紙の本
これぞジュブナイル!
2016/04/16 16:08
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
加納朋子さん、お久し振りです!、と思わず本を手にして呟いてしまう。
これの単行本が出たのは知っていたんですが、「面白そう」と思いつつ単行本だったのでスルー。 いつの間にか文庫が出ていました。 個人的には『レイン・レイン・ボウ』以来?
中学校に入ったみづきは昔からの腐れ縁の友人・じゅえりの片思いに巻き込まれ、強引に<飛行クラブ>なる部活に入ってしまう。 部長は変人、入ってくる部員はちょっと変わった人ばかり、なんか私だけ苦労してるかも・・・のみづきの中学生ライフ一年目。
これがまたなんとも清々しいというかまっすぐというか・・・世の中には悪意とかいろいろあるけど、自分にも気付かない至らないところが沢山あるけど、それでもまっとうでいることって素晴らしいよね、知らないでいるよりちゃんと気づいた方がいいよねという内容で・・・あまりのまっすぐさに己のひねくれ度合いを思い知らされ、涙すること数回でした。
「あいつ、話通じないんだけど」や「なんであの人は人の悪口ばっかり言うんだろう」など、自分から見てどうも常識外の相手にも、歩み寄ってみれば別の面が見えてきます、という当たり前なんだけど大人になると結構難しい(そこまでやる余裕がない)と判断して切り捨ててしまうこと、その中に意外な真実があることを見逃しているのかもよ、という・・・人間関係の基本ですなぁ。
だからこそ、余裕のある中学生に是非読んでもらいたいかも。 もしくは、この4月から中学生になる卒業前の小学6年生。
結局いい人しか出てこないとか、実際の学校ではいじめとか大変だという冷酷な事実もあるでしょうが(それこそ映画『桐島、部活やめるってよ』ばりの残酷なヒエラルキーなど)、こういう小説の中でぐらい穏やかな気持ちでいたいではないですか。
あぁ、なんかすがすがしい気持ちで読み終わる。
ラブコメにする必要はあったのかなぁ、という部分はなきにしもあらずだし、みづきの話し方・考え方が「ついこの前まで小学生だった割にいろんなこと知ってない?」的なところはあるけれど、そこは家庭環境によって培われたものだと考えましょう。 最近の“読めない名前”についても、つけられた側からの言及もあって、そこも興味深かったです。(2013年3月読了)
紙の本
ファンタジーなきファンタジー、ミステリーなきミステリーという力技。
2012/01/27 00:42
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投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルからすると、一見、ファンタジー。そして著者の名をみれば、中学校を舞台にした爽やか系青春ミステリーかと想像される。そう思いきや、倶楽部を主催するというのはかなり変人な先輩。なまえは神(じん)。そこに友達にさそわれて入ってしまった、中学一年の女の子・海月(みづき)が語り手である。そこに集まる少年少女たちは、飛行以前に、それぞれの名前が不可思議である。副部長は海星、海月の友達は樹絵里、不登校から一転入部する朋(るなるな)。顧問の先生の名前も信長。比較的ありがちな名前の球児君は野球が不得意。いたってふつうな良子は、なかなかのくせ者で、主人公はイライザとよぶ。顧問自身が、「珍名クラブ」とつぶやくくらいの集団である。名前の付け方が「日常の謎」のミステリー?と思ってしまうくらいである。そんなコミカルな感じで物語ははじまる。
そんな彼女と彼たちのクラブ活動を描いたのが本書である。そこにはファンタジー要素はなく、いたって現実的な中学生の日常が描かれていく。クラブ活動にしても、まず正式なものとして認可されるようにならなければならない。人集めである。また、活動しようにも、飛行なんてそんな簡単にできるものでもない。進んでいるような、進んでいないような、そんなふうに物語は展開していく。しかし、それでもこれはファンタジーであり、ミステリーなのである。奉仕活動の名のもとの校外学習あたりから、書名通りのクライマックスへ向けて、一気に展開していく。いろいろな想いをてんこもりにのせて。
本書には、魔法使いや名探偵もいないし、犯罪事件も不思議もない。ファンタジーやミステリーに要求される要素はなんらない。しかし、それでも彼女と彼たちの生活と家族そのものが、ファンタジーであり、ミステリーであることを、説得力をもって示してくれる。名前も重要な伏線である。一方で、タイトルも登場人物も舞台も、ジュブイナル要素だけは満載である。どう見てもジュブイナルのはずである。しかし大人こそ読むべき本格小説なのではないかとさえ思えてくるから不思議である。これが、「日常の謎」派とよばれる作者の力技なのであろう。
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解説で金原瑞人氏が語りきっちゃってるのでまずは解説を立ち読みしてみよ!読みたくなりますから!
…さて。読み出しは、可愛げない主人公といちいちイラッとくる登場人物たち。それが読み進むうち、魔法のように可愛らしく愛しく痛々しく胸にきゅんとくるようになる。「こういうひとだ」と思ってた主人公の認識の変化を、金原氏は「マジックでいうところのミスリーディング。ミステリのトリック」と語る。なるほど。そう言われてみればこれは一人称ミステリかも。
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幼馴染みの一目惚れに巻き込まれ「飛行クラブ」に入部することになった海月。尊大なカミサマ部長、恐怖心を持たないるなるな、いじわるイライザなどなど、一癖も二癖もある少年少女たちは、空を飛ぶことが出来るのか。
加納朋子は人のいいところを引き出すのが実に巧い。いい人をいいように描くだけでなく、とてもいい人に思えない人をもしかするといい人かもしれないと描くところが素敵です。だから読後感がすごくいいんですね。実に正々堂々とした青春小説です。現役の中学生にも読んでもらいたいですね。
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手のかかる幼なじみのおかげで「飛行クラブ」という怪しげな部活に入部することになった中学1年生の主人公。
ザ・尊大「カミサマ」部長やコワイ物知らずの危険物娘、意地悪イライザなど、個性あふれるという言葉だけではくくれないような面々に、ときに振り回され、ときにつっこみ、ときに流されながら気づけば主人公は強く思っていた。
「この人を飛ばせてあげたい」と…。
そんな中学生部活小説。
どの集団でもいるような問題児の存在や、中学生ならではの女同士の難しさ、親に振り回される子供の哀しさなどを挟みつつも、全体的にコミカルに描かれていて、読後感が非常に気持ちよい。
部長の変わっていく様はもちろんニヤニヤなんだけれど、じゅえりの公園告白(?)もかなりお気に入り。
この年齢の女子の友情もやもやは、時に恋愛よりも大事で大変だよね。
実写映画になったらちょっといいな、なんて思ってしまったり。
ところで、るなるなが一時トゲトゲしかった理由がよくわからなかったんだけど、もう一度読んだらどこかに答えがあるのだろうか。
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加納朋子さんといえばミステリーのイメージですが、この作品はミステリーではありません。ジャンルでいえば青春小説なのかな?
主人公は中学1年生の女の子。ひょんなことから「飛行クラブ」なる部活動に入ることになり、個性的なメンバーたちと「飛行」することを目指します。
物語の入り口は結構斬新ですが、終盤は落ち着くところに落ち着いた感じ。中高生くらいの年代には面白いのかもしれないですが、三十路の私には少し物足りない内容でした。
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青春小説で、テーマとしては好きなんだけれど、一風変わった登場人物たちのキャラクターがどうにも魅力を感じられなかった。
キャラクターもとくに掘り下げられず、ストーリーもあっさり展開してしまって物足りなかった。
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加納朋子の少年少女飛行倶楽部を読みました。
中学校に入学したばかりの海月(みづき)は幼なじみの樹絵里(じゅえり)に誘われて、飛行クラブというクラブ活動に参加することになってしまいます。
ところが、この飛行クラブは二年生の斎藤神(じん)という部長とその友人の中村海星(かいせい)の二人しか部員がいないのでした。
海月はくーちゃんという愛称で呼ばれていますが、これは海月がクラゲという読みなので、くらげちゃんからくーちゃんに変化したのでした。
この海月の視点から飛行クラブが紆余曲折を経て本当に空を飛んでしまうまでのいきさつが語られていきます。
登場人物たちがそれぞれ個性的(変人)で、その人たちをつないで、空を飛ぶという目的にまとめていく海月の苦労が明るく描かれていきます。
海月の明るい性格、海月の母親の能天気さ、ボケとツッコミの間合い、ちょっとラブコメ、という気持ちの良い物語になっています。
中学一年生はこんなに世慣れていないだろう、と突っ込んでみたくなりますが、物語はとても面白く読みました。。
加納朋子は良い方向に作風を変えたようです。
今後の加納朋子の作品が楽しみになりました。
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学園ものかと思いつつ、読了。
変わり者ばかりの飛行クラブで主人公の女の子が頑張る話。
名前もそうだが、その変わり者ぶりは、金原瑞人氏の解説を読めばすぐにわかる。
落下ではなく、“飛ぶ”。
始めは、中学生が、しかもこのような面々では、絶対に無理だろうと思っていたが、読み進めているうちに、なぜか飛べそうな気になってくるのが不思議だ。
適材適所とはまさに。何かしら得意なことや、知識が他の人よりもあることがあるはずなんだ。
主人公はまっすぐな気持ちで人に、物事にぶつかっていく。この人を飛ばせたいと思ったら、飛ばすために全力を尽くす。
外から見ただけでは、単なる自己中心的な、あるいは人の悪口を言うだけの人間であっても、内面にはそれぞれ悩みだったり願いだったりがこめられているのかもしれない。…ただそういう性格という部分も大きいだろうが。
年齢を重ねていくごとに、できることの幅は広がる。自分で自分の責任をとれるようになる。
子どものうちは、ただ一生懸命にできることを探していくしかないのかもしれない。いつか来る大人になったときのために。
あとがきで加納氏が書かれているが、「底抜けに明るい、青春物語」になっている。「中学生が空を飛ぶ話」。
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かわいらしいストーリー。登場人物がそれぞれにいい。加納さんらしい読了後の感触がいい作品。
くーちゃんの、面倒くさがりのはずが、なぜか苦労性になってるところなんか、あるあるです。そして、イライザの気持ちが、わかっちゃったりして…。青春小説かもしれないけど、少女だったことのあつ大人にもいいお話。
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青春時代の、恋愛感情を含めて青い気持ちを思い出させてくれる作品でした。
個人的に青春物は大好きなので、繰り返し読みました。
やっぱり、青臭さも大切!てt思わせてくれる作品で、すごく好きな作品の一つになりました。
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中学生が主人公の学校もの。
空を飛ぶことをテーマにしたクラブでのほぼ半年が描かれる。
すがしがしいかな。
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表紙とタイトルから受ける印象と内容がピッタリ一致していた。軽く読めて面白い。人物が全員、ちょっとふざけた名前とキャラ付けで登場するが、読み進めていくと、それぞれ別の面が見えてくる。最初の印象が覆がえされるのが心地良かった。
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加納朋子さんは日常の謎から青春まで若者を爽やかに描くことに長けている。デビュー作『ななつのこ』で日常の謎に挑み、以降定期的に出される作品はバラエティに富んでいる。
本作は個性的な少年少女が織り成す青春ストーリーで相変わらずの爽やかさだ。書きたかったんだろうなぁと思った。
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待望の加納朋子さんの新作。
非常に良かった!!!
『伏線』という意味では加納朋子っぽさはないんだけど、どのように飛行を
成し遂げるのかといったあたりが素敵でした。
程よく青春小説な感じも好き。
子供ができたら、中学生になる前に読ませたい一冊ですw。