為にも必要だと感じさせられた。昨年は既存業務を言い訳にして横串活動をあまりしてこなかったので心を入れ替えます。。
ITインフラの共通化による情報の公共財化については、とりあえずやってること見えるようにしようってだけでは意味がなくて、KPIをモニタリングする為に必要、という点も刺さった。まあ本部が何やってるかわからないってのが弊社の現状なので見える化だけでも意味はあるのだが、組織のゴールとしてはKPI の測定に使われるべきよね。
等々色々な点から広い視野で考えられ、よい機会になった。
あとはまとまった時間で読書できたので、デジタルデトックスになってすごくきもちよかった。。また時間作ろう。