紙の本
部下育成のパラダイム
2019/03/16 18:55
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投稿者:だい - この投稿者のレビュー一覧を見る
1 スーパーボスの3つのタイプ
〇因習打破主義者
結果的に周りの人間を感化・指導することになるが、目的はあくまで自分の仕事と情熱。
ひたすら情熱を追求する中で、上司としての成功に自然と繋がっていく。
〇栄誉あるロクデナシ
人を育てることより、なにがなんでも勝つことを目指す。
勝利こそが至上命題であり、部下を連日深夜まで働かせたり、失敗を容赦なくとがめたりする。
〇養育者
部下の成功を心の底から気にかけ、自分の育成能力に誇りを持つ。
いつでも部下を指導・教育できるところにいて、高いレベルを達成させるために積極的に関わろうとする。
※スーパーボスが持っている要素
・恐れ知らずなほどの自信
・旺盛な競争心
・たくましい想像力
・軸がぶれない
・裏表のなさ
2 持っている人を見つけだす
「特別な何か」を直感で見抜く
・ずば抜けた知性
・創造力
・高い柔軟性
3 優秀な人材に限界を超えさせる
スーパーボスが求める人材は、ただ素晴らしいではなく、ずば抜けて素晴らしいこと。
スーパーボスの部下は時間も忘れて仕事に打ち込む。
富や名声・栄光のためではなく、スーパーボスとビジョンを共有していて、それが魅力的だからである。
4 頑固なのに柔軟
組織の「目的」は守りつつも、「手段」はあらゆる面で絶えず改良するスタンスでいること。
・常に「リスク」を取って「ルール」を破ることを奨励する
・新しい挑戦をこばむ「恐怖心」を取り除く
・過去の栄光にしがみつかせない
スーパーボスは、譲れないビジョンという枠組みの中に、変化重視のマインドセットを組み込む。
5 師匠と弟子のように教える
師匠方式のマネジメントは、伝統的な「メンター方式」よりも持続し、包括的で、熱く、親しい職場での環境を言う。
形式ばらない関係によってイノベーション・創造力・ダイナミズムが生まれるなら、秩序を多少犠牲にする価値があるとスーパーボスは考える。
6 細部を見ながら部下に任せる
・スーパーボスはチャンスを見つける鋭い目を持っている
・部下の潜在能力を広く見ている
・部下をニーズを満たす必要のある個性豊かな顧客とみなす
上司は、部下に本当の責任を与える必要があり、後から口だししたり、手直しするような監督の仕方をするべきではない。
スーパーボスは、常に学習・成長しており、部下とのコミュニケーションは、新しい考え方を取り入れ、革新し続けるかけがえのないチャンスとみなす。
7 部下同士に競わせる、助け合わせる
スーパーボスは、チームに強い競争心を植付けつつも、部下の間に団結の精神が根付くようなメッセージを発する。
「高度な協力関係」と「意義のある競争関係」は、決して矛盾するものではなく、むしろ相乗効果が期待できる。
スーパーボスは、やる気になれば自分たちはなんでもできると常に思い出させて、部下に「選ばれた人間」という自意識を強化する。
アイデアが衝突して、新しいアイデアを生む活発な状態を作り出す。
この状態が原動力となり、とてつもない業績が達成される。
8 優秀な元部下ネットワークをつくる
スーパーボスの部下は、巣立っても完全には離れず、スーパーボスクラブの永久会員になる。
彼らは、スーパーボスがキャリアを通じて磨き上げた「プラットフォーム」や「オペレーティングシステム」を活用する。
※優秀な人材は、脇役に甘んじないので、上司が常に新しいチャンスを用意できるくらいに成長し続けられなければ、いずれ去っていく。
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権限委譲ときめ細かな指導
2016/05/09 00:29
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投稿者:般若泡とネクトル - この投稿者のレビュー一覧を見る
労働の流動性が高い地域を念頭に書かれている事は別として、マネージャー指向よりもリーダー指向が強い高いレベルの人間が、長年に渡ってヒリヒリする様な状況下で、部下と共にハイレベルな勝利を積み重ね、その喜びを幾度となく共有する。その経験を共有した部下が巣立ち、それぞれのフィールドで、また勝利を重ねる。端的にいって、それがスーパーボス醸成プロセスだと解した。
タイプ分けや分析に関する10年にわたるインタビューの具体事例が示されており、その点は買えるが、事例の提示が混然としている所が少し惜しいと感じた。その点がよければ評価は4として差し支えないと考える。
権限の委譲ときめ細かな指導という本書の主張の一つのハイライトに当たる部分は、実践者の多寡は抜きにして、リーダーが高いレベルを目指して仕事をする上でのキースタンスと考える。タイトルからすると意外な部分もあるが、本書は特にリーダーシップの発揮が求められる初期の段階の人、あるいは逆の面から学部・院生含む求職中の若い人を対象とした良書なのかもしれない。
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☆☆☆☆『スーパーボス』(シドニー・フィンケルシュタイン)
☃現代の人材教育が「促成栽培ができ、教育投資が速く回収できるシステムに向かっていて、組織にdamageを与えるリスクの少ない者の数を増やすことを優先」している。
このような、人材育成の方向性の限界、誤りにいち早く気がつき始めた企業は、“スーパーボス”を社内のなかで発掘し、それをロールモーデルとして評価し、彼等に活躍の場としてのフリーハンドの領域を与え始めている。でも、それは人材開発に投資する余裕があり、人材の価値が企業の価値であるという信念をもとに従業員を見つめることのできる経営者を持つ企業に限られている。そしてそういった企業であっても、全員がスーパーボスのように振る舞い、実績をかさねづけることはできない。
スーパーボスの存在はそれに魅了された人々が、その憧れに近づくために必死でもがき、自分の能力の限界にぶち当たった時に発生し、開眼する各自の才能を掘り起こすことにこその目的がある。
この本は、「スーパーボス」を部下とのかかわりからの視点で、描き出している。各界の著名なスーパーボス及びその部下たちを多数取材して、そこに存在する共通の要素を著者の経験をとおして表現しています。
社会人として働いている読者であれば、ここに描かれているスーパーボスの一端を備えている上司に巡り会えた人も少なからずいることだと思う。社会人経験が浅い人のなかには、今まさにその環境に置かれていながら、気付くことができない人もいるかもしれない。
そんな人にとっても、これから揚げる幾つかの
、スーパーボスと部下たちの関係を描いた描写に暑いものを感じ、心の隅にポスターの様に貼って、スーパーボスとの出会いを楽しみにしてもらえたらと思う。
・スーパーボスは自信に溢れているので、知性と創造力に優れた押しの強い部下に驚異を感じることも、追い越される可能性を意識することも全くない。自分よりも優秀な部下がいてもなんとも思わない、そもそもそんな人間がいるという考えを持っていない。
スーパーボスは自己意識が強いので、どれほどレベルの高い能力を見せられてもぐらつくことがない。そればかりか、新人からの挑戦を楽しみにさえする。その挑戦が優れた洞察に裏付けられている場合は特にそうで、自分の理解が深まり、、能力が上がり、より良い解決策が浮かぶきっかけになれば、ありがたいと考える。
・『ルールを変え、リスクを恐れず、高い目標を達成しようと本気で考え、部下を参加させようとする上司のもとで働いているときは事情が違う。そうした上司から指示を受けたり、力強く叱咤激励されたり感化されたりすると、『プレッシャーのような重荷ではなく、きわめて重要な使命の一端を担っている実感』だと受け止める。このプレッシャーは生きがいになり、部下も上司と同じように使命に没頭することになる。
つまり、有能な部下に不可能なことをさせる秘密は、『スーパーボスが大きな期待と向上心を兼ね備えている』ことにある。スーパーボスのもとで部下は、【業績を上げる正のスパイラルが発生する。強烈な環境で生き残り、成長することに慣れる���野心が膨らむ。成功が病みつきになり、さらに困難な業務を求めるようになる。そしてスーパーボスの期待どおりかそれ以上の成果をらあげることに快感を覚え、それを何度でも繰り返したくなる。スーパーボスにもっと近づいてインスピレーションとエネルギーを得たいと考え、スーパーボスの近くにいる為ならなんでもする。プレッシャーが成功を呼び、成功すれば称賛され、称賛を受ければ自信がつき、自信がさらなる成功につながるという好循環だ。』
・部下の存在理由は「仕事を終わらせること」だけではないし、マネジャーの役割も監督することだけではない。会社を成長させる長期的なアイデアを協力して見つけるのがあるべき姿だ
・部下を信じていないせいで権限移譲におよび腰なマイクロマネジャーと、真剣さや能力がないせいで仕事を丸投げするフリーライダーではなく、【関与型権限移譲】を遂行する。効果的に仕事を部下に任せられるのは、細かいことに目を光らせているからなのだ。また、明確なビジョンを共有しているのでチームメンバーは基本を正しく理解するという確信がある。
・スーパーボスが最終的に部下に求めるものは、学習と成長を日々意識して、自分の責任で能力を開発するレベルまでステップアップすることだ。
許可を求めるような部下は「木になったまま枯れた」ブドウのようなものだ。「水をかけてくれないと育ちません」という態度の社員と、「木からなんとか水分を吸って育ちつづける」社員とが存在した。
・スーパーボスのビジョンについていくと決めた部下たちは、ビジョンを共有しない人間、あるいは不幸にもビジョンを持たないリーダーのもとで働いている人間と自分たちとは違うという意識を自然と抱くようになる。スーパーボスは部下のあいだに一種の内部者意識を生み出すために、これほど特別な逸材がそろっている集団はほかにいないと繰り返し言い聞かせる。
スーパーボスが「選ばれた人間」の素質としてもっとも重視するのは、業界の基準をみずからつくる能力だ。部下はリーダーであって、フォロワーではない。
本書で紹介されているスーパーボスはビジネス、芸術、メディア、レストラン経営といった土台で活躍して、それを軸にネットワークを築き上げていますが、それらの領域は例えて言えば、共通言語の様なもので、その領域での成功や頂点が、彼等の目標ではなく、『スーパーボスという現象の本質は、知識、知恵、成功を次の世代に伝えることにある。ノウハウだけでなく、考え方や生き方も伝えるのだ』と語っています。
読み終えたあとに、この本の表紙を再度眺めながら、感じるのは古代ギリャの哲学者や、ルネッサンス期の芸術家のこと。
難しい理論やテクニカルな技の伝承ではなく、人の心を魅了してしまうものを自らのなかに育てられたかを確認せざるおえない死の床が迫っている。
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カリスマ的魅力のあるボスの手法を次々に紹介する話。属人的スキルが多すぎて参考にならない気がする。話としては面白かった。
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リーダーを生み出すスーパー・ボスのメカニズムを説く。世に溢れる理想的なリーダーシップ本と異なり、この本に出て来るリーダーはアウトプットは超一流だが、人間的には掴みどころがないなど、非常に人間的。ある意味、部下が上司から好子を得るメカニズムが規則的ではないランダム性に、部下が惹き込まれるのかとも感じた。書中に頻出するバークレーのレストラン、”シェ・パニーズ”のオーナー、アリス・ウォーターズには以前から関心を持っていたこともあり、非常に興味深く読めた。
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●なんかのビジネス雑誌に紹介されていた本。「『持っている人』を見つけ出す」、「柔軟なのに頑固」、「細部を見ながら部下に任せる」の章は共感できるところはあったが、本書で言うスーパーボスが目指すべき手本なのかは賛同しかねる。
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マネジメントラインに立つ人には、部下の活かし方。具体的にはどんな部下を引き上げるべきで、どんな部下はそうではないのか。メンバーラインからは、自分のボスが特筆する能力を有しているのか(スーパーボス)かを見極められる。