投稿元:
レビューを見る
2017年3月26日読了。2015年に発表された、まさに「プリンス論」。訃報を聞いてから読み始めたにわかファンの私にとって、熱烈なプリンスファンであり自身もミュージシャンである著者のスタンスや時代性を感じる書きっぷりは読みやすく、ツボにはまる。黒人という人種、複雑な家庭環境、白人率90%以上のミネアポリスという出身、シンセサイザーの出現など音楽の変化などいろんな要素があるけれど、プリンスという天才を分析し尽くすことは到底無理、その足跡を追い作品に浸るだけで我々凡人は精一杯だな…。一人多重録音による衝撃のデビュー作、最強のバンドでのヒット連発からまた多重録音への回帰、変名・レコーディング会社との軋轢から再評価など、「変化し続けること」を自然に実践できるのがプリンスの天才性なのか?先天性の病気を患った子どもの死にまつわる悲しい出来事については知らなかった、プリンス作品を改めて聴き直してみたくなった。
投稿元:
レビューを見る
さらりと読めるが深みというか凄みがあった。
著者と同じく、自分も初めて聞いたのはパープルレイン前で、自分の場合は『controversy(1981)』がもらったテープに入ってた。
テープには何も書かれていなかったので、それがプリンスの曲だと知るのはずっと後のことで、著者のようにプリンスを追いかけることはなかった。
それでも音楽を聴き始めてから、ずっとアルバムを発表し続けてきた「身近なミュージシャン」がなくなるのはやはり辛い。
文筆業が本業ではないが、プリンスの才能の爆発をリアルタイムで見続けてきた人なら共感するところが多いと思う。
1999年にラジオでプリンスが特集時に、一曲目が『1999』だったことをふと思い出した。
投稿元:
レビューを見る
著者も書いてるとおり、プリンスは多作家なのでディスコグラフィーを追うのがデビュー後のバイオグラフィーに近い。自分が全てのオフィシャルアルバムを持っていることが確認できて一安心。奇をてらわずプリンス初心者向けの最新情報も入った好作。
ミネソタ州ミネアポリスの80年初頭の黒人比率は3%で(現在はアメリカの州平均が11%、ニューヨークは16%でミネソタ州5%)、ミネアポリスでは黒人がごくごくマイノリティだったんですね。それでプリンスのギターがロックというか白人っぽい部分もかなりあることに納得
投稿元:
レビューを見る
さすが西寺郷太さん、プリンスに愛情たっぷり。自分の言葉で適切に解説していて後追いでプリンスに関心を持つ者にとっての完璧な指南書。小学生の時に興味を持つことすらいけないことと感じつつ、岡村靖幸を隠れ蓑にしていつかは…と思っているうちに亡くなってしまったプリンス。こんなにマルチな才能だったとはね。
投稿元:
レビューを見る
カセット→CD→MD→データ→ストリーミングの全てが
青春時代の私は、
データ期にプリンスに出会い、プリンスだと「知らずに」ただ踊り狂っていました。
そんな私は今レコード期にいます。
「アルバムって覚えてる?」
の言葉にあるよう、今の私は単一的に作品を選び取るのではなく丸ごと向き合うことが楽しくなった。
この本でさらに一層楽しみが深まりました。
投稿元:
レビューを見る
筆者の好みも反映されているが それはあたりまえ うっすらプリンスの全体像をつかむことが出来 コンパクト
投稿元:
レビューを見る
プリンス入門書。
プリンスは後期の数枚しか聴いたことのないにわかなので、ネットの知識も良いけど書籍でも吸収したいと思い読了。
そもそも新書のサイズで語るには足りないアーティスト。多作家としても有名なのは知ってましたが、ここまでとは、と。公式のでも年に1作以上出しているので、40数枚。ブート盤合わせたら何枚なのだろうと、畏怖の念を抱きつつ、リアルタイムで追ってた人はさぞかし忙しくも幸福な時間だったのだろうと想像しました。
常に時代の先に行っていたというのは、楽曲の権利に対する主張や楽曲の発表方なども、まさにという感じです。ネットにあがろうものなら即削除、また著者の西寺氏も現役のミュージシャンのため、海賊盤に対しての論著は意図的に控えられています。
現代のミュージシャンは、なんだかんだでSNSなどを通じて身近というか、見える存在ではあります。それが運営の管理のもとだったり、アーティスト自身のものにせよ。セルフプロデュース的な側面を有しつつも、オープンな関係がファンとの間に構築されているように思えます。健全ではあるけれど、どこか物足りなさを感じるのは昭和生まれの悪い癖なのかもしれませんが、プリンスは逆ですね。謎を作り、語りすぎず、語るときはコントロール下に置き、自身を神格化してきた。グラミーでのスピーチの若干盛りすぎじゃないかっていうような考察、歌詞の対訳のくだり、『We Are The World』研究しかり、誰もがそれぞれのプリンス像を持っているのかもしれません。
投稿元:
レビューを見る
自分が洋楽ドップリだった高校大学時代。「1999」〜「グラフィティーブリッジ」辺りまではカセットテープが伸びるほど聴きました。特に「parade」は曲数も構成も私にとって完璧。
でも、流石に殿下の全キャリアにはついて行けず、久しく追うこともありませんでした。
殿下が鬼籍に入り、ラジオ「アト6」で西寺氏の熱いプリンス論を聴き、この本を参考にCDラックのプリンスの棚を補間し始めました。
投稿元:
レビューを見る
今までほとんど聴いたことがなかったのだが、プリンスが亡くなった際に興味を持ち、デビューから全盛期と言われる頃までの音源を聴いた。 その流れでこの本を手に取りました。
プリンスの生い立ちから現在までを、読みやすい文章と自分の思い出を絡めて書いた本です。 著者は小学校4年生くらいからプリンスを聴いていたらしく、その早熟さに驚いた。 どんな小学生なんでしょうか。
プリンスや音楽への愛情が感じられる、いい作品でした。 3時間くらいで読了できます。
投稿元:
レビューを見る
ところどころミュージシャンらしい論説を入れてる感じ。そういうのもっと多かったらよかったと思う。全体はプリンスの足跡を辿る、みたいなのでそれならふつうのライターの人達も書けそう。やっぱりもっぱら音楽的な側面を期待してしまうわよね。
投稿元:
レビューを見る
プリンスのCDを買ったのはベスト盤1枚きりで、それも気に入らなくて人にあげてしまいました。
その頃はハードロック、ヘヴィメタル、70年代ロックに夢中だったので、きらびやかで人工的な音に馴染めなかったんですよね。今聞けばとんでもなくハイレベルな事が分かるのですが、風貌含めて受け入れ難かったのは確か。
2016年に亡くなったのでもう5年前ですが、そのニュースを見た時も特別衝撃は受けなかったです。
ところがこのサブスク時代に色々聴けるようになって、気まぐれに聞いたパープルレインのアルバムで一気に引き込まれました。初期の音源を色々聴いて沼にどんどん嵌っていき、現代方面に向かって聴いていますが、時代時代で色々なスタイルありますが、どれもこれもじっくり聴くに値するものばかりで攻略には当分掛かりそうです。
そうすると当然どんな人物だったのか気になるところです。そこで発見したのがこの本でした。
亡くなるほんのすぐ前に書かれた本なので、なんというか運命的なものを感じます。
プリンスは変わり者で俺様で天才だという事がよく分かりましたが、割と知っていたというか、みんなそういう印象ですよね。そういう意味でブレない人なんですね。面白かったです。
投稿元:
レビューを見る
著者のプリンス愛に溢れた一冊。
個人的にもプリンスは大好きで、今までいったライブで一番良かったと思っている。
それだけに2016年の突然の訃報は衝撃だった。
著者である西寺郷太氏も、この本が発売された数ヶ月後に衝撃の訃報を耳にするとは思わなかっただろうな。
投稿元:
レビューを見る
NONA REEVESのフロントマンであり、かつ作曲家・プロデューサーとしても活躍するポップス職人の西寺郷太が、80年代アメリカ音楽に関する愛情と優れた批評眼をもとに書き下ろしたプリンスの生涯とその音楽性についての論考。
基本はクロノロジカルにデビュー時から2015年(この本が出た翌年、プリンスは死去するため、実質的にはほぼラストアルバムまで)を振り返っていくスタイル。プリンスはとにかく多作であり、80年代の作品を愛好する自身にとっても(特に極彩色に溢れるポップ絵巻、『Around The World in a Day 』がマイベスト)、90年代以降の作品はちゃんと聞けていないものが多く、解説と共にSpotifyで聴くと発見ばかり。
自身が音楽家でもある著者の分析は非常に面白い箇所が多いのだが、中でもBPMに関する指摘は非常に興味深い。
一般的に70年代のディスコミュージック、ディスコファンクと呼ばれる曲は、BPM 110-120前後(このくらいのBPMだと気持ちよくノレる感じ)であるが、プリンスにとっての大ヒットアルバムである『Purple Rain』ではBPM135くらいから最も高速な曲では190台と、高速化を遂げる。高速化される曲はロック的なダイナミズムを持ち、アリーナなどの大会場でもわかりやすく盛り上がれることから、これが大ヒットを生んだ1つの音楽的背景ではないか、というのが本書での指摘である。
この流れでもっと興味深いのは、日本においては特にBPM 110-120の曲はヒットしにくい、という指摘である。それは例えば、
・AKB48のヒット曲の多くのBPMが150-180台のかなりの高速であること(唯一の例外としてBPMが122の「恋するフォーチュンクッキー」が言及されているが)
・アメリカではどちらも爆発的ヒットしたものの日本でもヒットしたファレル・ウィリアムズの「Happy」がBPM160であったのに対して、日本ではそこまでのヒットに及ばなかったマーク・ロンソンとブルーノ・マーズの「Uptown Funk」がBPM 116の典型的なディスコファンクであったこと
などを証左として挙げているが、この指摘は感覚的に非常にうなづけるところがあった。
しばらくこれを片手に殿下の豊富な音楽世界に浸りたいと思う。