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不信と狂信
少女と少女(のような者)
伝奇に依る者と現実を生かざるを得ない者
そんな対峙のお話
青春小説ではあるけど、主人公のハルカちゃんは
悲しいくらいに大人だよね。
親世代としては、最後に
早熟な「大人」でなく、
しっかりと「成長」してるとこが見られたのが救われた感じ。
このお話にひとつ横から口をはさむとしたら
16歳での独立は、それはそれで楽しいことも多く御座ゐましたよ
ってことだな。
だからハルカちゃん、がんばれ。
あ、それと
内面が大人どうし、
ハルカちゃんとリンカちゃんは
けっこう良い友達になれると思うよ。
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怖い、不気味、面白い。
会社のお金を横領した父から離れて継母の故郷に暮らすこととなった主人公の少女と、血の繋がりのない弟の話。少女の視点で物語が進むのだが、寄りどころのない、不安定な立場と心が伝わってきてどうにも不安になる。継母は優しさで面倒を見てくれているだけだから、無理は言えないし言わない。泣き虫の弟は継母の実の子供で、うるさいから嫌い。転校生としてやってきた学校でうまくやっていくために、クラスメイトとの距離を計り計算して付き合いをする。少女の、安心できる居場所がなく、不安定で、心細くて、強がって生きていかないと生きていけない心持ちが辛くて身が震える。他人に弱味は見せられない。強く見せかけないと生きていけない。誰もまだ頼れない。
そんな状況の中で、どこかふすま一枚「ヨソモノ」を隔てている、それが当たり前となっている田舎の空気がじわじわくる。未来視と伝承という胡散臭さと、サトルの嘘つきな子供っぽさから、提示される謎にあまり深刻にとらなかったが、リンカとの対面シーンからは舞台装置が明かされる。ただ一つの水野文書を手に入れるためだけに町ぐるみで子供を騙し、拐う。何よりも、生活と引き換えに子供を売った母親の姿に衝撃を受けた。
この物語が、この街が本当の姿を見せ始めたのは、偽りの優しさをやめたのは、継母の離婚届からだ。中学一年生に対して、義務教育中までしか面倒はみないと宣言するか?中学一年生の子供に生活費を入れるよう求めるか?気を遣って遠慮しておこづかいもねだらなくて部活にも入らずに、洋服さえもありものでなんとかしようとする子に対して、言いにくそうにしていたとしても、本当に言うか?ハルカは分かっていたんだろうか。継母の優しさが偽りの優しさであることに。弱くてずるい大人であることに。おみくじを支えに父親が戻ってくることを願っていたバルコニーが、お腹が空くのを我慢して集めたおみくじをびりびりにして慟哭したシーンは、どれほどの感情が詰まっていたのか。
可哀想とは思わない。当事者の気持ちに重なって、上から目線で可哀想なんて言ってられない。切ない、ともそれだけではない。来るのは分かっていて、その覚悟をしていたつもりでも、全般に寂しさが漂う、寂しい秋のような作品だった。
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名作「ボトルネック」と同じように,思春期の子どもを主人公とした青春ミステリ。「ボトルネック」と同じように非常に残酷な話である。
主人公は中学一年生の女の子である越乃ハルカ。実の母親ではない母と母の連れ子であるサトルと同居している。実の父は,会社のお金に手を付け,バレそうになると借金を残して失踪した。この設定だけでも,ご飯が3杯くらい食べれそうな,絵に書いたような辛い話である。
ハルカが辛い生活を送る舞台は家庭だけではない。学校生活も相当辛いものが予想される。米澤穂信が描く子どもの世界はとても残酷でつらいものである。子どもの世界特有のルール,ヒエラルキー。子どもの世界である程度の地位を保つために必要なこと…。子どもの頃に,いじめなどに合い,つらい生活をおくったことがある大人にとって,この辺りは非常に共感してしまう。
地方都市である坂牧市という過疎化が進む土地で,よそ者として生活しなければならない主人公,越乃ハルカの生活は息が詰まるようである。しかし,越乃ハルカは,上手く立ち回ろうと必死に努力をする。これが,実に痛々しい。ハルカの生活の助けになっている人物は二人。まるで天使のように,理想的な人物として描かれている母親と,心を許せる友達として描かれている在原リンカである。
「リカーシブル」は,ただの青春小説ではなく,ミステリである。よって,謎が存在する。その謎は,「ハルカの弟であるサトルが未来を知っているのはなぜか」というものである。この謎に,坂牧市に伝わるタマナヒメの物語が絡んでくる。
「サトル」の未来視とタマナヒメの物語は,物語の収束する。真相は,サトルが3歳の頃の体験を思い出させるために,坂牧市全体でサトルの3歳のときの体験を追体験させているというものである。
ハルカは,ハルカを支えていた二人の人物,ハルカの母親である雪里ヨシエとリンカから裏切られることになる。ヨシエは,サトルを坂牧市に売り,リンカは,黒幕的な存在である現代のタマナヒメだった。
タマナヒメの存在という,ややオカルト・SF的な設定が絡んでいるが,話全体としては十分にのめり込める。しかし,ミステリとしてはやや弱い気がする。真相はそこそこ驚けるのだが,伏線が回収しきれてないように思える。
「リカーシブル」を読んで,一番心が震えたのは,ハルカの母が,離婚を決意し,そのことをハルカに伝えるシーン。それまで天使のような人物として描かれていたハルカの母親から,雪里ヨシエというただの他人になり,「ちゃんと中学を出るまでは面倒を見るからね」と言うシーンはあまりに残酷である。
「生活が苦しい雪里さんとしては破格の好条件だよね」とハルカが納得するシーンは読んでいて苦しくなるくらい。
「卒業まで3年。家族から居候になって,いまでも割と小さくなっていたつもりだけど,さらに頭をひっこめて3年過ごして,その後は特に予定無し,か。」,「いまボンヤリと流されたら,取り返しのつかないことを決められてしまう」と続くこの部分は,最高に残酷だと思う。恐怖すら感じる。
ミステリとしてより,米澤穂信らしい残酷さがたまらない作品だった。ミステリとしてやや物足りない部分が���るのは間違いない。しかし,こういう否応無しに心に残る作品には★5をつけたい。ずっと忘れない作品になりそうだ。
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父親の蒸発により継母の故郷に移ったハルカ。
寂れた町で未来と過去を見始める連れ子の弟。
常井村に伝わる「タマナヒメ」を巡った死の系譜。
五年前から続く高速道路信奉。
蕎麦屋の娘、新しい庚申堂、揺れる報橋、押入れの裏側。
そういえば高速道路反対勢力の実態が意外と描かれなくて記号的だったような。
三浦先生が結構存在感あってよかったけど、当てられ役とヒント係に留まったのか。描かれはしないけれど、弟を味方になると決めたハルカの支えになったらいい。父親が帰ってくるといった弟に未来視の力はなく、引き続けたおみくじも答えではなかったけど、リンカの意味深な言動は「タマナヒメ」の実在をほのめかしてもおりすこし神秘を残した仕上がり。
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ハルカの思う学校生活は息苦しい。これが現実なのかな。今の子どもたちは、こんなに浮かないように、目立たないように、ひとりにならないように心を砕いているのだろうか。なんて思ったけれど、私も中高生のころは大なり小なり同じようなことを気にして生活していたのかもしれない。今でこそ、そんながんじがらめな人間関係とは距離を置きたいと思うけれど、悩むことは、やっぱり人だなぁと思い直す。どうか少しでも自由になれますように。
米澤さんの本をはじめて読んだ。どうやら青春ミステリに分類されるようだけど???。いろいろ張られた伏線があまり生かされずに終わってしまった。三浦先生は?ママの過去とママとの関係は?この町にとっての高速道路とは?タマナヒメの存在意味とは?全部が解決、つながる必要はないと思うけれど、どこか消化不良な読後感。
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ミステリーではあるのだけれど、それよりも家でも学校でも余所者としての疎外感を抱え、義弟に対してやや冷たくあたる主人公・ハルカが、読んでいてちょっと辛い。終盤の義母とのやりとりとか、中学生にはきつい展開だよねぇ…
で、リカーシブル(再帰的)という題名から、これは超常現象的な展開で落とすのかな?と思っていたら思っていたよりは現実的で、少し中途半端な気もしたかな。ただ、少しホッとしましたけど。
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重苦しさを感じる背景の設定に
なかなか読み進めなかったが
ハルカの芯の強さにほだされて
少しずつ感情移入していった。
これも作者のうまさなのか
オカルト的な話がいつの間にやら
論理的な推理へと転換してゆく頃には
すっかり惹きこまれてしまっていた。
それにしても
しっかり者の姉と憎めない弟だなあ。
これから2人に
幸せな未来が訪れますように。
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2015/07/31読了
はじめはジャンルがわからず、フワフワした感じで読み進めたが、それもまた心地よかった。後半からは話の内容が読めたが、それでも、昔話と絡めたストーリー展開は最後まで楽しく読めた。
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ある街に引っ越してきた主人公。彼女の義理の弟が未来と過去の出来事を的中させる。その謎は街に伝わるオカルトな童話に繋がる。
話の展開が遅いので、テンポ良く読むのが好き、という方には向かないかもしれません。しかし、話が展開しない前半から中盤では著者の豊富な語彙と言い回しで楽しませて頂いたので、退屈せずに読めました。
2、3自分なりに腑に落ちない部分はありましたが、想像できない結末が用意してある素晴らしいミステリー小説だと思いました。
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なんかヘンな町という印象を抱かせつつ進む物語は、割と淡々。
登場人物同士の掛け合いが、少女という事でディープな腹の探りあいまでいかないのが原因だけど、拙い少なめの会話が、より得体のしれない雰囲気を引き立てている気がする。
伏線が最後、緻密につながってくるのはこの人らしくてさすがだった。
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父が失踪したため、義母の故郷に引っ越す事になった主人公ハルカ!弟と義母の三人での新たな土地での生活が始まる。
しかし、その街では高速道路の誘致に伴う過去の事件、生まれ変わりの伝承など不穏な空気が漂う中、弟が言うとおりの出来事が起きて行く!
中学校一年生にしては心の成長の早い主人公ハルカの青春ミステリー!
街ぐるみの隠し事って怖いですね。誰を信じて良いのか?誰が信じられるのか?いつ狂気に走るのか非常に不気味な人々に不安を感じながら読みました。
併せて周りに必要以上に気を使う主人公、義母に捨てられないように、学校で虐められないようにと気を使いすぎるのに痛々しさを感じました!
著者の他の作品と比べると見劣りしますがそれでも上々です。
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父親の失踪により、継母の故郷に引っ越してきたハルカ。序盤の展開は遅いながらも、過疎化が進んだ地方都市の様子や、土地に伝わる民話、不思議な言動をし始める弟が、じわじわと不穏な空気を醸し出してきて、飽きることはなかったけど、中学1年生の女の子が探偵役のせいか、結末があっけないというか、若干スケールが小さい……これは、私が青春ミステリーというジャンルに満足できなくなっているのが原因かも。複雑な家庭の事情を抱えたハルカの逞しく生きようとしている、少し醒めた心情の表現はうまいなあと思った。
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病院で読む本がなくなって売店で購入。この労災よリ青葉の方が置いておく本のセンスが良かった~越野ハルカはママとサトルと共にママの故郷である坂牧に引っ越して来て、中学入学という節目に、何気ないふりで過したが、商店街にある古い蕎麦屋の娘であるリンカには、よそものであることを見抜かれてしまいハラハラ、幸いなことにリンカは気立てが良かった。それよリも気がかリはサトルで、小3のこの子はこの町に来てから予言めいたことを云い、まるで未来が見えるのだ。弟じゃない。パパが再婚した相手の子で、パパは会社の金を盗って失踪した。ボランティアで河川敷のゴミ拾いをしている時にリンカが教えてくれたのは、高速道路誘致の推薦報告書を書いた酒井教授が報橋から落ちて死亡していること・サトルが落ちた人がいると怖れていたこと・報告書をさがすためのゴミ拾いではないかということだった。知りもしないことを話すサトルのことを知られたくないが、この土地には身を擲って村を救ったタマナヒメの伝説によく似た話で、そのタマナヒメは何代にも亘って出現し最後は自殺し、相手も溺死しているのだ。リンカにタマナヒメについて聞くと、庚申講のために選ばれている今のタマナヒメのユウコさんに引き合わせてくれたが、帰リの下り道で出会ったサトルは、ー軒の家を指して、ここに住んでいたと云う。夜散歩していると、報橋で車が燃える事故を目撃し、翌日怪我をしたのがタマナヒメについて教えてくれた社会の三浦先生だと判明した。見舞いに行って話を聞くと、タマナヒメについて書かれた「常井民話考」は市内の図書館から消えており、その執筆に係わった人物が変死していることから、自分も消されかかったのだと説明する。パパから離婚届が送られ、ママから面倒を見るのは中学卒業までと穏やかに宣言され部屋で大泣きした翌日、サトルが帰宅しないのにママがさほど動揺していない様子から、カラクリがわかってきた。タマナヒメとして紹介されたユウコさんは影武者で、サトルは5年前まで実際に住んでいて、建て直される前の康申堂が焼かれるのを見ていたのではないか…。ハルカはサトル救出の為に動き出す~ふ~ん、こういう小説の伏線はディテールの中に隠されているから、遂時レビューを書いていくスタイルでは、ちっとも残らない。やれやれ…
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弟の関係がだらだらと続き何も起こらない。
昔の伝説みたいな話がだらだら続き追い打ち。
流し読み。
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越野ハルカと弟のサトル。
来たことが無いはずの町で「ぼく、知ってる」とのたまう生意気で泣き虫な弟にイラつくハルカだが、越してきた町には大きな秘密があって…
姉ハルカの心情もしっかり描かれているし、ラストも細やか。
楽しく読めました。