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大前研一氏の本は以外に「企業参謀」の次の2冊目。大前氏の時事評論の本は最初だが、さすがの提案。日本再生の解は示されている。日本はお先真っ暗のように思えてならないが、唯一希望が持てるとすれば大前研一のような偉大なオピニオンリーダーがまだ健在であることだ。だが、大前氏も72歳。彼らが、日本からいなくなったとき、有能な若者は海外に活路を求め、高齢者だけで沈んでいき、本当に日本は終わるのではないかと思う。
本書で特に賛同する提案は次の点。
・女性や高齢者をいくら活用しても、今のGDPは維持できない。であれば、移民を大勢受け入れるしかない。そのために日本版のグリーンカード制度を創設する。
・地方創生ではなく、東京など大都市の高層ビル化による都市回帰+週末を田舎で過ごすようにしてもらう。これに中国・東南アジア富裕層の観光地と終の棲家にもしてもらう。
・大学の数を減らして、ドイツ型の職業訓練校+企業実習(デュアルシステム)のを増やす。(文系の学科の見直し云々でこれだけ社会から批判が出るのを見ると、不要とは言っても大学(そして教授ポストの数)を減らすことは政治的に非常に難しいとは思います。)
・現実的な選挙制度改革として、まず参議院の大選挙区制への移行。
「なぜ私は小選挙区制導入に反対したのか?小選挙区制になると、1選挙区(=衆院議員1人)あたりの平均有権者数が約35万人の”市長レベル”になってしまい、その結果、2つの弊害が出てくると考え方からである。一つは議員が「長居」をすることだ。(中略)もう一つは、市長レベルの小さい選挙区から出てくると、どうしても地元への利益誘導が政治活動が中心になり、天下国家を論じて、外交、防衛、経済といった日本の長期的な課題に国政レベルで取り組む議員がいなくなることだ。」(p.244)
「たとえば、現在の選挙区146人・比例代表96人から道州単位で100人ほどを選ぶ仕掛けにすれば、アメリカの上院のように国際問題など国家の長期的な課題に取り組む余裕ができ、矮小化した衆議院とは異なる役割りを担うことが可能になると思う。」(p.246)
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現在の日本の問題点
・アベノミクスがなぜ上手くいかないか
・マイナンバー制度の問題点
・地方創生の愚策
・金利がつかない銀行にお金を預けるのは、世界では異常
・農業改革の間違い
・法人税を下げても、企業誘致は出来ない
・国の仕組み、ドイツとの比較
・マイナンバーと日本人のデーターベースの違い
などなどの事について、見事に対策が記されていました
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はぁ~この書籍は正直なところ書評したくありません。何故なら私の尊敬する、わが日本国の総理大臣・安倍晋三首相のアベノミクスはもとより、日本の現在の社会システムを全否定した書籍だからです。
理由は大前研一先生がバブル期から、日本国に提唱されていたことが無視されていたところにあると思います。
まず、大前さんはピケティ教授の指摘は正しくないと喝破されます。その理由はバブル期から現在まで資本収益率が大して上昇していない、というものです。従って、資産家に課税するのはおかしい、と言っています。
ではどこに課税するか。日本人全体の流動資産と固定資産は三千兆円ありますから、これに1%の税率をかけて三十兆円の税金。その他、日本のGDPは五百兆円あるので、付加価値税(ご存知の通り、GDPは付加価値の総額)これに10%の税金をかけて50兆円。合わせて80兆円の税収。これでゴーだそう。
次の矛先は移民問題に向きます。団塊のジュニアのジュニアは少子化でいないのだから、そこは移民で賄うしかない、と断言されます。特に介護・医療の人材難には大胆な規制緩和をやるべきであると提唱しています。詳しくは本書を。
そもそもなんでこんなに景気が悪いの?という話に帰結しますが、やはりこの本の題名のように、日本の若者が「低欲望」になっているからだ、とのことです。
金利がこんな下がったのに、車を買わない、家を買わない。会社に入っても社長を目指さない、このような「低欲望」な若者が跳梁跋扈するからだと説きます。
彼らは、テレビはおろかパソコンも持たず、全てスマホで済ませてしまう。そんな彼らはコンビニにたむろし、一日千円ぐらいで生活する。おまけに上昇志向がない。このような世の中になってしまった、と懸念をするのです。
これらの現状を変える手法が大前さん的で素晴らしい。まず少子化ではフランスのモデルが参考になるとのこと。フランスでは産めば産むほど、政府から補助金が下りるそうです。
次に教育改革。これはドイツの職業訓練校の制度を利用し、またスェーデンのような職業再教育制度を設け、所謂ゾンビ企業は市場から撤退してもらうとのことです。
他にも数多、日本の諸制度の改革が述べられているのですが、教育信託制度(1500万円までなら祖父母が孫に教育資金を贈与税非課税で贈与する制度)であるが「教育」だけでなく、使途を設けず全ての支出に行うべきだ、と説きます。
というのは、学校代、塾の費用でなく、子供が旅行をするのも、ゲームを買うのも「教育」の一環であるという。即ち現行の制度では縛りが強すぎて、不便すぎるというのだ。これは私も大いに同感。さすが大前さん。
と、ここまで大前研一さんの「低欲望社会」をレビューしてきたのだが、実に今の日本の制度にチャレンジグな著書であり、「日本ってなんかおかしくね?」と思われる方は、是非一読をお勧めします。
皆さん、特に「俺が、私がこれからの日本を良くしたい!」と思っている方、老若男女を問わず良書になってます。皆さんも大前さんの慧眼に触れられたら��うでしょうか?
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大前健一先生は以前から国富論を何冊か書き上げております。
今回の低欲望社会「大志なき時代」という国富論ですが、現在の日本の進むんでいる方向が違うということや、政府に税金を無駄に使われていることもよくわかる1冊です。
アダムスミスなどの知識としての国富論も必要であるが、まずは現在の日本の現状を理解して、そこから何が私たちにできるかを考えることが重要であることを認識させられます。
大前先生の考えは人口減少が目の前で迫っているので、移民を受け入れること。
ITインフラを政府の最重要項目において、無駄の無いシステム構築を作ること。
以前、区役所のホームページを作成するのに、翻訳ソフトウェア会社は基本的な内容はどの都道府県でも同じなので、一つの翻訳ソフトウェアを完成させれば、どの地域でも低価格で提供することができるという話を聞いたことがあります。
これと近い考えなのかも知れませんが、区役所、市役所の仕事の9割近くはどこでも似たような仕事であるので、ITなどで共通化すれば、人口が減っていっても新卒を採用することなく、業務が出来るよということ。
これから新しく社会人になる人には、移民の受け入れる制度を作ってゆく仕事の需要が増えるのではないかと考えています。
日本は世界に類を見ないほど、移民に厳しい国です。
その厳しい国に対抗できるのは厳しい国で生まれた私たち日本人の力になります。
すぐには変わらなくても10年、20年の長いスパンで仕事ができる気概のある人を大前さんは著書の中で伝えています。
私にもできることを最高の形で進めてゆきます!
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少々難しい内容ではあるものの、経済について詳しくなくても読みやすい本です。
日本がいかに「低欲望社会」か、非常に説得力のある力強い口調で書かれていて、すべてに共感してしまいそうな内容でした。
私はこの本を読み進める中で、どうすれば若者が政治や経済について興味を持つのか、ということを考えました。
そこで思い出したのが、高校時代の「政治経済」の授業です。
その時のことを必死に思い出してみましたが、当時は特に危機感を感じることは無く、興味も無く、授業を受けていたと思います。
例えば、教科書に本書で国の借金を表現していた例のように、
“超肥満体になり、悪玉コレステロール値や血糖値がギネス記録的に上昇していて、遠からず死に至ると警告されているにもかかわらず、大食いを続けているようなもの”
と書いてあったら、身近に感じつつ、興味も持てるのでは?と思いました。
暗い未来しか想像できず、低欲望化していることは必然かもしれません。
しかし、私はもういい大人なので、卑屈になっても何も変わらないため、まずは政治・経済についてもっと興味を持っていこうと思いました。
【余談】「北陸新幹線はなぜヒットしたのか」(P.182)という部分は衝撃でした。私の地元である「上越妙高駅」はガラガラです・・・。
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低欲望社会を一言で表すとすれば「(時間を問わず)お腹が空いたらコンビニで安い弁当を買って食べる」ということ。足りない分だけ最低限で補うという発想は、つつましく清貧にも見えるけれど、その背景には「責任を持ちたくない」という側面があるようです。
多くの人が大学に通い、高等教育を受けた末に、責任を持ちたくないという人材が増えた結果から考えると、学校では大人になることはできないと言えそうです。そのため、
本書にあるように、「職業訓練校を作れ」という意見はごもっともだと感じました。高齢化社会になり働く人口が減るのであれば、なおの事、人はもっと早く大人にならなければならないのだと思いました。
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この本は、日本が「低欲望社会」になったことで、人口減少・安定志向になった現代人に警鐘を鳴らしています。
日本人は先進国になった今、人々は程よく快適な「安定した生活」を求め、戦後まもない頃のような上昇志向を失っています。
しかも、今の日本は少子高齢化や人口減少が進んでいるため、日本経済が閉塞しつつあります。
このような状況では、日本の経済成長は止まり、世界との差がますます広がっていくでしょう。
私たちの将来の暮らしを守るためにも、閉塞した日本の現状を知り、私たち一人一人が行動を改めていくべきだなと思いました。
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お金を稼ぐために忙しくなるくらいなら、ほどほどの稼ぎと生活でいいやと満足する「プア充」が増えている。
世界的にも類を見ない低欲望社会になっている日本が、今後どうしていくべきかを提唱している本だ。
力強い主張や断定的な物言いは、説得力が強いと感じた。
好みは分かれそうだが、わりと好きな論調。
なかでも印象に残ったのは下記3つ。
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・プア充が流行ったスウェーデンとイギリスのその後の話
・シニア向けに漁港を開放して、マリンスポーツを活性化するアイデア
・週末を過ごすウィークエンドハウスをもつことのススメ
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それにしても、自分は世代的にはプア充世代なのに、まったく低欲望でないのはなぜだろうと思った。
4姉妹で姉妹が多いことで満たされていないのかなと思った。
たしかに自分の姉妹たちも低欲望ではない気がする。
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リスクを負いたがらない低欲望社会、自分で汗をかかない老人がトップが牛耳る。20世紀の処方であるアベノミクスは今の日本に通用しない。クオリティ農家、教育改革、無休議員、日本データベースで全窓口不要、内閣も納税も健康管理も省力化できる。高齢者が安心してお金を使えるようにすること。
指摘されるとその通りと思えますし、変わった後の社会も魅力的ですが、実行できるだけのパワーもなくなってきているように思います。
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『とはいえ、老人大国・日本では、頼まれたら断らずにしゃしゃり出てくる老人トップや高齢リーダーは、増えることはあっても減ることはないだろう。
これは高齢化社会特有の物理現象とも言えるが、やはり異常な光景である。同時にこれこそが「日本が変わらない」最大の元凶でもある。
自分で汗をかく覚悟も体力もないなら、さっさと変革志向の若者に道を譲り、余生を楽しみながら穏やかに枯れていくのが“老いの美学”というものだろう。
少なくとも、こうした高齢のリーダーたちに、今の「低欲望社会」の問題解決を委ねることができないのは、誰の目から見ても明らかなはずである。』
異常なまでの危機的状況にも関わらず、世の中が平穏な感じがするのはなぜだろう。茹でガエルなんだろうな〜。少しずつ壊れていくのを、少しずつ慣らされているからなんだろうな。
いったい、どうすればいいんだろう。
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公平で富の集中が少ない国、日本は最も社会主義化した資本主義国。
資産に対する課税が不均等で不公平で軽すぎるので、資産課税にシフトすることは賛成。しかし資産額に応じた累進課税には反対。
個人金融資産:1600兆円
企業の内部留保:320兆円
国の借金(政府債務残高)はGDPのの2倍、1000兆円をとっくに突破
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大前さんも最近出てこなくなったと思ったrあ、安倍さんの批判をしているからなんだな。この人、欧米礼賛すぎて日本社会では受け入れられないでしょうね。態度デカいし、エラそうだし。
安倍首相は、根拠もないのに言い切る傾向がある。政策の乱立。実は安倍政権は新しいことをやっていない。昔の自民党に戻って官僚体質、役人丸投げをしているだけ。これじゃ日本政府からは相手にされないだろう。
アメリカのエリートはリベラルアーツカレッジで、哲学や歴史を勉強して幅広い教養を身に着けて、大学院で稼ぐ力を鍛える、とか言っている時点で日本では受け入れられない。そんなこと日本人には理解できないし。
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・日本は人口ボーナスの逆状態になる
・20世紀の処方ケインズ的なのは効かない
・バフェット曰く、バークシャー・ハザウェイの成した実績を再現できない。アメリカでそうなら人口減少の日本では何をか言わんや。
・これまではインデックス買いでよかったが、これからは個別の株を見る時代。だって暴落するから。インフラ銘柄高リスク、食品や日用品の良銘柄がいい。
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低欲望社会は、個人ではよいが社会全体がそうなると税収・財源が無くなる。
イギリスや北欧のプア充国家も10年くらいで持たなくなって発展への施策を打ち始めた
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「平成維新」以来、ずっと著書を読み続けて四半世紀。
今でも、あのときの都知事選挙で、青島さんでなく大前さんだったら、その後の東京はどうなったのだろう、と思わずにいられません。
残念ながら、この先どういう社会にするのかがわからないまま、
自分たちで決められないまま四半世紀過ぎてしまったことがよくわかります。
この本でも言っているように、大前さんに指南された官僚はたくさんいるはずです。
そして、「維新」の提言のいくつかをまじめに考えていれば、今でも正しいはずの政策が、いくつもできるはずなのに。
細かい制度の追加、継ぎ接ぎ、そして、あからさまに「こうしなさい」という
強い拘束力で作られる法律、条例などなどなど・・・。
今や、「マイクロマネジメント」が最悪であることは、大抵のひとが実感していることと思います。
形だけ競争入札にして、市区町村ごとに違うシステムを入れ、
システムを接続するためのシステムを次からつぎにつくり、
社会全体として使えるものは何も残らない。
残念ですが、そういう「今」が、とてもはっきりわかる本です。