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とりあえず,「聖域(サンクチュアリ)編」と呼ばれる部分を読破しました。単行本の第1巻~第13巻です。女神アテナを守るために戦う聖闘士(セイント)となった星矢たち孤児が,聖闘士の総本山である聖域にはびこる悪を一掃するため最強の黄金聖闘士と死闘を繰り広げるというお話。第1巻が発行されたのが1986年,第13巻は1988年で,今から20年も前の作品ですが,今読んでも面白い。複雑な伏線とか,入り組んだ謎とかは全然なく,ストレートに友情とか正義とか愛とかを謳う骨太のストーリーに安心感を覚えます。
黄道12星座をモチーフにした黄金聖闘士(ゴールドセイント)が登場し,小学生の頃は異様に盛り上がったのを覚えています。ペガサス座とか白鳥座とかはまったく人ごとですが,牡羊座とか牡牛座が出てくるとなれば話は別。誰もが自分の守護星座を持っている気がして,20年前の小学生はみんな黄金聖闘士になってました。牡牛座(タウラス)のアルデバランや獅子座(レオ)のアイオリア,蠍座(スコーピオン)のミロ,水瓶座(アクエリアス)のカミュなどは強くてかっこいいので喜ばれました。乙女座(バルゴ)のシャカにいたっては,みんな真似して目をつぶって歩くので危なくて仕方がなかったです。牡牛座(アリエス)のムウや射手座(サジタリアス)のアイオロス,天秤座(ライブラ)の老師はどんな戦い方をするのかわからず,その謎めいた感じがちょっと羨ましがられました。双子座(ジェミニ)のサガはとにかく悪くて強いので,ふたご座のヤツはみんな喜んで悪役をやってました。がっかりしたのが蟹座(キャンサー)のデスマスク。黄金聖闘士のくせに小悪党。最期は黄金聖衣そのものに愛想を尽かされ,龍星座(ドラゴン)の紫龍の手で黄泉比良坂にたたき落とされるという結末に,かに座の友だちは肩を落としていました。逆ギレ気味に「積尸気冥界波!」とか叫んでましたが。
ちなみに私はうお座の人なので,十二宮の最後を守るうお座の聖闘士の登場を待ちわびたわけなのですが,魚星座(ピスケス)のアフロディーテが初めて登場した時に「…えっ?」と絶句しました。これまで星矢たちと戦った黄金聖闘士は“もっとも神にちかい男”シャカだったり,“黄金聖闘士十二人の中でも最強”の手刀を持つシュラだったりしたわけですが,アフロディーテは「その美しさは88の聖闘士の中でも随一」という“天と地のはざまに輝きをほこる美の戦士”……バラの花くわえてるし。技はバラの技ばっかりで魚座らしいところはまるでなし。真似して遊びにくいじゃねーかこの聖闘士。俺もしし座とかが良かったなーなどと無体なことを言っていました。
正しく生きたいと思う心が強いあまりに相反する悪の心も強くなってしまい,善と悪の間で苦しんでいた双子座のサガがあわれです。最後,アテナの化身である沙織嬢にこれまでのことを詫び,自らの命を絶ってしまうところで思わず涙が。