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おそらくあの津波のあと、岩手の昔話や民話をモチーフに書かれた作品。
清き良き雰囲気のあるとこが素敵。
赤目の方は一方的に悪者扱いなのが残念。
世界中にある土着を新参者が駆逐したあと、土着が悪だったようにされるパターンのような。
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訳ありの女性と訳ありの少女が岩手の見知らぬ土地で震災に遭遇し、避難所で遭遇した不思議なおばあさんと暮らし始める、他人同士の家族のお話。
津波をきっかけに起こる不可解な現象に、おばあさんの愉快な妖怪(?)のお友達の助けを借りて立ち向かう、ファンタジー。
児童小説なので、とても読みやすい。
アニメ映画とは印象が違うが、映像も観てみたい。
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大好きな児童文学作家さん、柏葉幸子さんの作品。とても温かく良いお話だった。アニメ化されたようで、人気なのも納得。
夫からの暴力から逃げてきたゆりえと、両親を亡くした萌花は偶然にも同じ場所で3.11のあの震災にあってしまう。震災自体はとてつもなく辛く大変な出来事だけれど、このふたりにとって、このことがこの後の人生を大きく良い方向に変えていくきっかけとなる。ふたりは、避難所で偶然居合わせたおばあちゃんに、嫁の結、孫のひよりとして守られることになる。そして、このおばあちゃんが不思議なおばあちゃん。カッパと知り合いだったり、お地蔵さんにお願いを聞いてもらえたりするのです。
「遠野」という地名を聞いてなんか納得してしまうという、遠野という地名の持つ力の大さにも感心しつつ・・・
私はやたらと長い文章で読点がたくさんつき、やっと句点がきた~と思うような文章が苦手なので、子どもでも読みやすい短い文章が好きなのですが、その短い文章でテンポよく物語を進めながらも、伝えるべきことがしっかり伝わってくる柏葉幸子さんの文章力は、あらためて素晴らしいと思った。(←長い(笑))児童書ならでは(?)なのか、主語がいちいちしっかりしているような気がする(?)のですが、それを煩わしく思わないリズミカルな文章。
もちろん物語自体も素晴らしかったです。思わず涙ぐむ場面もあり、本当に心が温かくなった。人ならぬものの気配を感じ、それに思いをはせ、祈り、共に生きていくおばあちゃんの姿にも学ぶものがあると感じた。また、「家族」というものについても改めて考えさせられた。「血」のつながりより、「地」のつながりといった言葉を見たことを思い出した。狐崎という地で家族になった3人に胸がいっぱいになった。
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訳ありの他人同士が家族のフリをして狐崎の古民家で暮らすことになる。震災で魔物を封印していた四の窯の封印が解け赤目との戦いが始まる。遠野物語の世界観。座敷童や狛犬を身近に感じる。
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同名アニメ映画の原作。元々この映画を観ようと思ったのは(WOWOWだけど),大好きな羊文学がテーマ曲を担当していたからでそれがなければ多分映画を観ることも原作を読むこともなかった。こういうきっかけが有り難い。
映画版の方は原作から色々改変されていた。悪く言えば俗っぽくなってるかも。避難所でおばあちゃん,山名キワさんに保護された年上の方は原作ではDV夫から逃げてきた既婚女性である。かっぱの活躍やアガメ伝説は同じだが,封印が解けて狐崎に戻ってきた海蛇が街の人を幻で操るところはちょっと違う。原作では海に引きずり込んでしまおうとしていた。街の人が会いたがってた人には海蛇が化けていて,その赤い目に何かが当たると消えてしまうというのは映画では描かれていなかった。そして最後にマキリで海蛇を退治したのは猿の「ふったち」だった。映画で言っていた「フシギット」なんて言葉は原作には登場しない。最後にユイママがいつまでも隠れて逃げ回るのはやめて東京の夫とちゃんと話をして離婚する,日和のおじさんも探して話をつける,と宣言したのはとても良かった。総じて原作のほうがしっかりと書かれていると感じた。
色々違いはあるが物語の大筋は同じでとても良い話だった。映画も原作もそれぞれに楽しめるので良いと思う。
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敬老の日に紹介しようと「おばあちゃん」というワードから手に取った本、面白かった。
東京からさまざまな事情で狐崎にたどり着いた結とひより、そこで地震による津波に襲われる。
ふたりにたまたま同じ電車に乗り合わせただけだが一緒に避難所へたどり着くが身寄りがなく地元民ではないふたりをキワさんというおばあちゃんが助けてくれる。
まったく繋がりがない3人は狐崎のマヨイガで暮らすことになる。
震災によって封印されていたこの地の化け物が現れ人々を翻弄しようとするのをキワさんが救う。
震災後の東北で現実から逃避したように暮らす3人の様子が東北の民話を交えて進んでいく。
ハラハラドキドキ、この世の住人とは思えないキワおばあちゃんがいい。
マヨイガ、迷い家、知らなかった。
3人の永遠のマヨイガであって欲しい。
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年間100冊以上読む長女が小学3年生の時に「面白いから読んでみて」とはじめて薦めてくれた本です。
妖怪が出てきたりと、少し現実離れした不思議な話ですが、震災や登場人物が抱える苦しい背景と、子供の本でありながらワクワクと苦しさが同居しています。
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この本の対象読者層は小学校中高学年?夫のDVから逃れてきたゆりえさんが夫の影に怯えながら生きていることをどう理解するのだろう。キツイ。
行く宛もないゆりえさん、両親を一度に亡くし言葉を失い、岩手県の親戚に預けられるために来たひより、そして不思議な力を持つおばあちゃんの三人は、東日本大震災のその日、避難所で出会う。
それから三人は家族として暮らし始めるが、穏やかな暮らしが、あの地震で封印されていた海ヘビが解き放たれ村は脅かされる。
遠野物語にも描かれた伝承の不思議なものたちや土地に棲む神々を巻き込んだ戦いになる。柏葉洋子さんのファンタジーの世界だ。
地震により封印が解かれることが物語として重要だったのだと思うが、震災の余りに悲惨な現実とファンタジー世界がぶつかり合って消化できない感じがする。
その土地に棲むものたちと人が繋がりを持つ物語は好きだし、新たな家族の繋がりの物語として心に沁みた。
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「両親を亡くし、親戚にひきとられる途中だった少女萌花。暴力をふるう夫から逃げてきたゆりえ。二人はあの日の大地震と巨大津波で出会い、一緒に暮らすことに。そこに不思議なおばあさんが、手をさしのべてくれる。」
「幸せとは何かを問いかけながら、大地震と大津波で失ったものと、そこからの再生を描き出す心温まるファンタジー」
(『10代のためのYAブックガイド150!2』の紹介文より抜粋)
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児童書なのだが、読み始めると登場人物の人物背景はかなりシビアな設定で、DV被害にあい逃げてきた女性、両親を亡くし声をなくし親戚に預けられる予定だった少女、そしてとどめは町を呑み込む巨大な津波。救いなのは遠野から来た山名キワさん。随所に遠野の民話を盛り込みながら、そして遠野をそのまま体現する不思議で頼れるお婆ちゃん。河童や狛犬、座敷童、ふったち、マヨイガ等が登場しファンタジー色をなしながらも悲しさと建設的な内容を両立させた物語。若干「52ヘルツのクジラたち」を思い出してしまった。