国家を揺るがす大事件
2017/05/16 23:33
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
2人の国王が襲撃された。互いに命はとりとめたものの、この一件で両国は一触即発の危機に。襲撃者の正体を突き止めるためフィデルマはクノックアーンニャに向かう。徐々に情報が集まり、光明が見えてきた。しかし、そんな矢先にとんでもない事件が……。今回は騒動が盛りだくさんでしたね。国家転覆を狙う陰謀に、予想外の犯人とお腹いっぱいです。法廷で事件の真相が明らかになっていくシーンは、夢中になって読みました。エイダルフとのコンビも見ていて面白かったけど、エピローグで別々の道を行くことになりそうで、次回はどうなってしまうんだろう。
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ここで……ここで、読者を放り出さないでぇ~~~!(@@;)
次の巻を……次の巻は、いつですかっ!?
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今巻は、シリーズの中でも最大の政治的陰謀。
それに加えて、アイルランドに古くからある精霊信仰の根強さが重要なテーマになっていて、読みごたえがあった。
ここらへん、日本人には理解しやすいが、この手の土着の信仰を「異端」として排除するのがローマカトリックの真骨頂なので、エイダルフが戸惑うのも当然だけど、今巻ではそういう小さな齟齬が二人の間にちらほら見えて、コンビネーションがいまいち、というのももどかしかった。
最後は両人とも、背中がかゆくなるほど鈍すぎだし!お互いに、もっとストレートに話そうよ!と、大きなお世話を焼きたくなる。
超人的なまでに何でもできる完璧かつ独善的なヒロイン、フィデルマも、自分の色恋沙汰はニガテなのね、と思うと、少しかわいらしい(笑)けど、このコンビが見られなくなるのはイヤだ。
今後のモアン王国の立て直し方とか、犯人の処罰とか、せっかく法廷劇の形式になっているのだから、最後まできちんと決着をつけるところまで書いてほしかった。
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あーもう、本筋とは関係ないんだけど、最後の最後で、エイダルフのボンクラさにがっかり。我らがフィデルマも、そこはっきり言えや!っと言いたくなる察してちゃんぶり。
本筋はモアン王国の存亡がかかった大事件で、誰もが怪しく謎だらけ。
それにしてもこのシリーズ洞窟が良く出てきますな。アイルランドには洞窟が多いのか、単に洞窟を利用した建物が多いのか。
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このシリーズの最高に面白いところは、馴染みのない古代アイルランドと、当時のキリスト教についてうまく解説しつつ、その「ほとんど異世界」である舞台にすんなり読者を連れて行ってくれるところだと思う。
作者は本職のアイランド歴史学者だそうだけれども、だからといって、蘊蓄が語られすぎることもなく、登場するキャラクターもフィデルマと、ワトスン役のエイダルフ修道士はじめ、魅力的なキャラクターばかりだ。
今回もモアン王国を襲った未曾有の危機に際して、ほとんど孤軍奮闘するフィデルマとエイダルフ、筋立ては複雑で、読者もミスリードされまくる。
しかし、あえて難を言えば、いくつかの仕掛けはわりと最初の内に見えてしまうということと、ラストはせっかく法廷劇のしつらえであるのに、実際にはすぐさまいつもの、フィデルマによる「名探偵みんな集めてさてと言い」になってしまうところ。
現国の弁護人ソラムがあくの強いキャラクターであるだけに、法廷劇らしい部分がとても短かったのは残念だ。
そして、「真犯人」がどのように処断されたのかについても曖昧なまま。これは読みようによっては竜頭蛇尾とも感じられる。
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族長襲撃事件の証拠を追って、イムラックの大修道院にやって来た修道女フィデルマ。
元修道士が関わっているようなのだ。
兄である国王コルグーにかかった疑いを晴らすためだった。
ところが、そこでは大変な事態に‥?!
イムラックの大修道院では、貴重な聖遺物が紛失。
保管を担当していた修道士が失踪してしまったという。
調査を依頼されたにフィデルマは、妙な事実に気づく。
修道院のある町は襲撃を受けて大荒れとなり、人々の心のよりどころが失われそうになる。
王国の平和と威信を取り戻そうと奮闘するフィデルマ。
王の妹で、頭が切れる超秀才で高位の資格を持ち、しかも活発な美人というフィデルマですが、大の男が束になってもかなわない難題を解決する役立ちぶりは立派。
アイルランド史の教授でもあった作者にとっては、愛弟子のような感覚で自慢したいのかな。
当時のアイルランドでは、実は修道女でも結婚できるんですね。
捜査のときのよき相棒だったサクソン人の修道士エイダルフとの仲は‥?
今回、さらっと離れてしまいそうですが~
怖いものなしのようなフィデルマの口にできない思いと恋愛下手、これが実は弱みかも。
いやまた出会うのは間違いないと思うけど、どこでどんなふうにか?
気が揉めますね(笑)
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この巻を境に、フィデルマとエイダルフの関係に変化が生じる。今後のフィデルマに関しては、既訳の短編集でちょろりとお目にかかれるが、原作はもう20巻を越えてしまっているので、和訳の刊行ももうちょっとペースが上がると嬉しいな。
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(上巻より続く)
最後の法廷シーンはいつも通りの見せ場だが、
兄のコルグー王が途中で激昂する場面が、
なんとも残念な感じ。
だまされやすいところがあるかもしれないけど、
良い王だと思っていたのに。
フィデルマのことを信じられない器の小さい男に
描かれてしまったのが残念。
フィデルマが結婚を意識してたとは意外。
エイダルフとの仲はどうなるのか。
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666年アイルランド、モアン王国。王都キャシェルにてフィデルマの兄王コルグーと、敵対していたオー・フィジェンティの族長との和平交渉が行われることになった。だが、王が族長を伴ってキャシェルに足を踏み入れた途端、二人を暗殺者の矢が襲う。一命はとりとめたものの、犯人の身元をめぐって再び両者は緊張関係に。暗殺未遂に使われた弓矢の出所を探すことになったフィデルマとエイダルフは、その途中立ち寄ったイムラックで修道院から聖アルバの聖遺物と一人の修道士が消える事件が起きたと知る。二つの事件の関連を疑いはじめた矢先、イムラックの町を謎の武装集団が襲う。王国に内紛を起こそうとする真犯人の巨大な陰謀とは。〈修道女フィデルマシリーズ〉長篇邦訳第7作目。
前作『翳深き谷』がざっくり言って「カトリック対古代ケルトの土着信仰」の話だったのに対し、今回はケルト・カトリック内での内輪揉め。しかも「ケルト教会の始祖を聖アルバとするか、聖パトリックとするか」という派閥争いが王族の〈正統〉をめぐる争いとなり、ひいてはアイルランドの統一および中央集権化という大きな野望の話になっていく。だからこそ、王の権威を支える教会の聖遺物が盗まれることは大事件になるのだ。
今回面白いのは、フィデルマもアイルランド特有の聖人信仰や樹木崇拝を熱っぽく語る場面があること。占いには懐疑的だが天文学には敬意を表し、オーガナハト一族の神樹に「トーテムか!それって、異教徒の愚かしい迷信です」とコメントするエイダルフを「"楔形の十字架"だって、トーテムですわ」とやりこめたり。特に上巻ではキリスト教がアイルランドに布教する際、いかにケルトの神と習合してきたかがうかがえる問答が交わされ、興味深い。
ミステリー部分ではミスリードのためにエイダルフが異様に忘れっぽくなっているのが残念。謎の構造に対して長尺すぎるのでは。その代わり、エイダルフには医術で頼りにされたり、ピッキング技術を自慢する見せ場(笑)があったのはよかったけど。