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親の有難みや大切さを感じることはとても素晴らしいことだけど、それが呪いとなって縛られてしまう子もいるのだと知ってほしい。
夏の、新しい出会いが人生の宝物に変わる。
少しでも心にしこりがある子は、この本を読むことで選択肢が拡がるかもしれないと、そうであったらいいなと願う。
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市川朔久子、四作目。
二作目、三作目はいまいちだったけど、これは一作目の次くらい良かった。
読みやすさは相変わらずで、すらすら読めて、虐待や摂食障害という重いモチーフも、読者の心を抉り過ぎないように書かれている。後味爽やか。
まあ、ちょっといい話にまとめ過ぎという気もするけど、小学高学年から中学生が対象だろうから、これでいいのかも。
実際には、主人公はまだ中学三年生なんだから、親元を離れるまで時間があるし、こういう父親だと、母親が娘に依存してさらに状況悪化となりそうだけど。
そこまでリアルにはしない。
物語の運び方、表現は上手く、日本のYA作家としては、かなりいいと認めざるを得ない。個人的には好きではないが、親も教師も安心して薦められる作家だと思う。
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拍子の羊毛フェルト(?)の小やぎちゃんがかわいいのでほんわか系かと思いきや、重たかった。
でもよかった。
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同業者が何人か「良かった」と言っていて読み始めた。
表紙のイラストの可愛さに反して、テーマは重たい。
夏芽は言葉で父に支配され、そのことに反感を持ち、そんな自分が汚らわしいと自分を責める。
雷太は父に暴力を振るわれ、バカと言われ、自分はダメな子と思っている。
そんな二人がお寺で出会う。
夏芽は親から逃げるように参加したサマーキャンプ。
雷太は母親から突然預けられ。
しかし、傷ついた二人に対し、お寺の人たちは穏やかで優しかった。
ひょんなことから飼うことになった3匹のヤギとその世話役の葉介も加わったお寺の夏。
夏芽はだんだん摂食障害の症状も収まり、雷太は子どもらしく伸び伸び過ごすように。
しかし、そう簡単には二人の傷は治らない。
仕事を弟子に任せて遊び歩いている一見どうしようもない住職が、夏芽に言う言葉
「親子は、ただの縁。それ以上でも、それ以下でもない」
親子関係がうまくいかない人達には、この言葉に救われるだろうなと思った。
夏芽には友達がいる、逃げられる場所がある、待っていてくれる人がいる。
それだけで、自立するまで力強く生きていけるのではないだろうか。
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お嬢様学校白桐に通っている夏芽は、父親の横暴から逃れるためお寺で行われているサマースティに申し込んだ。行ってみるとなんと参加者は夏芽一人だった。
そこへ母親に置き去りにされた5才の雷太と、お寺の草刈りの助っ人、3匹の山羊をつれた高校生の葉介が加わる。
お寺の手伝いをしながら規則正しい生活をし、幼い子の相手をすることによって夏芽は自分の問題を整理し、初めて他人に相談することができるようになる。
山羊が帰り、夏休みが終わり、力強い味方を得て夏芽は自分の生活に戻ってゆく。
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中学3年生の夏芽は、ケガの療養のために自宅にいる高圧的な父から逃げるために、山寺のサマーステイに参加することにした。そこには、ちょっと変わった(不真面目な?)住職と、その孫娘、修行中の若い僧侶がいたが、参加者は彼女一人だけだった。最初の晩、彼女は自分の布団の中に眠る子どもを発見する。それは、母親からここに隠れているように言われた5歳の男の子だった。彼らの奇妙な同居生活(サマーステイ?)が始まる。
話が進むにつれ、かわいいタイトルと表紙の写真からは想像もできない重い話が広がる。その重さが、田舎の美しい光景と人々のやさしさに晒され、癒されていく。
ユーモアを挿み込みながら心の痛みと向き合うところが市川朔久子らしい。
虐待されていた子どもが新しい環境にすぐに馴染んでしまったり、思春期の少女が、ただただ真面目に自分の罪と向き合ったり、……う~ん、ちょっとそれはあまり現実的じゃないでしょうと思われる点も散見しましたが、それでも、前を向いていきたい若者たちのエネルギーで読ませてしまいます。
難易度は高学年ですが、内容を考えると中学生で良いと思います。
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もう50歳手前のいい大人ですが、ずっと私も母を心から愛せないことに罪悪感を感じていた。宗教が、親を敬えとあまりに言うので、本当に辛かった。
でも、こんな風にいい子でいられる場所は、きっと誰にもどこかにあるはずだから、諦めないで生きて少年少女!
父親を死ねばいいのにと思ってしまった事に罪悪感を感じながら、家に居たくなくて、サマーキャンプを探すなつめ。交通事故で入院していた父が間もなく退院だと聞いただけで、友人と楽しく食べたたい焼きが、せり上がってくる…吐かないと。。
なつめが選んだのは、田舎の、お寺でのサマープログラム。料金が安く、家から遠かった。。
サマープログラムの参加者はなつめ一人きりだった。でも、その後お母さんに置いていかれた4歳の男の子、雷太も一緒に過ごす事になり、この雷太と、お寺の大人たちと、寺の芝刈りのためなやってきたヤギたち、ヤギの面倒をみている葉介もサマーステイにくわわり、雷太を父親から守る事で、なつめも少しずつ自分を取り戻していく…
お寺の大人たちの事情、住職の人間臭さ。なつめ達のお世話をしてくれる美鈴、お坊さんらしき人、穂村さん。彼らの暖かさが本当に素敵。子どもは親を選んで生まれてこれない…そう認めてくれることに救われる。そこはなつめの居場所だった…
ヤギたちは、自然の象徴だったのか、ストーリーテラーだったのか。
子どもたちに胸を張って勧めたい、心に届く物語だった。
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ひと夏の青春?
夏芽ちゃんがこのお話のあと良い方へ向かうといいな、と思いました。
きっと支えてくれる人、助けてくれる人がいることに気付けたから大丈夫かな、と暖かい気持ちになりました。
親にひどい扱いを受けてても
親との関係はただの縁であり、
必ずしも愛情があるとは限らないから
嫌いになってもいいし、と思えると
少しは楽になるのかな、と。
素敵なサマーステイでした( ´∀`)
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家庭が安住の場所ではない、または学校も同じく、というような設定の話ばかりの昨今である。
この話も私立の女子校に通う一見恵まれた環境にいるように見える主人公が、実は苦しい心を抱えて生活している、という設定だ。
そんな状況から抜け出したくてお寺のサマーキャンプに参加。参加者は自分だけだが、お寺を取り巻く人々と生活にやっと普通に息をする感覚を取り戻す…。
主人公と同年代の子ども達にとって、この手の本はどうなのだろうか?といつも思ってしまう。主人公の成長を描いていて、心を打たれるのだが、当事者世代には見たくない現実を再び見せられる感じがしないだろうか?だから思い切りフィクションのラノベに流れてしまうのだろうか?とかついつい考えてしまう、感想からは逸脱しているが…。
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夏芽は中高一貫校に通う中学3年生。両親との関係に悩む夏芽が夏休みを利用した山寺でのサマーステイに参加した。でも参加者は夏芽1人だけだった。田舎の山寺で貴重な体験をし、人の良心に触れ壊れかけた心と身体を回復していく。扱っている内容は重いが、住職タケじいの言葉に勇気と希望をもらえる物語。
タイトル・表紙が抜群に可愛くインパクト大。そでに記された優しさ溢れる文。エピグラフには幼い日に読んだ「がらがらどん」夏休みの物語だとわかる章題が並ぶもくじ。市川朔子さんは一昨年の読書感想文課題図書「ABC!曙第二中学校放送部」の著者。中学生にはお馴染の作家。夏休みにぴったりの一冊。
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地元では人気の中高一貫の女子校の中3の万木夏芽(まきなつめ)は、夏休みを由緒ある静かなお山寺でサマースティに参加することに。しかし、行ってみたら参加者はたったの一人。お寺には住職と見習いの穂村さん、住職の孫の美鈴さんがいた。そこに、DVの父親から逃れてきた母親が、勝手に置いて(預けて)いった5歳の雷太も加わって過ごすことに。
やがて寺の草刈りのヤギ3匹と夏休み中ヤギの管理をすることになっている高校生の葉介も加わった。
夏芽の生活に不穏な空気を抱きながら読み進めていくと、夏芽がサマースティに参加したわけが、どんどん明かされ納得と同時に辛くなる。そして、夏芽が暖かい人たちに囲まれて、辛い思いをしてきた雷太を愛おしむことで、自分を肯定していく。
ヒドイ親を否定する自分を良くないと思う子どもがいる。いじめられても自分が悪いからだと考えてしまう人がいる。
悪い人に関わると自分が分からなくなってしまう事がある。生きていくには、自分を信じて生きて行くことが必要だ。
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予想外に良かった。
毒親という存在は想像するしかないのだけど、その子どもが抱える苦しみは、本当に並大抵ではないのだと辛かった。
夏芽の問題が、周りの人との関係の中で、少しずつ明かされていく展開が、上手い。特に、少年二人と老僧が導き手になるというのは、なんとも私のツボだった。
そして、大人だって問題を抱えているという説得力。
最後には、問題が明白になり、希望がもたらされる。心打たれるしかない。
小学校で飼っていた山羊のメーちゃんを懐かしく想った。
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まず表紙がとても可愛い。そしていわゆるYA(ヤングアダルト)の本なのでとても読みやすいです。すんなり読めるので軽い読み物と思いがちですが、こういう児童文学寄りの本には傑作が多数含まれています。むしろ名作の宝庫と言っても過言ではありません。
で、この本は父親からモラハラを受けている女子中学生が、山寺のサマースクールでひと夏を過ごす話です。
一見爽やかで優しさに溢れている気分のいい本なのですが、ちりばめられたモラハラ、DV、ネグレクトがちくりちくりと胸を刺します。当然YAなので直接的な描写は無いです。基本希望にあふれているのですが一緒に夏を過ごす5歳の放置子の存在も切なく、夏が終わった時に皆離れてしまう寂しさに、子供の頃の夏休みの切なさを重ね合わせてしまいます。
この方、直接的な下品な泣かせをしないで涙腺を刺激するの上手いです。紙コップのオリオンも淡々としながらちょっとうるりとさせられましたから。
この方、青少年枠から飛び出した、森絵都さんや、あさのあつこさんのようになれる可能性が有るような気がします。
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夏休みの読書感想文にどうですか?シリーズ
夏芽は、暴君のように振る舞う父に、心も身体も壊されてしまうような恐怖を感じていました。中学3年の夏休み、夏芽が家族から逃げるように選んだのは「サマーステイ」と名付けられた山寺での暮らしでした。特別なプログラムは何もない毎日でしたが、そこには人は誰もが「宝」であると信じられる優しい時間が流れていました。
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父が交通事故に遭い家庭での療養生活をおくることになった夏。
夏芽は、サマーキャンプに申し込み、一夏お寺で過ごすことにした。
小さなヤギはほうり出され、中くらいのヤギは家から逃げ出し、大きいヤギは失ったものが大きすぎたのかな
いたいのいたいのとんでけーの場面が好き。
中くらいのヤギは、冠をもらったからきっとだいじょうぶだ。
何年か前の職場に毎秋一カ月間ヤギが庭に放し飼いになってた。
小説と同じく、女の子は機嫌を損ねるようなことをしなければ愛想がよかった。ずっとモグモグしてたけど。
が、一度気性の荒い男子が来たことがあって、体を洗わせてくれないから、やはり匂いがすごかったのを思いぢした。