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☆☆☆☆☆私がこの本を手にしたのは、子どもを見ているときにふと閃いた「人間が言葉を獲得していく過程は人間の観念の世界を拡張していく姿のようだ」と思ったことがきっかけだった。
自分が言葉を身につけてきた記憶はどうにも辿ることはできないが、子どもや孫たちのことばを身につける姿には何か不思議なモノを感じさせられていた。
「彼等は何のために、何に向かってことばを身につけていこうとしているのだろうか?」という疑問だ。
そう思った時に、この言葉の獲得の過程をもっと理論立てて知ることから始めてみようと思い、この本にたどり着いた次第です。
初めは『ことばを覚えるしくみ』を読んで見たが具体的過ぎて、学問をしているような感じだったので、その本でも勧められていたこの本を読んでみることにしました。
子どもの成長段階の各ステージで、必ず発する誤ったことばの使用を、楽しみながら「今、彼等には何が起きているのだろうか?」彼らの見つめている世界を覗くと、そこには人間の完成形に近づこうとするモガキみたいなものが感じられた。
本当に幼児期の成長の各段階、そして、“名前”や“固有名詞”、“動詞”などの具体的で視覚で捉えられる初期に覚えることばや、“形容詞”や“数字”などの抽象概念を要求されることばにわけて、どうやってことばの獲得に子どもたちが奮闘していくのかをよく描かれている。
子どもはことばを獲得していく過程で様々なエラーを犯しながら膨大なことばの世界を消去法で、ひとつひとつ潰していく。彼らはひとつのことばを獲得する過程で、そのひとつのことばを覚えるにとどまらず、その背景にあることばのシステムの全体に少しづつ近づこうとしている。
そして、一番印象的だったのは、最終章
「ことばが新たな概念を生む」
というタイトルの章では、私が期待していたことを 今井むつみ先生が語っていたこと。
ことばを覚えていくしくみと、物事を思考して何かを発見する姿勢の共通性を述べた部分
〜〜大事なことは、よく理解されている現象とまだ仕組みが分かっていない現象を対応づける時には、二つの現象の間の表面上の類似性(見た目の類似性など)ではなく、要素の間の「関係の類似性」を当てはめるということです。
二つの現象をそれぞれシステムとして考え、そのシステムを構成している要素そのものの共通性ではなく、要素どうしの類似性をそぎ落とした要素間の関係性の類似性、つまり二つのシステムの間の構造の共通性を考えるわけです。〜〜
“ことばの発達の謎”は“人類の存在の謎”を垣間見せてくれるものなんだなぁ。
なんか、迷宮へ入り込んだ様な感覚だ。
2016/12/23
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丁寧な実験を重ねて、ことばがどのように発達して行くかを解明しており、興味深い。特に、自分の子供の面白い発言など、ちゃんと故あってのことなんだな、と納得。また、ことばの発達が思考を形成していくあたりも面白かった。哲学が、ことばの定義から入る理由がよくわかります。ことばの意味するところを共通認識できるかどうかがコミュニケーションにおいてはすごく大事。
でも、ではどうして言葉ができたのか、とか、皆がその名前で呼び始めたのは何故か、とかが気になってきた。でもそれはこの本が扱う範囲ではないんだな。
興味は尽きない。
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はじめに
第1章 アラミルクガホシイノネ――単語の発見
第2章 ヘレン・ケラーのwater事件――ことばの世界の扉を開ける
第3章 歯で唇をフム――動詞の意味の推測
第4章 血圧がヤスイ――モノの性質、色、位置関係の名前の学習
第5章 ことばの発達の謎を解く――発見、創造、修正
第6章 言語が思考をつくる
終 章 読者のみなさんへのメッセージ
2章で名詞→3章で動詞→4章で形容詞。
んでその前後でシステムという観念の獲得と修正。
目新しい話ではないが、きれいに整理されている。
ちょうど2歳終盤の子供を見ていて、思い当る節が大有りで、そのへんも面白い。
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最近、連続5つ星が続いているが、この本も本当に面白い。
子どもがどのように「ことば」を覚えていくのか、論理的・科学的に説明されていた。
生まれたばかりの赤ちゃんはまず名詞から覚える。
名刺と言ってもコップや机などの形のあるものが一番覚えやすいそうだ。
水や空気などの不可算名詞や目に見えないもの、固有名詞などはその後になる。
そして、ある程度名詞を覚えだすと、動詞や形容詞に進んでいく。
このように簡単に言うけれど、一つ一つのことばを覚えるのはめちゃくちゃ難しい。
例えば「赤」といっても、薄いピンクよりの赤〜濃い茶色よりの赤まで様々でグラデーションんがあるし、「コップ」といってもガラス製や陶器製、取手のついているものやついていないもの様々あるもの全てがコップだ。
そんな曖昧な世界をある一つの「ことば」で切り取る作業が言語の習得なのだ。
ある具体的事象のことばを覚えたとしても、それが他の場合に使えるかはわからない。だから、覚えた言葉を実際に使ってみて、合っているか間違っているか試していく。そして試しながら修正していくのだ。
そういったアナロジーを試しては正解を探していく。トライアンドエラーの精神に似た作業を赤ちゃんのときからひたすら繰り替えてしているのだそうだ。
この言語習得の過程は科学の探究に似ていると著者は書いていたが、僕自身もまさにその通りだと感じた。
言葉や概念がない世界に言葉という武器をもって意識できるように変えていく。
この行為をわれわれ人間は小さい頃からずっと繰り返してきたはずだから、自らの思い込みで自分には科学が向いていないだとか思わずに、どんどん新しく思いついたことを試して失敗すればいいのだろう。
まだまだ、書きたらないことが多いので続きはnoteに書くことにする。
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子どもがどのようにして言葉を習得していくのかについて、実証実験と共に紐解いていく。
子どもはお腹の中にいる段階からリズムやイントネーションを通じて言葉のパターンを学んでいく。そこから名詞を習得する。それもまずはざっくりと似たものを分類しながら学んでいく。その後に動詞や形容詞を自分で導き出したパターンをもって習得する。繰り返し学びながらパターンを高度化するという点では機械学習と同じだが、人間は言葉のシステムそのものを少ない単語数から推論しては繰り返し修正し構築していく点が大きく異なる。
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人は生まれたときから辞書を引きながら言葉を獲得するわけではなく,
生活の中で言葉を獲得していくのですが,
そのプロセスがよくわかる本です。
私には,ちょうど幼稚園に入るころも子供がいるので,
「なるほど,そう覚えたのか」
という体験も相まって,
楽しく読めました。
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印象深かったのが、胎児は母国語をリズム(だったか文節だったか)で記憶しているという話。
だから生まれた後、母国語を一番に理解できるらしい。
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娘の語彙から、ひとがどうやって言葉や概念を獲得していくのか……みたいなことが気になって、前にも読んだことのある今井むつみさんの本を手に取ってみました。
これがめちゃくちゃ面白かった!赤ちゃんが言語を獲得していく過程や、母語と外国語が同じように習得できない理由、語彙と心的辞書のシステムの話から、概念の獲得、思考の道具に至るまで、ぜんぶ興味深いし、心のへぇボタン押しすぎて壊れたぐらい。
ヘレン・ケラーの「Water」のエピソード、あれによって彼女が何を得たか、という話もめちゃ面白かった。ことばは単なるラベリングではない、とあって、なんかすごく嬉しかったしうかうかしてられないとも思う。
心的辞書(レキシコン)が気になるので関連書籍を読んでみたい。
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赤ちゃんが、音の区切り・母音子音、名詞、動詞、形容詞、と母語を学び使いこなせるようになる過程が詳細に書かれています。
チンパンジーに単語とその意味を1対1で結ばせることはできるけれど、ことばを使うようにすることはできない。
ことばを学ぶとはどういうことか、
単に単語の意味を知って、文法を知れば足りるわけではなく、システム全体(「英語独習法」では、「スキーマ」と表現されているものですね)の存在を推測し、自分の考える全体像に沿って実践し、それがそぐわない場面に出会うたびに都度修正しながら全体像を完成させて行く、それがことばを学ぶということ、そして、ことば以外の学びにも通じる人間にしかできない活動、と理解しました。
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ことばを手に入れることで、意味が見つかるようになる。認識を繰り広げていくための方法が手に入ることで、考えることがはじまって、世界という概念が広まりはじめるということだと言い換えてもいい。はじめからあるものにことばという音を当てはめて、意味を繰り出して、元々あったものを言い換えて把握できるようになる。きっとそういうことではない。ことばがなければ何も生まれてこない。そう捉えることすら、ないところからあることが表れてくる、決定的な転換があることをぼくたちはちゃんと想像できるじゃないか。
1対1を設定することよりも、1対それ以外における関係を想像すること、見つけることが言葉というシステムを作動させていく。〇〇が□□だ、という答えを分かるということではなく、〇〇を取り出す際に、〇〇であることが大事なのではなく、〇〇ではなないこととの違いがまず認識されなければ、〇〇であることですら上手くいかなくなる。〇〇であることと〇〇でないことの、そこに表れる関係がどう捉えられるか。関係の線を引いて、その線の理由を設定する。関係性の仕組みを立てるということになる。意味は定義ではなく、関係性の捉えだということだ。意味というものを捉えるためには範囲が必要になる。こうこうであるということと、こうこうでないということの、範囲をセットするために、理由を立てなければならないということだ。でも、その範囲を立てることができなければ、こうこうもこうこうでないもどちらも存在することすらできずに何もないことになってしまう。ことばがないということは、はじめからない、いつまでたってもない。なにもないという意味と同じになってしまうということだ。
こどもがことばを身につけていく過程は、モノを覚えるということではなくて、状況を捉えるということがまずあって、それに連動する音の連なりの中に、規則のようなルールのような相互性を発見していくということからはじまる。状況を表せるということと、そのための音の連なりの関係の中に、今度は範囲というものがあることに気付いていく。あることであることと、そうではないことの関係が次々に繰り広げられている世界において、類似と比較、相対と絶対、それを決める認識という方法に出会い、それを深めていくことで、ことばの意味というものを自らで積み上げていく。ことばに意味があるのではなく、その意味という相関が、システムが、自らのなかにどう表れていくかということが、ことばというシステムだということを、言わずもがなでだれでもが身体化していくということがことばの発達ということになるのだ。
音の連なり、音節というもので、単語という括りを手に入れる。一般的な名詞を覚える。動詞が使えるようになる。助詞によって関係の広がりを自由に表せることを知っていく。ことばを発達させていく過程は、ことばというシステムの成り立ちを認識させるそのままの姿をしている。
そして、ことばは思考を手に入れさせる。抽象という方法による概念をひとに見せることを可能にしていく。それは、ないままなのか、と、あるままなのかの、決定的な飛躍を招く。0が1になる。数字を認識��ることも、愛という概念を掴まえることができるようになることも、ひとに覚えさせることをできるようにさせるものだ。ひとは思考できる。抽象なんていう世界を立ち上げることができる。それは、ことばという発達の先において、世界を科学的に捉え直させることができるという、特別な力をひとに与えてくれている。
思考することができる。ことばがあるから。
その意味を世界はほとんど知らない。
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2022-04-22
ほぼ「あかちゃんは言葉をどう学ぶのか」と被った内容。当たり前か。終盤の、抽象概念の言語化の話が興味深い。やはり、数なんだよ。(なにが?)
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ことばがどう発達していくか。4歳の息子がいてるので、乳幼児期の話題については、そういうことだったのかと謎が解けた。また、わざわざ言い方を大人が修正しなくても、子どもの中で整理されていくところが興味深かった。
「発見・創造・修正」
ことばの発達から、英語の学習まで、そのとおりだと感じた。英語のときも、ただ単語を単一に覚えるでなく、結合・繋がりを意識して学び身につけていきたいと感じた。「要素とシステムの連合」wearとput on
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本書は、ちくまプリマー新書シリーズということもあり、中高生向けの本であるから、非常に易しい文章で書かれている。新書を初めて読むような人にもおすすめできる。
一番おすすめしたいのは、未就学の子どもがいる人だ。自分の子どもがなぜ言い間違いをしたのか、科学的な観点から理解できる。この本を読み終えたあとは、子どもと会話をするのがもっと楽しくなると思う。
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ことばはどう獲得されていくのかを探った本。
子どもの言葉の言い間違いは、複雑な言葉の仕組みを子どもが一生懸命理解しようと奮闘している過程の表出であることがわかって感激。言葉を獲得する過程ってすごいなあ。言葉ってやっぱすごい。子どもすごい。子どもたちの言い間違いにもっと着目しよう。
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自分が大人だから単語と物を結びつけることで新たな言葉を取り入れることが簡単に出来るが、言葉のシステムすら知らない子供がどのように言語を獲得していくのかを詳しく解説してくれている本
母語毎に文法などが全然違うにも限らず、親や周りと話すことでそれぞれの文化に合わせた言葉を覚えていくのを不思議に思っていたが、赤ん坊の脳がどれほど模索して改善して更新していくのかということを知れてとても良かった
赤ちゃんに向けてオノマトペを使うことを今まであまり良くないのではと思っていたけれど、きちんとそれにも意味があって納得。