紙の本
もっと面白くできた題材
2014/06/02 11:26
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投稿者:オトキリソウ - この投稿者のレビュー一覧を見る
リアルホラーなのにところどころに説得力に欠ける部分がありしらけてしまう。主人公も綺麗ごとばかりで感情移入できない。非常に惜しい。
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人を襲いその肉を食べることを調教されたカラスの群れの襲撃とそれに対抗する人間との戦いを描くパニック小説。
荒唐無稽さは置いといて(笑)展開はスピーディーですし、カラスの習性や知識もきちんと生かせているとは思うのでパニックものとしてはそんなに悪くない出来だと思います。
ただ人物描写が全く自分にはまらない……主人公の学者美紀と刑事の恋愛描写はこの手の話にありがちな陳腐さでしたし、何よりうーんと思ってしまったのは美紀の言動です。
人殺しを習慣として覚えてしまったカラスだけを選別し人を襲ってもまだそれが習慣化していないカラスは救うべきだ、と語る彼女の理論は正しいのですが実際問題そんなこと言っている場合じゃないだろう、というイライラ感だけが募りました。
美紀よりも同僚を殺されてしまいカラスを全滅させようとし、美紀と対立する駆除業者の奥平の方がよっぽど人間らしいと思います。でも彼はこの作品ではほとんどいい人間として描かれていないんですよね……唯一同僚に向かって手を合わせるシーンくらいしか。
それだけ理想論を言っていたのにいざ自分の娘がピンチになると普通にカラスを殺しちゃうんですよね……そりゃしょうがないですけど、あれだけ理想論を言っていたんだからもうちょっと葛藤するか、もしくはカラスに対して申し訳なく思う描写を入れてほしかったです。それを母性の一言で片づけられるのはチョット……
何より納得いかなかったのはカラスの群れに対し娘と卵を交換しようと迫るシーン。「あんたそれだけ卵と娘を交換しよう、と情にまかせた感じでカラスに対して言っているけどそのカラスは後で殺すんでしょ」と一度思ってしまうと、なんだか主人公があまりに身勝手すぎる気がして嫌でした。
ラストもなんだかなあという感じ。個人的には、捕獲された殺人が習慣化されていないカラスたちの処分が気になります。あの結末からいうと間違いなく全て刹処分されそうな気がするのですが……
結局主人公は何も救えていないし解決できていないんですよね。後味の悪さを意図したのかもしれませんが、それがうまく機能しきれていなかった気がします。人物描写をもっと練ってほしかったかなあ。
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一気に読み上げました。
カラスを調教して、殺人を仕込む。
でも、仕込んだ人間もカラスにやられちゃう。
どんどん知恵をつけて人間を襲うカラス。
明日から、カラスを見るのが怖いです( ゚Д゚)
実際に、起こりそうな感じなのが怖い。
馬場くん、重要な人物の割にあっさりと死んでしまった。
彼のドロドロ人生はどんなんだったのかな。
キャンパスでの戦いがやや長いような。。。
でも、読みやすくて面白かったです。
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動物パニックものの一つではあるが……多くのレビューにあるように主たる人物造形がありきたりの上に、読んでいてもその行動にとにかくイラつかされるので、同じ動物パニック・ホラー(しかも主人公が娘のいる母親ってのも同じ)である『シャトゥーン ヒグマの森』よりさらに感情移入できない。黒幕をもう少し生かしておいて、カラスの生存/捕食本能と人間の悪意との共闘あるいは相克を描いたら、もう少し話に奥行きが出た気もするんだが。
もう一人(一羽?)のラスボスである"シッコク"が、ワタリガラスとハシブトガラスとの交雑種として作られた(それ故に他のカラス―ハシブトガラスより大型で力も強い)という設定は面白いが、どうせなら生みの親である馬場をもう少し専門的知識のある人間にしていたら……ってそれこそマッド・サイエンティストものになって、余計に陳腐だったかw
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人間を殺すように訓練されたカラスの群れの恐怖を描くパニックホラー。恐ろしいのは、そのカラスが普通のカラスであって、遺伝子操作されたとかそういうのではないところ。えええ、カラスってそんなに凄いのか!?
残虐度のかなりのもので、とんでもなく恐ろしい物語なのだけれど。それぞれに守りたいものがあってこその戦いなのだという部分は、ややしんみり。しかしこういう結末になるとは、思わなかったなあ。
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常日頃からよいイメージではない鳥が・・・という話なので
こういうことも起こりうるのではないかと思うと、怖かった。
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近所の古書店で100円で売られていた文庫本。
角川ホラー文庫には何度か煮え湯を飲まされているので全く信用して
いなかったのだが・・・。
・・・いや、コレはリアルに怖かった。というか、恐ろしすぎる。
カラスを使っての殺人を企てた男に人間を狩る方法を伝授された大カラスが、
自らの群れを率いて次々と人間を襲う、という物語。しかもこの大カラスは
殺人に適するように交配されたワタリガラス(大きさ)とハシブトガラス
(知能)のハイブリット。猛禽類をも凌ぐ性能と知能を兼ね備えた究極の
邪鳥である、という設定が、凄まじいまでの緊迫感を醸し出している。
作者の白戸勉氏はこれが小説デビュー作とのこと。
しかし、本業は映画の脚本を多数手掛けたシナリオライターらしい。
後半の攻防戦の部分がやや冗長気味だったのは残念だが、そこに至るまでの
リアリティは実に映像的。指摘した後半も、もし映像化されたら一番の
見せ場になりそう。
マジで映像で見たいなぁ・・・。
現在のCG技術を駆使すれば、極上のパニックサスペンス映画が出来上がりそう。
どこかが予算出さないかな、この作品の映画化に
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アニマルパニック物で僕が期待するのが、自然界の中では人間は余りにも非力な存在という絶望感と、本当に起こり得るリアリティの怖さという部分である。そういう意味ではギリ普及点といった所か。とてつもない大きな怪物が迫る恐怖と違って、小型ながら人肉の味を覚えた鴉の強大な集団のパワーは圧巻である。残念なのが登場キャラ達がイマイチ引き立ってない。主人公の女性学者と刑事の恋愛模様もありがちでチープさを感じたし感情移入が上手く出来なかった。しかし鴉の狡猾で順応性の高い性質に驚かされる。人間よ驕るなかれ。