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裁判員裁判の補充裁判員になった主人公が、8ヶ月の乳児を虐待死させた母親に自分をリンクさせていく。
リアルすぎて、私も、被告人にも主人公にもリンクしちゃって、重くて重くて、毎日少しずつしかページが進まなかった…
忘れてたけど、私にもあった日々…
どうして泣いているのか、どうしていつまでも泣き止まないのかと子供と2人きりで途方に暮れた真夜中の私。もう忘れてた。でも確かにあった。
協力的な言葉に見せかけて、本当は何が言いたいのか、と勘ぐる旦那や姑との関係。
多分最初の子育てには誰にでもあった、そして子供の成長と共に、辛かった部分だけ忘れていった、そんな感情をありありと思い出させた角田さん、凄すぎる。
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子供を虐待死させた女性の裁判員裁判の
補欠裁判員となった主人公・里沙子。
自分も2歳の娘を抱える里沙子は
裁判で明かされる女性の姿を自分と重ねてしまう。
…というような話なのですが
読んでて息苦しさを感じてしまったのは
まさに自分もその気持ちがわかると
主人公に重ねてしまったからで。
子育ての話しかり、夫との会話しかり。
あるあるすぎて泣けてきそうになったくらいです。
特に夫とのすれ違い部分が
どういう意味で言ったんだろうと考えてしまうというのが
リアルすぎて、怖かった。
いろんな意味で、
これ読んで、どう思う?と周りに聞いてみたい気分になる。
それくらい、私は気持ちが揺さぶられた。
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子供を育てる母親が共感できる箇所が随所に溢れる。苛々してつい子供に・・・。思い出したくない感情や失敗が「ああ、みんなそうなんだ!」なんてことに。子育て相談室のドアを叩けない人が多くいる。そんなお母さんに読んでほしい作品。いや、むしろその旦那さんに絶対読んでほしい内容です。この本を読んだ旦那さんは奥さんに優しくなること間違いなし!!さてさて洗濯物干ししますかね^_^;
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読んでると、ああそうだった、どんどん自分が無力に思えて来たんだっけとあれやこれやを思い出してしまう。殺してしまった子育てなんて綱渡りみたいなものだったよ。あと少しずれていれば事故につながったってことも何回もあったっけ。忘れていたことをグイグイ引っ張り出してしまう角田さんって怖いわあ。
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我が子を虐待死させた母親・水穂。
その裁判の補充裁判員に指名された主人公・里沙子。
水穂と自分自身をシンクロさせてしまい悩みぬく…。
あまりの息苦しさに、何度も途中でやめようかと…。
もちろん子供の問題だけではなく、
夫婦関係、親子関係のあり方もとてもリアルで…。
私自身も、母となれていたら、こうなってしまった可能性もあるわけで…。
ただ、産める喜びと痛み、育てる喜びと苦しみが、表裏一体なんだとしたら、
母親だけが感じることのできる、至福の瞬間もあるのでは…と思うのです。
まぁ、それを感じられる余裕すら、失っていたってことなんでしょうけれど…。
でも、貶め傷つけることで、自分の腕の中から出て行かないようにする。
それも愛情の一種だなんて、思いたくはないです。
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補欠裁判員として裁判に立ち会うことになった里沙子は、子どもを夫の両親に預けて裁判所に通う。過ぎ去ってみればなんでもないようなのだが、1人で育児に向き合う母親の苦悩に心を寄せる。読む者は「一つ間違えば私がそこに座っていたかもしれない」と思わせられる。
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すばらしかった。被告人と自身がリンクして境界線が曖昧になるところの恐怖で体がぞわぞわしてしまった。ガツンと来るし、辛い気持ちにもなるけど、共感する描写もたくさんあるし、子どもを持ったいま、読んでみて良かったと思う。自分の両親のことや、だんなさんのこと、改めてその関係性と在り方を考えてみたいと思った。
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主人公と被告のシンクロがハンパない。
ステレオタイプな周囲の人々により増す孤独感と、幼児虐待という事件は、読んでいるこちらもどんよりした気持ちになった、
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里沙子が水穂に自分を重ねたように私自身を里沙子に重ねてしまい、社会から隔離されたあの時間を思い出して苦しかった
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どこまでも息苦しくされる、そういう小説。
間違っているの?私がおかしいの?
そうやって問いかけるのは主人公だけじゃなく
いつの間にか読み手にもそうさせる。
させされるのではなく、している。
そうやって嫌悪と、罪悪とがとぐろを巻く。
終わりは考えないこと、しかないような気がしてくる。
考えなければ悩まない。
でも考える。
坂の途中の家、というタイトルの真意は
まだつかめていないのですが、
読み終わって、坂の途中の家だなあ、と思いました。
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補欠裁判員に選ばれた主人公は、裁判が進むにつれ、自身が忘れていた心の中の暗闇が現れてきて…
重苦しい物語ではありますが、母親で妻で嫁で…といくつもの役割を担っていく女たちは誰しも抱えていくと思います。
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ストーリーが重くて、とてもしんどかったです。特に里沙子の心境がリアル過ぎて、息が詰まるくらい息苦しく感じられました。
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とにかく、心を揺さぶられた。
私もりさ子と一緒だった。
はじめは水穂の気持ちに寄り添って読んでいったけど、気がついたら、私自身のことを考えていた。
私も、理解出来てしまった。
寿士のような。陽一郎のような人種のことを。
そして、子育てに追いつめられていく様子、イライラするところ、本当にリアルだった。
胸が苦しくなった。
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主人公は山咲里沙子。33才主婦。夫、陽一郎と2才半の娘、文香と暮らしている。
ある日、里沙子はある乳幼児虐待死事件の補充裁判員に選ばれてしまう。
自分の実家とはほぼ没交渉で、夫の実家に幼い娘を預け、公判に通う日々。ちょうど娘はイヤイヤ期。無責任に甘やかす祖父母。夫の言動…。
彼女は、子供を手にかけてしまった母親をめぐる証言にふれるうち、いつしか彼女の境遇にみずからを重ねるようになる。
読んでいて苦しかった。
母親って、もちろんそれだけではないだろうけどこんなにも孤独なのか…大変なのか…と。
そして、夫たちが怖かった。
彼らの言葉を眺めると、なぜそこまで妻を貶められるのかと苦しくなる。
そこに悪意はなく無意識なものであるからこそ、さらに。
何にでも「ハラスメント」とつく今の時代には疑問もあるけれど、これはモラルハラスメントと言っていいのでは…。
でも、それがどれほど周囲にわかってもらえないかもよくわかった気がする。わたしももしそこにいたら言ってしまうかもしれない。「いい旦那さんだと思うけど…」と。
また、母と娘の関係にも焦点を当てられる。虐待というわけじゃない。でも、何度も傷つけられた。母親なりに愛してくれているのかもしれないけど方向が違ってた。こういう経験ってけっこうあるんじゃないかな…と思う。
事件の方は一応判決が出て終わる。
里沙子は、これからどうするのだろう…。なんだか希望が持てるような、でもやけっぱちのような…そんなラストに感じた。
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刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうち、いつしか彼女の境遇にみずからを重ねていくのだった―。社会を震撼させた乳幼児の虐待死事件と“家族”であることの心と闇に迫る心理サスペンス。
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裁判員裁判の裁判員(里沙子の場合補充裁判員だが)に選ばれた場合の、普段の生活に与える影響の大きさ、幼児虐待、そして被告の立場と近い境遇にある里沙子の苦悩と葛藤。そんなさまざまな要素が絡み合って先へ先へとページを繰る手が止まらなかった。角田さん、さすがに上手い。ただ、読んでいる最中から、重苦しい気分が胸に沈殿するようで、それは解決されずに読後も引きずったままである。どうすればよかったのだろう、という問いが、胸のなかを渦巻く。被告人の水穂の真実がほんとうに明らかにされたのかどうかも確信は持てないが、そのことが、裁判というもののもどかしさをよく表しているとも思える。いろいろなことを考えさせられる一冊である。