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対話型の書き方は始め違和感ありますがとても読みやすいです(がしかし長い。)。
全体的な世の中の流れ(経済、金融、宗教に戦争、アート)を知りたい人にはとってもオススメ。だが、筆者は割りと偏った思想の持ち主なので鵜呑みにしないように注意は必要。
右肩上がりの成長前提で設計されてきた資本主義(日本のみならず世界)がこれからどうしていけば良いのかを筆者なりの視点でまとめられています。
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結果、池上彰本だと思っていればあまり間違いはない。
よい本ではあるが、基本的には高校、大学生向けの本ではないか。
経済の話に重点がおかれているが、
実際は地政学といった観点でも不安は発生しているはずで、その点から日本の周辺の諸国、またはエネルギーなどについて後続で話があると良かったかと。
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まず、圧巻のカバーイラストなど本としての体裁が素晴らしい。分かってそうであんまり分かってなかったことが分かりやすく書かれていたり、違う視点で見られたり。面白かったです。
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教授と生徒の対話形式で展開されるあるある技法だが、この本中身がコレでもかというほど濃い。背景知識と分析結果に基づいた、深い示唆を得られる内容になっている。かなりの意欲作、とてもおもしろく読めて学びが深い。
世界は成長の限界を迎えているにもかかわらず、無理な成長を実現しようとしてつじつま合わせにリスクの高い劇薬的な施策を打っているのが今。
長年の歴史の中で一部の富のために虐げられてきた国や宗教、民族によるテロリズムの表出が今のイスラム国。
相当な背景知識がないとこの本は掛けないなと、読後に唸る感じ。
■読書メモ
・砂糖はイギリス人が奴隷貿易でアフリカから連れてきた黒人奴隷を酷使して作った賢者の石
・先進国のための食料や原材料の生産地にさせられ、資本投下を猛烈にされた結果、社会や経済がゆがんでしまう、これを低開発化という
・近代世界システム論においては先進国を中核、低開発化地域を周辺としている
・1~3次産業全てで優位になった国家…ヘゲモニー国家(オランダ→イギリス→アメリカ)は同じような発展と崩壊のパターンを描く。農業、工業が優位になり生産力が高まる→商業が発展する→金融が発展する→生産力が落ちる→商業が崩壊→金融が残る
・このような状況をなんとかつじつまを合わせようと、成長できない世界を無理やり成長させようとしたり無理なリターンを生み出そうとして社会が歪む。その結果我々はコレで大丈夫なんだろうかと不安に襲われる
・シニアが昔の約束通りのカネを受け取ることが既得権益になっていることに気づいていない。
・日銀の黒田総裁がやっていることは、インフレのムーブメントを作ること。期待を上げようとしている。これをマネタリー・シャーマンと呼ぶ
・金利は将来のお金の割引率、金利が下がれば株価は上がる
・経済成長が当たり前でなくなった世界で、経済成長が前提だった世界の常識を持ち込もうとするから無理がある
・人類は物質エネルギー、産業、金融という3つの循環にッサ得られている、持続可能性はこれらがバランスを取りながら持続できること、成長は持続可能ではなく、定常的な社会、経済を目指す必要がある。江戸時代にはそれができていた
・支配階層が腐敗しなかったことがその要因、武士のほうが清貧を求めた
・日本の戦争は、白人の欧米の世界システムに対抗しなければ賢者の石化していくアジアを憂いて、リーダーとしての行動だった。これが敗戦後に塗り替えられた
・銀行は物理的にお金を擦れるからお金を増やせるのではない。銀行は信用創造機能を持ってお金を増やす
・借用書、債権・債務が貨幣の本源
・アメリカの経済学がここ20年ノーベル経済学賞をほぼ独占し、中央銀行がインフレを作れるとするマネタリストが権威付けられてしまった
・市場に対して大きすぎるポジションを持っていると、途中経過でいかに儲かっていても利益が確定できるかどうかは不明
・およそ100年前、イスラムの大国、オスマン帝国を第一次世界大戦で滅ぼすにあたり、イギリスがアラ��、ユダヤ、ロシア、フランスの3者と矛盾する約束(サイクス・ピコ協定)をした。その結果クルド人は分割され、イラクやシリアのような腎臓国家が生まれ、ユダヤ人の国イスラエルが生まれる伏線となった
・そもそも聖地エルサレムをイスラム教徒に占領されて、巡礼ができないとしてキリスト教徒が十字軍を結成し戦争を仕掛けた。十字軍はエルサレム奪還にあたり、イスラム教徒のみならずユダヤ教徒も女子供も全て皆殺しにした
・ユダヤは一神教、砂漠の宗教であり戒律が厳しい
・多神教は自然が豊かな国で育まれる森の宗教
・キリスト3割、イスラム2割で世界人口の半数を占める
・経済的な利権や権力の拡大を目的とするキリスト教側がイスラム教側を1,000年にわたって賢者の石化してきたという恨むつらみが根源的な対立の背景
・イスラム国が生まれた因はイラク戦争でアメリカがフセインを排除し、その後の統治に失敗したため。イラクはシーア派とスンニ派とクルド人が同居する人口国家。フセインの独裁政治は経済発展に大きく貢献していた
・アルカイダは冷戦時代にソ連のアフガニスタン侵攻の抵抗勢力としてイスラム原理主義勢力にアメリカが武器を供給し戦闘を教えたことで生まれた。イラクも元々はイランとの戦争時アメリカと近い関係だった
・イスラム国はシーア派のアサド政権を攻撃してくれているため、容易に潰せない
・ロシアは一方でシリアのアサド政権指示のためイスラム国を攻撃する理由がある。かつ、アメリカの弱さを世界に示す一石二鳥
・一方、イスラム国がなくなると対立するクルド人勢力が大きくなり、これを嫌がったトルコがロシアに戦闘を仕掛けた
・インターネットバブルの崩壊を、違う形のバブルで穴埋めした世界は、結果的にリーマンを引き起こした。緊急避難として中央銀行が劇薬の量的緩和をし、残る成長が期待されるカードは中国をはじめとする新興国のみとなった
・江戸時代後期には日本人は豊かな成熟社会を作り、暇な時間を有効に使って趣味や文化的な活動に花を咲かせた豊かな時代を作った。経済成長が限界を迎える今、我々が目を向けるべきは次なる成熟社会の在り方へのシフト
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お堅い話もわかりやすく、砕いて書いてある。いま漠然と抱えている、将来への不安の正体について考えさせられた。
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ヘゲモニー国家は同じような発展と崩壊のパターンを描く。第一段階は農業や工業が優位になって生産力が高まり、第二段階は商業が発展し、最後に金融業が発展する。そして、崩壊する時も農業や工業が競争力を失い、商業がダメになって最後に金融が残る。例えばオランダのヘゲモニーは17世紀末に怪しくなるが、金融は18世紀後半まで残った。
ヘゲモニー国家は自由が一番安上がりに勝つ方法なので、「自分たちのルールで自由にやろうぜ」と主張する。今でいうグローバルスタンダード。
18世紀前半のリバプールでは、多くの奴隷貿易の利潤率が100%を超え、時には300%にも及んだ。この、奴隷貿易と奴隷制の利益がもたらした資本の蓄積がイギリスで産業革命が起きた要因。産業革命が成立し、産業資本が確立すると、奴隷貿易の収益性が低下し、19世紀になって奴隷貿易と奴隷制が撤廃された。
大英博物館には自国のものはほとんど無い。世界システムの頂点を極めて世界中からぶんどってきたものの展示場。本来の文化という意味で、イギリスは相当疑問がある。
オスマン帝国は大枠ではイスラム教でありながら、いろいろな民族がいろいろな宗教を信じるのを許容していた。
クルド人は人口2500-3000万人の独自の国家を持たない世界最大の民族。少数民族ではなく、分割された民族である。
「低開発化」とは、「中核」が支配しやすいように、「周辺」の社会秩序を壊す事。新しい支配者が西欧からやってきても、元々の支配層は言う事を聞かない。そこで元々の支配層以外で自分たちの言う事を聞く人たちを重用して支配する。虐げられていたマイノリティにとっては逆転のチャンスなので、「中核」からやってきた支配者のいいなりになる。こうして「周辺」では諍いや混乱が常態化する。
現在の覇権国であるアメリカは新しい国で投資家も歴史を理解していないので、歴史的な前提を無視して短絡的な議論をする傾向がある。
我々はおじいさんやおばあさんの時代よりも成長した社会にいきるのが当たり前だと思っているが、人類数万年の歴史の中で、それは僅か数百年の事に過ぎない。
バブルはお金が余っていて、お金を運用したり貸したりしたい人が大量にいる時に発生する。
日本開国後、外国人が来てびっくりした事は、日本の支配者層である武士の方が民衆より貧乏であった事。支配者層は腐敗せず、儒教を重んじる教養主義であった。
世界中がアメリカ人と同じ暮らしをすると、地球が5.3個必要。
量を増やして成長する事を目指すのではなく、質をよくして発展する事を目指す事。
短期国債は通常、数週間から2-3ヶ月程度の満期のものなので、支払ったお金と等価交換。
銀行は、融資や債券などの借用書を資産に持ち、預金や手形といった借用書を発行して負債とする。借用書にはそれぞれに信用リスクと流動性リスクが存在し、銀行は、これらのリスクを管理
する事で収益を上げる。
中央銀行が銀行から国債を買ってお金を銀行に供給しても、銀行がお金を貸さない=借りる人がいないと世の中全体のお金は増えない。
白川総裁以前は、銀行券ルールを守って長期国債を買っていた。銀行券ルールとは、長期国債の保有額を紙幣の発行額の限度内にするというもの。償還まで持てば元本は返ってくるので絶対に損は無い。
砂漠で生まれた宗教は一神教だが、自然豊か地域の宗教は多神教。環境の厳しい場所で生まれた神は「与えるもの」というより「ルールを守らないと奪うもの」となる。
ユダヤ人の定義はユダヤ教に入信する事なので、日本人でもなれる。
中銀の異次元緩和は、資産家にはプラスだが、持ってない人にはマイナスという、貧富の差を広げる副作用がでただけ。
アラブの春が起きたエジプトの識字率は低いし、チュニジアのFacebookの普及率は20%足らずだった。これらは民主化革命ではなく、貧困が生んだ暴動。QEの副作用。
社会を精算する3つの正攻法
1.消費税を最低20%にする
2.年金や社会保障費大幅カット
3.高齢者にも働いてもらい、税金を払ってもらう
物質的な豊かさの追求はほどほどにして、地球環境に優しい精神的世界の充実が価値を持つ世界へ人類はレベルアップするステージにいる。
成長しないとつじつまが合わない中、成長しない世界に逆らい無理な成長を求めて、ついにはマネタイゼーションに向かおうとしている。これは極めて危険な事で、国家の破綻を招くかもしれないゆゆしき事態である。我々はこの事実を真摯に受け止め対応すべきである。日本人の民度と英知が試されていると言ってよいだろう。
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世界は人口減少に向かっている。開発途上国でも同様。
昔は子供は労働力になった。今は教育費がかかる。
年金制度のため、子供がいなくても将来生活ができる。
アトムが人類を不幸にする。科学技術の発達が寿命を延ばし、仕事を減らす。
セイの法則=作られたものは結局は消費される=現代は成り立たない。供給は需要を作らない。
ルネサンスの三大発明=印刷、火薬、羅針盤。中国ではもっと前からあった。
紅茶と砂糖=富の象徴。
イギリスは資本を蓄えられたから産業革命が起きた。
成長する余地がないのではないか。が不安の源。
人口が減少し、欲望が飽和し、結果として需要がなくなる。
中央銀行はお金を増やせない。
パンとサーカスの政治=ローマ時代と同じ。
江戸時代、支配階級である武士は庶民より貧乏だった。外国人には理解できなかったこと。
キリスト教は奴隷貿易と結託していた。
韓国は、特権階級(両班)の権益を守るため近代化には反対だった。
定常経済=江戸時代。
アメリカではマネタリストが幅を利かせている=バーナンキ、イエレン。ミルトン・フリードマンがノーベル賞をとってから。貨幣数量説。
市場価格で買っていればマネタイゼーションとはいえない。それは売るときにその値段で売れれば。
フルシチョフ=ロバの尻尾事件=抽象画をそう表現した。
地球が成長の限界を迎えている。
中国は2000年代の終盤にルイスの転換点を迎えた=農村の労働移転が限界に達した。
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序盤の歴史、経済、人口学的な切り口からの解説はわかりやすく、説得力もある。
大きく言うと、加速的な人口増加が急激に減速しつつあり、未曾有の状況の前に我々が不安になっているということ。ここまでは良い。
その後、金融政策批判をはじめるあたりからあとは総じていただけない。
地域や状況を混ぜこぜにしたり、ちょっと強引な解釈、我田引水な話の展開が殊更に目だつ。
この箇所はあまりの酷さにムカムカして来るレベルである。
序盤は良書だと思ったが、それ以降は読者自身が批判的思考をできているかどうか試すのに役に立つくらい。
もっともらしい事を言っていても、根拠が薄弱な議論は耳を貸すに値しない。
受け身になって教えを乞うつもりで読むのはお勧めしません。
こういう本に惑わされないように、誰かの議論には適切な根拠があるかを確認するようにしましょう。
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(社会の物質的成長が止まることを前提に、システムを設計しなおすことには賛成だけど、前提が覆る可能性があることも忘れてはならない。
地球には資源が有限だけど、宇宙に進出することができたら、可能性は無限に広がる。少子高齢化はそのままかもしれないけど、1人当たりの生産性の上昇でもってそれを支えることが十分可能だろう。
あるいは技術革新。とんでもないイノベーションが起きて生産革命が起きたら、これも成長を後押しする。
まあ当分は非現実的かな。)
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読了。歴史の話は目から鱗であった。金融の話は、不安になった。経済がガタガタになると考えるとどうしようかと思考停止になる。たぶん自分だけ生き残ろうとしるとアウトなのだろう。
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会話形式で書かれてはいるが、内容は非常にしっかりしており、著者の考え方にも納得感があった。
人口減少、高齢化社会というこれから世界が直面する課題に、日本が最初に直面し、世界のお手本を示せるか試されている。
さらに日本は先進国で唯一の宗教に縛られることがない多神教の国家であり、仏教やキリスト教が伝わっても受け入れてきた懐の深さを持っていることを誇りに思えた。
・失敗したら損失が大きい映画やアニメは、そうそう冒険できませんが、マンガだと新人がどんどん出てくるし、社会現象を引き起おこすことすらあります。売れるマンガは世の中の一般の人たちの心理を映す鏡でもあるの。
・なぜ、みんな(漠然と不安)なのかというと、まったく(新しい時代)にいるのに、今までどおりに生きょうとする既得権益層が世の中を歪めているからなのです。
・新しい時代の一番わかりゃすい事実は、いずれ、世界が人口減少に向かっていくということです。
・産業革命は「物理の革命」であり、失業したものも新たな雇用に吸収された。しかし、今起きているデジタル革命は「情報の革命」であり、人間の脳の機能を、さらに高速の処理能力のある機械で代替していきます。従って知識や技能のない人が切り捨てられてしま可能性も高いのです。そうなると、子供には高度な教育が必要になるため、コストが大きくなってしまい、少子化につながる。
・勝ち組でなければ負け組といつたように、真ん中がなくなっていく傾向が出ており、1人あたりの生産性は大きくなっくいるのに、所得の中央値が下がっているという事実の原因です。
・古典派経済学が生まれたころのヨーロッパはまだ貧しくモノを作る能力にも限界があったため、モノをつくれば必ずだれか欲しい人が出てくるのが当たり前という、「供給が需要を作る」ことが大前提であった。
・、人口構成のうち子供や老人が少なく、生産年齢人口が多い状態を人ロボーナスといって、高い経済成長が可能だと考えらている。
・第1次・第2次・第3次産業すべてにおいて、他の国を引き離します。こういうふうにすべてにおいて優位に立つた国をへゲモニー国家という。ヘゲモニー国家は同じような発展と崩壊のパターンを描くのです。第1段階は農業や工業が優位になって生産力が高まり、第2段階は商業が発展し、最後に金融業が発展していくという具合です。この順番で発展して、崩壊するときも農業や工業が競争力を失い、商業がダメになって、最後に金融が残るという具合です。
・アメリカもこれまでのへゲモニー国家が発展・衰退した過程を同じようにたどっています。製造業の優位性はなくなり、金融業が最後の優位性を残すというふうに、現在はアメリカのへゲモニーは衰退期に入っています。
・我々はこの数百年の爆発的に成長する世界を当たり前だと思ってしまっていますし、成長しない「新しい時代」のモデルはまだ模索している段階なのです。現在の社会システムは成長を前提とした仕組みのままですから、例えば、おじいさん・おばあさんたちは、小さくなる「新しい時代」に合わせて、年金を少なくしてもい���とは言ってくれない。
・、成長できない世界を無理やり成長させようとしたり、無理なリターンを生み出そうとしたりして、社会が歪んできている。その結果、人々はこれで大丈夫なんだろうかと不安に襲われるのです。これが、我々が襲われている「不安の正体」なのです。
・株価が上がったから景気が良くなるわけではなくて、景気が良くなったから株価が上がるというものだし、インフレにしたから景気が良くなって需要が増えるわけではなく、本当は逆で、景気が良くなって需要が増えるからインフレになる。
・日銀が、国債の発行額のほとんどを買って、無理やり金利を下げて銀行が国債を買えないようにして、もっとリスクのる資産、株や不動産といったものを買わせるように仕向けていって、さらに日銀自身が株むどんどん買えば株価が上がるのは当たり前です。しかし、いつまでも買い続けることはできないため、どこかで買うのを止めたら国債や株価が下がってしまう可能性は高い。
・「定常型社会/定常型経済」とは活発に経済活動はしていても、規模は拡大しない社会や経済のことです。「新しい時代」とは、このような社会や経済に移行していくこと。
・江戸時代が他の世界と決定的に違うことは、支配階層が腐敗しなかったこと。それは儒学といった国を治める学問を取り入れ、儒学に優れた人を尊敬しその教えを乞うという政治社会制度が成立していたからです。その結果、世界でも稀な文治社会となったのです。支配階層が経済的な利益を優先しない教養主義だつたので、武士のほうが貧乏で民衆のほうが豊かだつたのです。このような教養主義の伝統や儒教的な道徳が戦前までずっと受け継がれていくため、日本はモラルの高い国だつたのです。それが、「定常型社会や経済」を行なうことができた重要な背景でもある。
・日本の当初の基本戦略は、有色人種のアジアが協カして白人の欧米の世界システムに対抗しなければ生き残れないし、日本は世界システムに取り込まれることなく残った唯一の有色人種の先進国だったので、日本がリーダーシップをとってアジア圏で白人の欧米列強に抵抗しようとししたのです戦後になってからの教育が、戦前をすべて否定する教育へと極端に偏った方向に行った結果です。さらに、この戦略はアジアの中で日本の序列が低かったためうまくいかなかった。中国がずっと世界でも最大の帝国だったため、中国は界で一番であるという、中華思想、があって、他の国はその下にあるという考えがあるのです。その序列からみると、中国が親分で、韓国・朝鮮は一番目の子分、べトナムが二番目の子分で、日本は最下層の子分。
・将来の繁栄を考えれば、社会が未来を背負う人たちに投資をしていかなければならないのは当然で、現状のようなお年寄りにばかりおカネを使うのではなく、機械に負けない人々を養成すべく教育におカネをかけていかなければダメなのです。しかし、政治家は選挙率の高いお年寄り向けの施策ばかりで、投票率の低い若者向けの施策は行わない。
・経済が成長しない新しい時代において我々は、量より質を求めていかなければいけないのです。量を増やして成長もすることを目指すのではなく、質を良くしていく、発展を目指すのが、経済が成長しない「定常型経済」にとって重���なことなのです。
・日本の製造業の強みも、「摺り合わせ型」といって、アナログ的なところにあります。これからの新しい時代は「量より質」なので、日本人が得意とするような質の高いアナログ技術が価値を持つ時代でもあるのです。
・第2次世界大戦後に覇権国となったアメリカは、自国文化を育てるために現代アートを生み出した。現代アートはアメリカに移民したユダヤ人が中心となって気づきあげた抽象的な絵画である。ユダヤ教は偶像崇拝を禁止しているため、もともと抽象画が得意でった。さらにキリスト教やイスラム教では、汗をかかずに利益を得ることは卑しいこととされているため、ユダヤ人だけが金融業などの市場関係の分野に進出できた。そしてアートにも市場を作り上げた。
・アメリカではユダヤ教とキリスト教の利害が一致して手を組んでいる。特にアメリカの原理主義的なキリスト教福音派とユダヤ教は親和性が高い。
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題名についての解を歴史的な視点から論じている。西洋の視点が常識となっている世界史を、別の視点からみる面白さを提供し、宗教についても同様の展開が続く。多くのページを費やしたのが、日本の金融政策の危うさについて。著者は使命感をもって持論を主張しており、警鐘を鳴らすためにこの本を執筆したことがわかる。このような状況に至った背景についての分析も納得感がある。
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『増補版なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?:日本人が知らない本当の世界経済の授業』では、これから世界に起きる問題・現在進行系で起きている問題から、「①これから世界がどうなるのか」。「②何が本質的な問題」で「③それに対して我々はどうするべき
なのか」の3つを著者である、松村嘉浩氏が記録したものである。
「① これから世界がどうなるのか」に関して、松村氏は、「機械の台頭」と「シェアリング
経済の拡大」をあげている。「機械の台頭」に関しては、「IT革命」によって、低賃金の仕事が機械に置き換わる変化を言っている。仕事がITによって置き換わることによって、アメリカでは、「ジョブレス・リカバリー」と言われる、「景気は回復しているにもかかわらず、雇用が生まれない」という状況に陥っている。この状況において、ITを使いこなせるような高所得者とITに置き替わられてしまう低所得者の間に深刻な経済格差が起きつつある。しかも、この影響は後世にまで残ってしまう。富裕層は子供に高度なIT教育を施す一方で、低所得者の子供には、教育を受けさせることができないという負の連鎖に陥っている。
「シェアリング経済の拡大」は、「モノ」を所有するのではなく、必要なときに必要なだけ使うために、「共有」するビジネス経済圏が生まれつつあることを言っている。今までは欲望のままに足りないものを買って、消費するというライフスタイルが一般的だったが、モノが充足するにつれて、モノを消費するよりも共有することに価値が置かれるように変化していく流れがきている。
「②何が本質的な問題か」は、経済成長は成長限界を迎えているというのに、成長を前提としたシステムを世界中で構築し、維持していることである。例えば、資本主義は、経済が成長していくことを前提とし、人々が労働して、得た資本を消費し、次の資本に投下していくことで、経済が成長していくというループを前提としている。ただ、現代は、定常経済に陥っており、労働力は減少していくばかりなので、継続的な成長は望めなくなった。なので、継続的な成長を前提としている政策やシステム、思考は矛盾を生んでいて、それがテロ事件やリーマンショックなどの問題を引き起こしている。
③それに対して我々はどうするべきなのか」は、無限の経済成長を前提とすることを止め、物質的満足ではなく、精神的な満足に対して世界中で移行していくことが特に重要だと説く。また次に、「今起きている問題を先送りせず、今生きている世代の中で問題を止める」という断固とした現役世代の意志と行動が必要だ。日本は他国に先んじて、未曾有の問題に直面しており、問題の解決方法を他国に示すチャンスを得ている。江戸時代において、経済よりも精神的な満足が重視されていたことからも日本人にできないことではないと思われるので、一人一人が責任を持って取り組んでいくべきだ。
読み終わってから、私自身思ったこととしては、主に4つある。
1つ目は自分の無知さである。自分自身本を読むのは好きだし、世界の経済や政治、宗教に関して興味を持ってニ��ースを見ていた。しかし、表面的なメディアの主張や分析、煽りなどに自分が無自覚にも左右され、浅はかな認識を持っていたことに気づいた。なんとなく「日本経済は衰退して、これから後発国にどんどん抜かれる」といった認識でそれがなぜ起きていて、それに対しての経済政策はいいのか悪いのか。を自分の頭で考えきれていないことに気づきました。
2つ目は、本を買って読まないと、「世界経済・日本経済のヤバさに気付きにくい現状」への危機感です。なぜ、そのようなことが起きているのかを考えたところ、前提として説明する際に、一冊の本ぐらいの説明量がいるという点を除けば、大手新聞や大手テレビといったメディア産業の上にいる上の年齢層の方々が変化の激しい今の時代に対しての思考と勉強が不足しているのかなと思いました。また、メディアという産業の構造自体、「正しい情報を伝える」というよりは、「視聴率がとれるものや大衆の目を引きやすい情報を流す」ことに傾倒してしまう構造があるのだと思います。これを解決するためには、従来の産業構造にとらわれないWEBメディアが情報の正しさと相手に正しく伝わることに価値置くこと。松村先生のような知識人がダイレクトに大衆に対して意見を訴えるような仕組みを確立していくことが重要だと思いました。
3つ目は、自分にとって精神的な満足を考えること。つまりは、「自分にとっての幸せの意味」を考えることが必要だと思います。以前読んだ本で幸せの要素としてあげられていたのは、「快楽」、「意味合い」、「没頭」の3つだ。経済的な満足から、精神的な満足に移行するためには、3つに対して、自分独自の意味合いを見出すことが個々人に必要だと思います。自分自身が楽しくできること。自分自身が意義を感じて、達成のために頑張れること。自分自身が寝食を忘れてしまうくらい没頭してしまうようなこと。これらを仕事にして精神的な満足を高めることが今後、必要だと改めて思いました。
4つ目は、シェアリング経済により、“世界は今よりも平和になるのではないのか”という期待だ。これまで歴史上、国と国がいがみ合うことや人と人が争いあうことの根底にあるのは、「モノへの所有欲求」ではないのかと思う。例えば、食糧や資源が自国にないから力ずくで奪う。モノが不足し、最低限の生活ができなくなったがために、人から奪う。こういった「共有」よりも「所有」の概念が強かったがために争いが起きていたのではないかと思う。現代においては、経済活動をすることによって争いは減ったが、未だに火花はくすぶっている。経済活動による平和を推し進めるためには、「シェリング経済の拡大」は必要不可欠だと思います。ただ、まだシェアという価値観よりも所有という価値観の方が強い傾向はあると思うので、若い世代が取り入れて生き、徐々に上の世代にも浸透させていく必要はあると思いました。
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世界経済の仕組みを、小説形式でわかりやすく紐解いていきます。
普段経済系の本をお読みにならない方でもとっつきやすく、とても読み易いです。
人は知らないことに対して、どうしても漠然と不安に思ってしまうものです。
まず少しでも現実を「知る」ことが、とても大切だと気づかせてくれます。
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経済学的な世の中の動きに疎い私でも、とても面白く読めました
・世界の人口は減少に向かう(人口オーナス期)
・テクノロジーのい進歩の結果、音楽家自体がいなくなる
– 体温や脈拍のデータから、そのときの気分にあった音楽を作曲・演奏してくれる時代
・近代世界システム論では中核と周辺という分業体制
– 低開発化、”賢者の石”化
・現代アートはアメリカのユダヤ系アーティストが主導
– 第二次世界大戦以降、アメリカは田舎者から世界のリーダーへ
– アメリカの分化として、拡大・発展