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精神疾患者を医療につなげようと活動してきた押川さん。精神疾患者とその家族を救う受け皿はとても少ない。特に、他人を傷つける恐れのある精神疾患者は他の入院患者の安全のために病院も受け入れを拒否する。このような現状を打破するためには警察OBによるスペシャリスト集団を作ればいい、というのが筆者の意見。
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いかにも重さうな内容を示唆する表題であります。手に取るのを躊躇するところですが、何となく目を背けてはいけない事が書かれてゐるのではと思ひ、一読した次第なのです。
心の病気と一口に言つても、その内容は実に多岐に亘ります。例へば認知症。誰でも発症する恐れがあり、実際多くの人が罹患してをります。わたくしも血圧を下げる薬を飲んでゐる為、将来に影響がないか不安に思ふところです。発病して夜間徘徊し、踏切に立ち入り電車を止めることが無いと、誰が言へるでせうか。
そんな様々な精神疾患ですが、以前は「精神病」などと差別的に言はれて、「隔離」の対象でした。昔の映画なんかで、精神病と認定された人が、無理矢理精神病院に連れられて行き、本人は「俺はキ○ガイぢやない、正常だ!」などと叫んでも強引に鉄格子(!)の中に幽閉されてしまふ場面がありました。映画『マタンゴ』(本多猪四郎監督)でも、久保明が無人島での体験を話すが、余りに荒唐無稽すぎると思はれたのか、精神病院の檻の中に入れられてゐました。
著者は、精神を病んだ人たちを、患者本人を説得した上で(強引な拘束などは排除し)医療の現場へとつなぐ仕事をしてゐる人。精神疾患の中でも、内に籠る場合と、外に爆発するケースがあります。本書では主に、後者に属する実例を紹介してゐます。
もう成人してゐるのに、社会への適応能力が著しく低く、仕事も長続きせず、悪いのは皆他人の所為だと被害妄想に陥り、親や兄弟姉妹に当り散らし、暴力を振るい家中を破壊しまくり、近隣住民ともイザコザが絶えず、「このままでは殺される」と生命の危機さへ覚え、警察に相談しても「事件がなければ動けない、何かあつたら連絡して」といふことで、万策尽きた親が著者に相談に来るさうです。その究極の依頼が、本書のタイトルになつてゐます。
著者は既に1000人以上を医療機関へ移送した実績を持つさうですが、その中で感じた問題や課題は、国レヴェルで解決しなければならぬ事が多いと。まづは、さういふ他人を殺傷する可能性がある患者は、どこの医療機関でも受け入れたくありません。運良く受け入れてくれても、やはりスタッフや他の患者とトラブルになつたり傷つけたり、病院の備品を損傷したりして、追ひ出されてしまふ。そしてかういふ、じつくりと長期で治療しなくてはいけない患者も、一律で最大三か月間しか受け入れてくれないのださうです。わづか三か月では、家に戻しても結局元通りで、何の解決にもならぬのであります。
何でも三か月以上入院させても、病院としてはカネにならぬのださうで。その辺の事情は本書を覗いてみて下さい。ここでも「最後は金目でしよ」といふ訳か。
著者は、かういふ患者たちの為に、専門の公益財団法人(スペシャリスト集団)の設立を提言してゐます。事実上、医療の現場から見離されてゐる患者たちは行き場がありません。放置は、即ち家庭の崩壊・殺傷事件の誘発を招きます。そのスペシャリスト集団は、経験豊かな警察官OBを中心に組織すれば良いと述べてゐます。せつかくの能力・経験を活かさないのはもつたいないと。
同時に著者は、患者の家族(��くの場合はその親)に対しても注文を付けてゐます。専門家に押しつけて、後はお任せします、ぢやあよろしくと、まるで他人事の親が多すぎるさうです。著者としては、むろん依頼を受ければ全力で解決に当るのですが、何よりも家族の理解と協力が必要であると。
子供の問題行動は、その親に原因がある場合が多いのではないかと、注意を促してゐるのです。憎まれるのを覚悟で(実際、この指摘には批判が多いさうです)問題解決のために敢へて苦言を呈す、といふところでせうか。
出口の見えない問題だけに、読後は重苦しさが残ります。しかし、知らないままだつたら、自分は偏見を持つたまま過ごすのだらうな、と思ひますので、やはり多くの人が目を通すべき一冊ではないかと存じます。
では今夜はこんなところで。御機嫌よう。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-619.html
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精神を病んだ人たちを説得して病院に搬送する、民間会社。患者とその家族が抱える問題と病院側の事情なと、ノンフィクションで綴られる。
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精神的に追い詰められた家族を救う筆者。
当人、その家族の実際にあった彼らの話。
第1章、リアルなケースを綴ってある
結構細かく書かれています。全7ケース。
第2章、親からの願い
手に負えない状況に陥ってしまった患者の親からの願い。
第3章、最悪なケースほどシャットアウト
グレーゾーンだったり、110番しろだったり。
第4章、精神保健福祉法が改正されて何が変わったか
ある意味、何も変わらないように感じるのは私だけ?
第5章、日本の精神保健のこれから
犯罪精神医学が行ってきた事を鑑み、日本へのスペシャリストの必要性。
第6章、家族のできること、すべきこと
果たして家族はどうやって向き合っていけばいいのか。
読んだ感想としては どうしろというのか? と。
今までの事例を挙げて。
でも。
自分の感想としては、どうしたらいいのか? しか出てこない。
自分の周りも、自身も当人なので。
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平成28年6月16日読了。手段は180度異なるが、押川氏が目指しているベクトルの先は、戸塚ヨットスクールの戸塚宏校長とほぼ同じではないかと思った。親にもどうすることもできなくなったモンスターを『処分』するためには、戸塚先生は必要悪であり、誰も触れたがらない問題を使命感を持って請け負う様は、押川氏と同じスタンスを感じざるを得ない。
親子問題や家族間の紛争を外野から批判するのは容易いが、いざ当事者の立場になったら絶望してしまうだろうと感じながら読み進めた。後味の悪い読後感である。
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精神医学に分類されていましたが私はこちらもやはり社会問題の分類に入るように思います。
タイトルと表紙の写真から何となく虐待であるとか、未成年の子供を扱いかねる親の話なのかという印象がありますが、全く違いました。
人格障害と思われる子供を持った家族の苦悩がこれでもかこれでもかと出てくる一冊です。そして根本的解決は見当たらない。救いが無いと皆さんおっしゃっていますがその通りです。でもこういう現実の家族がいるということを知る必要もあるということでしょう。
こういう人に対処する場合、医療機関も公的機関も結局たらいまわし的扱いになるでしょう。今の制度のままではそうならざるを得ません。根本的対策がないのですから。
新しい制度が必要なのだと思いますが、それを誰がどのように決めて施行してくれるのか。一歩間違えば個人情報侵害や人権侵害と言われかねない状況もでてくるでしょうから大変対策は難しいと思われます。
でも、こういうどうにもならない人間て現実にいます。「殺してください」とまで言わしめる苦悩は当事者でなければおそらく本当にはわかり得ないのではないかと思います。
どう対処しても無理な人間がいるのは事実なので、親の責任ばかりを問うことは出来ない場合もあると私は思います。
逆に親が率先して子どもを精神疾患ということにして犯罪の隠れ蓑にしようとしているというケースもあると本文中に指摘があります。それもまた本当のことだと思います。
そのまた別のケースで、子供が犯罪を犯した後、精神鑑定で精神疾患と認定されて犯罪者として裁かれたほうがまだ良かった、と言った親も私は知っています。
こういう人間を家族に持ってしまったら、家族は暮らしも認識も、常識とかけ離れた状況になっていってしまうのかもしれませんね。
アメリカでは人口の15%がパーソナリティ障害だというデータがあると本文中にでてきますが、ショッキングな数字と言ってもいいと思います。(もちろんパーソナリティ障害だからといって犯罪を必ず犯すわけではないのですけれど人には言いにくいことではあります)
「何かあったら110番を」って何かあってからでは遅いけれども、現実にはそれしかないのでしょうか。
著者の方が本書中で述べられている警察OB組織による「グレーゾーン」対策、出来たらすごいなと思いますが現実的には無理な気がします。
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精神の福祉って難しい。
修羅場の地獄のような家庭があり、前向きな未来を感じられない。それでも最善を尽くす方法を模索しないといけない。
私には想像もできない世界。
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精神障害者移送。聞いたことのない言葉だった。
精神障害の背景にある歪んだ親子関係。
子は親の鏡。
長年にわたるプレッシャーが形を変えて噴き出す。
体を強く押すと痣ができるように、心に強い圧迫が長期に加わると心が病むのだ。
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「司法と医療の境目」という言葉にハッとした。人間ってこんなにも脆いものなのかなと。親の見栄や不仲、そんなどこにでもありそうな家庭環境が、こんなモンスターの病原菌を植え付けてしまうものなのだろうか。生まれもった何かがあるのか、生育過程が関係あるのか、わからないけれど、こんなにもロジックを飛び越えたやりとりが存在しているのかと思うと、やりようがなくてつらい。家族は切っても切れないから。
社会で支えるなんて非現実的だと思う。異質者は何事もないように社会から切り離されてしまうから。悪意なく。
ただ、遠い世界の出来事ではなく、自分の世界にも起こりうるものだと捉えよう、と思った。
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精神障害者移送や更生支援施設運営などで様々な精神を病んだ人々と接してきた筆者。本書では実際に対応した患者と家族の事例やその経験から見えてくる方策、精神医療と法整備のあり方について書かれている。第1章ではアルコール依存症となり父親を切りつける息子や子供を殺してくれと懇願する親など、ショッキングな事例を紹介。第2章以降は法改正を中心に精神医療の現状等が書かれているが、要は「他人任せにせず、家族が当事者意識を持ってしっかりしてください」ということか。“現代人必読”という触れ込みは少し大袈裟かな。
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んー…まぁまぁですね! 子供に関する症例…つまりはドキュメントの部分は楽しめましたけれども、精神医療だとかともかく著者がつらつらと精神医療の現状だったり、対応策だったりを述べたりしている部分は別に読まなくてもいいかな…と。
それに1000以上の問題のあるお子さんたちを医療施設へと繋げてきた著者だからこそ、もっと実際の例を紹介してもらいたかったんですけれどもねぇ…まあ、ともかく、ドキュメントの部分は読み応えありましたね!
ヽ(・ω・)/ズコー
今後ますます家族の関係が変化…それもどうやら悪い方向に…変化していくくさいのでこの本に紹介されていた症例のような子等も増えるかもしれません…混沌とした時代の到来です(!)…。
さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー
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30~40代になって"異常"行動があるのは、やはり子どもの頃からの生育環境が原因なんでしょうね。ただ、行政や医療に繋げるのは重要ですが、こころの病をどうやってカンカイさせていくか、家族の関係をどうしていくかですね。精神医療のサポートと警察等の行政の連携が重要になってくるのでしょうね。
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日本の精神医療の実態、なぜ精神障害者による犯罪が多発しているのか、等がよく分かり勉強になった。
家族に精神障害者がいる人にとってはとても耳の痛くなるようなことが書いてあって、実際自分がその立場になったらと思うと想像するだけで辛い。家族でもどうしようもない凶暴な患者を相手にするのは病院の人だって敬遠したくなるのは当然だと思うし、実際改善もせず、閉じ込めておくこともできないならどうしようもないと思ってしまう。
だからといって、事件が起きたら警察、司法のお世話になってくださいね、それまではどうすることもできません、という現在の病院や保健所の対応はおかしいと思う。ストーカー相手に警察がこんな対応をしていたら世間から袋叩きに遭うだろう。
とても難しい問題だというのが分かって読んでよかった。
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最初に実例を列挙して、分かりやすく精神科領域に関わる犯罪を解説。その後、現状の問題点と今後の展望に関する筆者の見解を提示。頭に入ってきやすい構成だと思うし、実際、読みながら特に違和感を感じることもなかった。同時並行で隣に並んだ「家族狩り」を読んでいたこともあり、シンクロした内容に少し驚いたりもして。精神科診療と警察介入の微妙な関係性とか、そういう点でも見どころはあったけど、親子関係を見つめ直すきっかけにもなる内容。不幸な病気という側面もさることながら、向き合い方ひとつで変わってくるという、身体疾患とは一線を画す面にも留意が必要。身につまされました。
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最初の章の具体例が一番心に残った。身近な人間でこの予備軍だったなと思う人がいるだねに、身につまされる。
問題の難しさがよくわかった。