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あなたの会社が理不尽な理由 清水勝彦著 多分野の本から知る経営学
2016/7/3付日本経済新聞 朝刊
慶大教授が書いた経営学の入門書。といっても体系立てて書かれた学術書ではなく、「石橋を叩(たた)けば渡れない」「攻撃は最大の防御」「何億円もの失敗よりタクシー代にうるさい理由」といったとっつきやすくて身近なテーマ、名言や名著を入り口に、その深層を分析・解明する。
本書には経営学だけでなく、他の分野の著作が数多く登場する。まえがきにもあるが、この本には著者の経験に基づく読書論集という側面もある。ウェブ上の連載をまとめたもので、どの章からでも読み始められる構成なので、週末にリラックスして経営学に触れたい人に向いている。
心理学者の河合隼雄、技術者の西堀榮三郎、人類学者の中根千枝、野球の野村克也らの本を、経営学の視点で読み解くくだりが面白い。例えば中根の著作では最も知られる『タテ社会の人間関係』(1967年)ではなく、その姉妹編と位置づけられる『適応の条件』(72年)を取り上げ、中根が日本のガラパゴス体質を40年以上も前に喝破していたことを指摘する。
野村の著作からは、相手に気づかせるヒントを与えるコミュニケーション力や、失敗から学ぶことの大切さを論じる。過去の成功体験から抜け出せない日本企業のジレンマについて書かれた本のようにも感じられる。(日経BP社・1800円)
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米国で活躍していたファカルティとしての経営理論に対する解説が豊富で有用。ただし、コンテンツを捉えたタイトルにはなっていない。出版社のタイトルの付け方の問題だと思うが、これさえ無ければ★5つ。
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今までにないアイデアはそもそも市場がない可能性がある
今後の成長産業と思われる分野はレッドオーシャン
競争相手が多いということは、圧倒的な勝者がいないということ。
外国語を話すのにネイティヴを真似てはいけない。東京の人が無理に京都弁を喋るような不自然さが残る
強みを活かす、と強みを伸ばす、は違う
弱みは最低限でも合格点でなければならない
長嶋一茂の守備、鎖は一番弱いところで切れる
守っていると長く感じる
事業計画は作らなくてもいい
不確実性とはリスクの確率計算すらできないこと
利益の源泉は不確実性
カンペな事業計画は作れない=リーンスタートアップ
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MBAは役に立ちますか、といった質問はおかしい。どういうときに、だれにとって、といった目的があってこその質問。
科学で耳にする最も胸躍る言葉は、「私は発見した」ではなく「へんだぞ」なのだそう。
・とにかく働くことに集中すべき。スタートアップでは24時間働くしかない。
・「あったらいいな」の商品化はまず成功しない。「それがなくては絶対困る」レベルにまで落とし込むべき。
・統計をとるときも、きちんととるべき。顧客に満足度を聞く時も、どの程度の顧客に聞いたか。そもそも顧客に聞くことか、を問うべき。
・因果関係を証明するには①AがBより前に起きていること、②AとBに相関関係があること、③A以外にBに影響するものがないこと。
・因果関係の誤解として、因果が逆であること、AとBが互いに影響していること、AもBも第三の変数の影響であること、単なる偶然、AはBの直接の原因ではなく、A→C→Bという流れ。
・組織は仲良しクラブではない。個性が異なる物同士が目的を同じくして集まる。
・いかなる対人関係においても自然に振る舞う。
・部下を褒めることも大切だが、部下をいつも見守っていることを知らせるほうが効果的。
・強みを伸ばすことと強みを活かすことは違う。
・疲れたと感じたら、鏡に立って、自分が守りに入っていないか吟味するとガッツが出るというのが野村監督の言葉。
・上司にたてつく唯一の方法は、上司が絶対の確信ではなく「なんとなく」正しいと思っている前提を識別し、そこを覆すこと。
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経営学者の方の本。
経営の視点に関する、本や論文を紹介。
データ・前提条件へのバイアス。
リーダーシップ。教育。教えると育てる。
組織は不合理。interesting。 経営とジレンマ。
意思決定のスピード。リーンスタートアップ。
失敗の推奨。ポジティブとネガティヴ。
仕事のとか企業、事業って面白いなーっと
思います。
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慶應大学大学院教授の著者が書籍と論文についての自身の見解や視点を述べた一冊。
8冊の書籍と12個の論文について著者の専門とする経営学の見地からの考察は刺激を受けるものが多く、現代の経営について深く考えさせられるものや原点に立ち返ることも多いと感じました。
書籍編での考察を論文編で更に深掘りしているものもあり、その対比も読んでいて感じることが出来ました。
「リーダーシップは自分の中にしかない」やリーダーの仕事とは、そもそも「反対意見を押し切って決める」ことや「できる人」というのは「基本を決してはずさない人」や経営戦略で大切なのは、どれだけ共有できているかなどはその中でも非常に刺激を受けました。
本書はリーダーとしての振る舞いや経営とは何かや日本がグローバル社会でどう戦っていくのかということを経営学の深い見地からの知ることのできる貴重な一冊だと感じました。
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タイトルにひかれ、手に取ってみる方もいると思うが、タイトルに近いアプローチで書かれているのは最初の1章位で、ほとんどは、経営学の教授が様々な企業と対峙してきたり学会で得てきて知見を披露している書です。
リーダーシップ、経営層に対しての意見が多いですが、一組織人としても読みがいがあります。
本の中で繰り返し出てくるのですが、
・過去の分析から企画作りばかりやっても、不確かな世の中ではうまくいかないことの方が多い。実際に動いてみることの大切さ
・コミュニケーションの重要さ。いかに社員全員が経営者目線で考えるか
の重要性。MBAともなると、分析や数値に重きを置いてそうですが、逆にソフトの重要性を繰り返し説いていることが印象的。
また、本の中に、著者が感銘を受けた本、実際に現在の企業と当てはめて論じてもいますので、その本を今度読んでみようと思う副産物があるのも良いです。
個人的なメモ
・負け方の極意、そなえ(野村克也著)
一つの技術がすごいからそれさえ磨けば必ず勝てるというものではない。他は並みでも強みを活かすために、最低限出来なくてはならないレベルがある。
・その努力は正しいか?正しい努力を何回したか?
セクショナリズムはあって当然。組織があって部門があり、その責任を果たそうとする以上。セクショナリズムを解決するには、「とことん対立し、意見を出し合う」しかない。
社員に浸透しなければ意味なし
→社員を信じる。
社員を導くポイント
社内に危機感を醸成する
社内の全ての階層で競争相手に対する意識を持たせる
社員にパフォーマンスを高めるためのスキルを教育する
社員が一つのチャレンジを消化してから次のチャレンジを与える
常に考えている
1.もしあなたの会社がなくなったら誰が困るか?WHY?(会社を私に置き換えると良いと思う)
2.1番困る顧客は誰か?WHY?
3.どれくらいの時間で代わりとなる会社が現れるか?
自分が話したことを通じて周りが気づき、やってみようと思ったか?
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慶應ビジネススクールの清水先生によるある種の「経営(学)談義」。世界の著名な経営学者や経営者による著書や論文の中から、実際の会社経営の本質や矛盾、違和感、不思議を紐解く内容になっていて、内容は比較的専門的だと思うが楽しく読める。取り扱われているテーマは、人材教育、グローバル化、リーダーシップ、取締役、組織的コミュニケーションなど20個。タイトルにある通り、合理的であるはずの会社経営に理不尽なことが多いのはなぜか、それをわかっていながら正せないのはなぜかなど、膝を打つものばかり。「何億円の失敗よりタクシー代にうるさい」「なぜ愛は急速に失われる?」などなど。これを苦笑いで終わらせるのではなく、自分の行動にも生かしたい。
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●社員に危機感を伝えるためには。
「船をつくるなら、材木の切り方や鉋のかけ方を教える前に、海への情熱を伝えよ」
自分がこの会社をどうしたいか、自分がやりがいを持って充実した仕事をしている姿をイメージできるか、経営者が社員と将来像を共有できているかどうか、問題の本質はそんなところにある。
●新規事業のアイデア
あったらいいなとなくてもいいなは紙一重。
あったら便利だろうと思えるようなサービスはあまり成功しない。
ゴールドラッシュで儲けた人は金鉱掘りではなく、ツルハシ商人。
●リーダーシップ
任せると放任は違う。
任せたから勝手にやれではなく、陰ながら見守る態度がリーダーに必要。
放任は罪悪。
リーダーは自然体(増田弥生)
KBS 組織マネジメント 中間テスト
「自分の勝ちは何か」を自らに問いかけることが大事。
起業家が必ず聞かれるのが、市場があるのかではなく、なぜ君たちでなくてはならないのかという指摘。
ファシリテーターの役割は会議を仕切ることではなく、参加者全てが会議の結論について自分たちが出した結論だと納得し自らその結論にコミットできるような会議にすること。会議において、なるべく自分自身の姿が見えないほうがいい。影が薄ければ薄いほど成功だと思っている。
本質的な質問をするときは、相手と対峙して詰め寄るように効くのではなく、できれば横に並んで同じ柄を見ているような感じで質問する。私達を守護にして、自分たちに対する質問に一緒に応えるような姿勢になれる。
リーダーシップは自分の中にしか無い。
「思い」から一歩進めて、小さくても「行動」にすることが必要。
●クリエイティブ人事
サイバーエージェントの人事制度
制度は細かく作り込んではだめ。
しっかりした軸は必要だが、制度自体はなるべく軽めに作り、現場が運用しやすいようにしたほうがいい。
運用しやすい制度は社内に浸透する。逆にいくらよくできた制度でも現場でうまく運用されなければ長続きしない。
制度は計画2割、運用8割。(サイバーエージェント人事本部長)
結局、さじ加減はやってみて初めてできるという当たり前のことが大事。
新しいことをやろうとするときにはいくらでも問題を指摘することができるし、やらない決断をするのは簡単。
しかし、それでは決してさじ加減をすることはできないし、その難しさを経験することも出来ない。
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意外と読みやすく、面白い 楠木建氏の読書日記を連想させる 本書は論文も対象だが
「日本型成果主義」に厳しい評価 これは全く同感 →「仕事の金銭化」(77)
わくわく感も、誇りも、喪失してしまった。
成果主義の前提として。ビジョンや理念を構築しておくべきだった。
高度成長の最期にバブルのあだ花が「拝金主義」をもたらした
そしてその後のグローバル時代が「成果主義」を理念無しに広まってしまった。
強い組織 失敗を公表・共有する組織は強い(336)
ミスを報告しても大丈夫という文化・風土
→失敗から学び、形式知化し、共有する 学習する組織
日本の企業の多くはミスを恐れ・回避する・隠蔽する
これが不健康な企業体質になっている
「コロナウィルスの検査数が少ないのも同じ」2020/04/30
見せかけをする組織 Window Dressing
グローバル化・ダイバーシティ 1人2人の取締役・部長を作る
本質・実態は変わらない
ガバナンスの本質は「リスクテイク」
取締役会のテーマも、「どのように安全に経営するか」ではなく、
「どのようにして企業価値を高めるか=どのようなリスクを取るべきか」
チャンスを掴むこと 法令遵守
アメリカで「弁護士」が社外取締役になっているケースは皆無
経営戦略で大事なのは、「精緻な計画」ではなく、「どれだけ共有されているか」
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会社に限らず、何らかの組織にかかわると必ずといっていいほど出会う「なんでこうなの?」という疑問の数々。
それらに対して、様々な書物や論文と著者の経験を交えて、論点を提示してくれる一冊。
各トピックに対して、読者が自分で考え行動するための素材やその探し場所を紹介する構成になっている。
自己啓発本などのように“答え”を教えてくれるわけではないため、それを期待して読むことはおすすめしない。
自分の関わる組織の課題に関して着想を得たり、そのためのレファレンス集として使ったりするのに有用と思われる。
なお、すでにこの世にある論点の紹介となるため、それらを知っているor気づいている人にとっては、気づきを得るというより自分の考え方を補強するものとなるだろう。
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経営学の名著(書籍と論文)の内容を紹介して、解説している
わかりやすいし、あまり類書がないので、役に立つ。
328ページまで読んだ
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全て学説をベースにしているが、選択や解釈は筆者の個人的な思いが出ている。
勇気は自信に先行する、は秀逸なコメント。
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サラリーマンが遭遇する理不尽と思える事柄について「理由」を説明している。
その理由にはもっともなものもあれば、人間の性質としてつい陥ってしまいがちなものもあり、後者の失敗を避けつつ前者を経営理論として学びましょうという本。