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ヘンリー卿、一番罪作りな気がするのに、最後まで安泰で何故か憎めない。人の内面をえぐりながらその皮膚を滑って生きているよう・・・正直羨ましいかも
2005/10/17 15:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゴン狐 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一体人の所業の善悪は、その人物の顔に表れるものなのだろうか。自分の身代わりとして悪事と年を重ね醜く変化する肖像画を持ってしまったばかりに、純粋無垢な心を持った美しき青年が、いとも感嘆に醜悪に堕ちていく様は、残酷な結末を想像させられ、この手の展開が苦手な私は先に読み進むの躊躇した。自分は改心したと信じた一片の勘違いな善行によって、肖像がから解き放たれると、無邪気に最後の希望を持つドリアンが愚かしくも悲しい。
一番の呪わしいものはドリアン・グレイか、その完璧な肖像を描きドリアンを崇拝するが故に忌まわしい願いをかけさせてしまったバジル・ホールウォードか、その美しさをドリアンに吹き込んだヘンリー卿か。一番の被害者はなどと考えながら読んでいるとその答えを出すことが、自分の中の善悪と華麗で美しいものたちへの偏見に満ちた感情を目のあたりにされそうで怖い。
最初の1ページから、装飾おびただしい描写に少々辟易した。ドリアンが没頭するイギリスや古今東西(日本のものもあり)美術・芸術・人物に対する執着を延々と描写しているのには、あんまり理解できないこともあり、飽きてしまったがこの作品の背景に必要だと最後には納得。ほとんど会話だけで占められ、人物描写が極端に少ない場面でも不思議と登場人物たちは無表情に陥らない。ヘンリー卿が自分で言うような逆説に満ちた解釈を聴くドリアンの、カゼに揺れる金髪とひそめた眉が浮かんでくように、文章に色彩が感じられて華やかな反面、凄惨な場面では血の色が生々しい。
冒頭の書き出しにげんなりして飛ばし読みを始めた私の行動と感情を、初版発行の昭和37年解説者佐伯彰一氏に、見事に言い当てられ、実にありきたりな読者である自分に赤面。バジル・ホールウォード氏の「画家の序文」、『すべて芸術はまったく無用である』と述べたオスカー・ワイルド自身の「序文」、「解説」が、本文に負けず興味深い。
後半
2024/06/17 22:04
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投稿者:忍者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
個人的な感想を述べると、前半はちょっと退屈というか、本当に申し訳ないのですが、うーん、といった感じだったのですが、後半になって自分好みなサスペンス的展開になっていき、わくわくしました。結果的には、すごく面白かったです。