紙の本
歴史で敗れた側の残らなかった記録を推理する。
2016/11/28 18:02
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投稿者:SamS - この投稿者のレビュー一覧を見る
記紀を知らないとやや難解かも知れませんが実に面白い内容でした。日本書紀と古事記では同じ神々でも別の名前で出て来たりします。そしてその同一神の別名を追って行く、という手法で巧妙に隠蔽された真実を探ろうという訳です。日本各地にある神社の祭神を追って飛び回ると少しずつネタが挙がってきます。その結果出て来るものは........同じ神を名を変えて登場させて歴史の敗者の無念を述べている(と思える)ことが分かり、神話時代の話ですがなかなか怖ろしい推理が成立して行きます。
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直感力の鋭敏な方で次々と神話の実相がいわゆるヴィジョンとして見えてしまうのでしょうか、10年の歳月を費やされたのなら、実証的に論を進めることもできたでしょうに。実は同一神です、が牽強付会に感じました。でも、着想豊かで、楽しく読み終えました。ご冥福をお祈りします。
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記紀が当時の権力者によって編纂され、真実とは異なるということは分かりますが、事件やら背景から血筋までここまで何から何まで間違っているというのは無理があると思います。
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日本神話に出る「櫛名田比売」と「丹生都比売」に焦点を当てて、筆者独自の目線からこの姫神の正体を探る。感性的で、やや無理のある繋げ方もあると思いますが、神社御由緒などのフィールドワークを丁寧にこなしておられる様子が伺えます。
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この本全てを鵜呑みにするわけにはいかないだろうが、高千穂と出雲が結びついた瞬間はちょっと気持ちよかった。
荒唐無稽な話でもなくしっかり記紀を読み込みお隣新羅の歴史も参照し、各地の神社の縁起を調べ尽くす力に敬服する。
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複数いる神様が一つに集約されていく様は読んでいて驚きつつ壮観でもありました。
櫛名田姫や丹生都姫を通じて、八岐大蛇、天岩戸、出雲の国譲りや天孫降臨などを想像もしない方向から解釈していたのも斬新で面白い。
ある種暴論とも取られかねないくらい本当に斬新な話ではありましたが、引き込まれました。
考古学的資料で裏付けられた話という訳ではあまりないけれど、神社や風土記に残る話から、これだけの物語を導き出した情熱にただただ感服。
素盞嗚尊は実は、天照大神は、卑弥呼は、猿田彦とは誰か。
今まで少しは読んで触れてきた有名どころの(この本における)正体にも度肝を抜かれると思います。
正直見たことなかった、こんな説。
丁寧にフィールドワークされているので、その点も好感がもてます。
惜しむらくは、解説にもありましたが、続編をもう読めないという点。
ご冥福をお祈りします。