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期待したほど面白くはなく、あっけないラスト
2016/06/26 10:30
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投稿者:モウ子。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中盤の事件解決劇はちゃんと盛り上がるのだが、そこに至る無駄なエロシーンが多すぎて、どうも作品がチープになってしまっている。何でそこで欲情する?なぜにこんな場面でいきなりエロ事を致す?…と、首をひねりたくなる箇所が頻繁に訪れるのだ。サービスのつもりかもしれないが、逆効果だ。そのせいで、ラストも随分とあっさりし過ぎに思え、全体的に物足りない感が大きく残った。半額じゃなかったら、怒りもひとしお!
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▼あらすじ
19世紀、自殺を決意した元軍人の貴族・アランは街で拾った男娼と一夜を過ごす。
生意気でよく喋るその男・ジェムと過ごすうち、アランは自分の変化を感じていた。
ジェムを屋敷に住まわせるようになったある日、アランはかつての部下の娘が、ある危険な男の庇護の下で暮らしていることを知る。
ジェムに励まされたアランは彼とともに少女を救出にむかうが──。
深い愛情と勇気溢れる、ヒストリカルM/Mロマンス!
***
モノクローム・ロマンスの本を読むのは『フェア・ゲーム』『わが愛しのホームズ』に続いてこれで三冊目なんですが、相変わらず辞書のようなどっしりとした見た目と凄まじいページ量で、大変読み応えのある一冊でした。
海外のBL小説なので、感情の起伏の激しさや、下半身が正直過ぎるところなど、引っ掛かる部分も多少ありはしたのですが、だからと言ってそれがマイナス要素になるような事もなく、読み終わった後はただただ幸せな気持ちで心が満たされました。
戦場で心身共に深い傷を負い、人生に絶望したアランは自殺を決意し、最後の夜の相手にジェムという男娼を拾った事で人生が変わります。
望む物は何でも手に入る恵まれた立場でありながら人生に絶望するアランと、何も持たない底辺の暮らしを送りながらも明るく、希望の塊のようなジェム。
身分や立場、住んでいる世界…何もかも違う二人が、身体の関係から始まり、それから少しずつお互いを信頼し合って心を通わせていく様子が両視点からしっかりと丁寧に描かれている為、読者を十分納得させる事の出来る、大変説得力のあるストーリーに仕上がっていると思います。
特にジェムはとても魅力的なキャラクターで、読んでいる内に愛着が沸いて来ること間違い無しです。
男娼なので欲望には忠実だけど、女々しさなどはまるでなく、寧ろ男らしくて誰にでも好かれるキャラクターだと思います。
それにジェムはとにかくお喋りで、気難しいアランを笑わせるべく、作中で度々下品な小話を会話に挟むんですが、アランの反応を見た時の彼の心情が可愛くて読んでいて楽しかったです。
そんなジェムがシバースに捕われ、身体の一部を切断されそうになった辺りは物凄くハラハラしてしまい、早く早くと助けを願いながら読みました。
正直、アランがシバースを殺してしまうとは思ってなかったのでこの結末には多少驚きましたが…まぁ、殺されて当然の事をしてますし、戦争経験者であるアランからしたら、今更自分の手が新たな血で染まったところで…ってところなんでしょうね。
でもやっぱり、殺人まではいかないで欲しかったなぁ…。
でもその後、ジェムがアランに誓いを立てるシーンや、熱を出して具合が悪そうなジェムを少しでも苦痛から解放するべくアランが小話を披露するシーンなど思わずほろっと来るような展開が幾つかあり、ラストは嵐が去った後の空模様のようにとても明るく爽やかで、読み終わった後にほっこりとした幸せな余韻が残りました。
因みに最後にリバがあるのですが、ジェムが挑発的な言葉で煽っても、絶対に汚い言葉を使わないアランに笑いました。貴族ですもんね(笑)
そんな感じで、読み終わってしまうのが惜しいと感じるくらい面白い作品でした。
「めちゃくちゃ愛してる。サー・アラン・ワトレー」
ジェムがアランに放ったこの台詞が心に凄く響いていて、暫くこの作品の事が頭から離れそうにありません。いつかまた読み返すかも。
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historical romance, m/m
ソドミー法が現役で同性愛は禁忌の時代の英国。
場末の男娼ジェムを買った戦場帰りの貴族アラン。金で買った一夜の関係のはずだったが、ふたりの間にはすでに恋が。ジェムを離したくないアランはかれを雇うという手段に出、主従関係になるが…。
19世紀ロンドン、身分差、m/mと聞いて期待する通りの面白さ。ふたりの恋愛模様と事件が同時進行するのもよい。舞台とする時代を考えれば当然の内面化されたホモフォビアから解放される過程が、重くなりすぎない程度に適度に書き込まれていて、その流れでリバの必然性があるのも好み。m/mらしい良作。(日本のBLしか触れてない読み手にむいてるかはわからない)
ただ正直翻訳が好みでなかった。全体的に原文が透けてみえるような直訳調の語選びで、昔の翻訳小説のよう。文芸翻訳、特にエンタメ小説の翻訳なら、もうすこし日本語の小説の文章によせるのが近年のスタンダードではないかな。
原書で読み直すつもり。