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蛍草とは。露草の俳諧での呼び方。
幼い頃に父を亡くし、少し前には母を亡くし、訳あって出自を隠して、武家の女中として働いている、主人公の菜々。
主家の奥方、佐知によれば、菜々は蛍草のような女の子。儚げではあるけれど、素直で芯のある優しくて強い女の子。
そんな佐知の見立て通り、菜々は、持ち前の素直さと芯の強さで、佐知の亡くなったあと、風早家の家事を取り仕切り、正助やとよを守り、出会う人達を自然と味方につけていく。
そしてついには、風早家の主人、市之進にかけられた罪の疑いを晴らし、同時に父の名誉も回復する。
そして、疑いがはれ、赦免となって屋敷に戻ってきた市之進の妻になる。
出来すぎ感が無くもないが、大変な状況でも暗くなり過ぎず、健気で状況を何とかしようとする菜々の姿は一貫して物語を凛とさせてくれ、まさに「蛍草」のようだった。
解説には、葉室鱗の入門書としてお勧めの作品の一つとして、本書が挙げられていたが、確かに読みやすく、エンターテイメント性もあり、葉室麟の入門書としてだけだなく、時代小説が苦手な方の時代小説の入門書としても良いかも、と思う。
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2020年5月12日読了。
主人公菜々が、武家の出を隠し風早家に女中として奉公するところから物語が始まる。幼い頃に父が切腹、その後母も病気で亡くすという悲しい過去を持っているものの、菜々は明るく素直、そしてひたむきな女性であり、悲壮感があまりない。風早家の人々が皆優しいのもあるが、菜々の人間性が周りの人々を惹きつけ、結果として彼女を助けてくれる多くの仲間ができることとなる。父の仇である轟が今度は当主を狙おうとするのに対し、菜々は周りの協力も得ながら屈託のない精神で立ち向かう。
わかりやすい勧善懲悪の話は久々であったが、読んだ後も優しい気持ちになれる素敵な作品。
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世界が、コロナウイルスの騒ぎで、一瞬に、凍り付いたような世界の町並みになってしまって、テレビの報道から、目が離せなくなっていた昨今。
こんなにも、自宅での自粛で、いろんな人達が、トライしているのに、自分は、好きな読書もままならないような気分であった。
やっと、少し、暗い世界から、ほのかな明かりが、見えつつある現代。
読書熱が、再開して、読む気になって来た。
時代小説も、正義漢にあふれる者が、悲惨な目に合う事が、多いのに、時代背景などが、素晴らしいものが、描かれていて、つい、読みふけってしまう。
葉室麟氏の「蛍草」表紙のカバーに描かれているようにツユクサの事である。
16歳の菜々が、奉公へ上がった早坂家は、当主も奥方もそして子供達も温かい人達である。
そして、そんな温かな家に、奥方の佐知さまが、病に寝込まれて、儚くこの世を去ってしまう。
佐知は、奉公人の菜々を妹のように思い、子供と当主を託す。
菜々は、武家の出なのに、父の無念の切腹が、策略の末の事であったのを母親から、知らされていた。
どんなにあがいても、その敵にかなう事も無いのだが、、、一途に、、、
そして、当主も罠で、勢田獄から網乗り物で、江戸ヘ行ってしまう。
優しさだけでは、どうしようもないのに、、、、
子供を引き取り、これからの生活はどうするのだ・・・・
と、読むのを止める事が出来ない。
次から次へと、菜々は、苦難を乗り越えていく。
助ける神がいるように、質屋のお舟さんから、力強い町の権蔵から、野菜を持ち帰る途中 出会った剣術家 五兵衛迄、味方に付けてしまう。
そして、しっかり者の菜々なのに、名前を間違えている所も、この本の中で、緊張感を解きほぐして、くれている。
奥方の佐知が、「蛍草」を蛍はひと夏だけで輝いて生を終えます。だからこそ健気で美しいと、、、菜々に伝えるのだが、、、、、
蛍草、、、ツユクサは、根が、深く、毎朝美しく、すがすがしい青色の花を咲かせてくれる、力強い草だと、思うのだが・・・
最後は、良かったね、菜々!!!と、思ってしまって、本を閉じたのだが、、、、
未だ、掃除もせずに、読み漁っていたことに、、、、
でも、やっと、本を読む気にもなって来た。
最後の解説を読みながら、与謝野晶子の「みだれ髪」の歌で、「清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢う人みなうつくしき」が、掲載されていたのだが、、、
今年の春は、桜をめでる事も余り出来なかったし、側で、逢える人も、無かった。
来年は、沢山 花も愛で、人とも近くで会話できることを願いながら、、、、、、本を閉じた!
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NHKでドラマとして放送された『菜々の剣 螢草』の原作.増刷を重ねるだけあって,普通以上に面白い作品である.
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私の一番のストライクゾーンのお話でした。 皆んな優しくて、暖かくなりました。 名前のダジャレが最高! 今晩は幸せな気持ちで眠れそうです。
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圧倒的な爽快感とまではいかないが、読了感は、そこそこ。主人公、菜々のわかりやすく、筋の通った正義感は好き嫌いがあるかもしれない。おじさんは嫌いではないです。中学生向きの一冊かな?
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2019年の夏にNHK BSプレミアムで、2020年の冬にNHK総合で放送された清原果耶主演のドラマの原作。ドラマの脚本はほぼ原作を踏襲しており、話は分かっているのだが、読みだしたら止まらない。だんご兵衛、お骨さん、死神先生、駱駝の親分、改めて笑うわ。
直木賞作家の著者の作品を読むのは初めてだったが、さすがの文章。他の作品も読んでみたい
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面白かった
漫画ライクな、勧善懲悪+シンデレラのエンターテイメント鉄板ストーリ(笑)
主人公は、武家の出を隠し女中となった菜々。
父親は轟平九郎の画策により切腹。母親もなくなり、風早家の女中として働くことに。
当主の市之進、妻の佐知、長男の正助、長女とよ、と温かく優しく暮らします。
しかしながら、妻の佐知は亡くなり、革新派の市之進には罠が仕掛けられ投獄、住むところも召し上げられてしまいます。
菜々は正助ととよを引き取って、野菜を売りながら、ぼろ屋で面倒を見ることに。
そんな菜々を助けていく周りの人たちが面白く、これまた温かい。
剣術使いのだんご兵衛、質屋のお骨さん、学者の死神先生、駱駝の親分(すべて、菜々の聞き間違い(笑))
そんな中、ことの首謀者は、かつて母の口から聞いた父の仇、轟平九郎。
亡き父のため、風早家のため、菜々は轟平九郎と御前試合で真剣にて立ち合うことに!
だんご兵衛から剣術を習い、さてどうなる?
といった展開です
もちろん、鉄板ストーリなので、結果は言わずもがななのですが、菜々の醸し出す雰囲気、人柄、それに協力する周りの人たちが温かい。
さらにエンディングはとても心温まるハッピーエンド。
これはとってもお勧め
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余談ですが、次の朝ドラの主演は「清原果耶」さんです
最近再放送された「透明なゆりかご」が印象的でしたが、「蛍草」でも主演されていました
ということで、原作を読んでみました
時代小説ですが比較的現代的な文体で、とても読みやすい本でした
いわゆる仇討ちものなのですが、典型的な形のものではないです
ホッコリとさせられる作品でした
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久々に読む時代小説。
武家に奉公しながら、切腹した父親の無念を晴らす
機会を狙う主人公。
健気で真っ直ぐな性格で働き者。
どうしたって応援したくなってしまう。
仇はいかにも悪い奴に描かれており、
善悪がはっきりしているので、読んでいて気持ちがいい。
人情味たっぷりのストーリーに引き込まれて
あっという間に完読してしまった。
余談だが、蛍草(ホタルグサ)とは露草の異名で、
万葉集では月草と記されていると小説の中に出てくる。
一方辞書によると、蛍草(ホタルソウ)と呼ぶ場合は
ヒトリシズカの異名となるそうだ。
どちらも好きな花。
露草が小説の中で効果的に表現されていて嬉しかった。
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2019に、清原果耶さんでBSドラマ化もされているこちら、主人公の物語設定とほぼ同年齢の当時17-18歳の彼女が演じたのなら、まさにうってつけだったかも。こどもにも安心して読ませられる、基本ひとが美しく描かれている時代劇。うまくいきすぎ感もあるけれど、ひとの情はあったかいし報われたっていいじゃない、世の中捨てたもんじゃないよという気持ちにさせられる。さらりといい話を求めている方にオススメ。
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主家に一本気な忠誠を尽くす元武家の娘の菜々。
目的を果たすためなら真っ向から交渉を突破していくように描かれていますが、周りの人たちが良い人過ぎてあまりに上手くいきすぎる印象です。
敵討ちの真剣勝負も、ちょっと出来過ぎです。
真っ直ぐさが報われたうえでのハッピーエンドは、まあ良しとしよう。
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NHKのドラマの最後の2回分ぐらいを見たので気になっていた。主人公の清原果耶と仇役の北村有起哉を重ね合わせて見てしまう。
タイトルの蛍草をホタルブクロと勘違いしていたが「ツユクサ」だそうで、真夏の暑い日の日盛りに涼しげに咲く可憐な青色の花は清原果耶にピッタリである。亡くなった奥方は蛍草を「健気でかわいらしい、命の花が咲いている」と主人公に見立てている。
主人公を助ける3人を間違った滑稽な名前で呼び続けたり、抜けているところもあったりして、主家のためや自分の父の敵討ちという重いテーマの話しを軽く読ませてくれる。
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初めて葉室麟さんの作品を読んだ。とても読みやすかった。女だてらに仇討ちをしようとする菜々。ラストで正助ととよから呼ばれるシーンに思わず涙。仇討ち相手の平九郎や、菜々を邪険にする叔父叔母がいやらしいほど物語は面白くなる。
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葉室麟の小説は、凜として、ある意味救いのない潔さを感じるが、この作品はちょっと味わいが違った。
主人公の菜々という少女の健気さ、仕える奥方の儚げな美しさと優しさという葉室テイストに加え、癖のある心優しい脇役も登場してユーモアもあり、最後はまさに時代小説の王道をいくような大団円を迎える。心温まる時代小説。感涙必至。