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北朝鮮の権力者にかかわる女性について知りたくて読書。
まだ金与正がほぼ表に出ていなかった2016年4月発売。改めて今読んでみると示唆に富んでいる。金与正と金敬姫が近いことが分かる。
ある北朝鮮研究者は、独裁国家にナンバー2は存在しないと指摘する。対外的な序列、元首は存在するも実際は独裁者の兄弟、家族、親族しか信用しない部族・王朝スタイルで統治されるからだろう。
北朝鮮の権力者とそれを取り巻く「大奥」は、まさに封建社会、李氏朝鮮時代そのままの現代へタイムスリップしているように思えてくる。リアル宮廷女官チャングムの誓い。現代日本人からはまったく想像できない教科書の世界だ。
また全体を通して著者の取材力のすごさを実感させてくれる。本書では多くのインタビュー内容が盛り込まれていてグイグイと引き込ませてくれる。
第1章の金与正と第7章を個人的に精読。
北朝鮮の女性の権利や立場、状況について日本のフェミニストたちが糾弾している声をあまり耳にしない。なぜだろうか。
女性に限らず、独裁国家は、権力者とその一部の周りの人間以外の人間は権利も自由もない奴隷同然なので男女問わず運命を自分の意志では決めることができないのは当然と言える。
脱北者全体の7割が女性である点も興味深い。やはり北朝鮮が変わるためには脱北した元北朝鮮人たちの存在が鍵となるのだろうか。
読書時間:約1時間45分