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村上春樹の作品で最初に読んだのが「1973年のピンボール」だった。
タイトルのピンボールという言葉に引かれて手にした一冊であった。
当時の感想というか、読後の印象は不思議な空気を感じた気がしたぐらいであった。
基本的には決別がテーマの話である。
最初に読んだときの俺の年齢は18歳か19歳だったはずである。
年齢的な問題もあったし、自分自身の性格もあったのだろうが熟読はしておらず、表面をなぞっただけである。
だから漠然とした印象が残っただけであった。
数年前に一度読み返したが、この時もそれほど熟読せずに1973年頃の時代の匂いを微かに思い出した程度である。
というのも1973年という年代は僕はまだ11歳の時の時代であり、若干リアリティに欠けていたのだと思う。
しかし、今になると時代の空気とのギャップは埋まりきらないものの、その他の事に関してはリアリティがマッチする部分も多い。
その辺のことは後に記するとして、今回読み直してみて感じた事はまず時代背景である。
実にアナログな印象を受けたのである。
70年代の後半から世の中はデジタルな文化に突入するのである。
この小説の中で、アナログな印象を与えるものは多々有る。
タイプライター、配電盤、レコード、灯台、フォルクスワーゲン、鉛筆といったものを筆頭に、極めつけがピンボールマシーンなのである。
タイプライター、配電盤、レコード、灯台はまさしくデジタルな機器にその座を奪われ過去の遺物である。
フォルクスワーゲン、鉛筆は丸い印象があり、デジタルの角張った感じとは対照的である。
そして、ピンボールマシーンは実にアナログなゲーム機である。
もちろん80年代にもピンボールマシーンはあったが、その機械が醸し出すものが違った。
そのような古き良きアナログ時代の印象が強い。
次に時間の流れ方が今とは違うゆっくりとしたものである。
東京という比較的に時間の流れが速く感じる街が舞台の大半を占めるにも関わらずに時間に余裕を感じる。
この二点を楽しむだけでも充分に読み応えがある小説である。
さて、この小説のテーマは決別ではなかろうか。
死んでしまった彼女である直子への思いがどこかに引っかかっていて、それを断ち切れずにいた僕の思い。
それが、倉庫で再会したピンボールとの会話を通じて自己完結する。
「ハイスコアという美しい思い出を汚したくない」と言ってゲームをせずに立ち去る僕。
立ち去るときはまったく振り返ることもない。
正に踏ん切りがついたのであろう。
この小説はどこか非現実的ではあるが、妙なリアリティもあり引き込まれてしまうのである。
たとえ熟読しなくても、懐かしくほろ苦いアナログな時代に連れていてくれる魅力があるのだ。
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双子との生活というどこのギャルゲーかと思うような設定に驚いたが、萌えもエロも無く一安心。僕と鼠それぞれの視点が書かれているが、鼠サイドの印象がちと弱いように感じられた。ラストの僕とピンボールとの会話(幻聴)は気にいってます。
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「風の歌を聴け」に続く三部作の第二段。相変わらず雰囲気は好きです。文章もカッコいいと思う。ただストーリーが漠然としすぎてた気が。村上春樹っぽいっちゃあぽいのかもしんないけど。まあ俺の友達には、かなりおもしろかったって人と、全然おもしろくなかったって人がいました。やっぱ人それぞれやね。今回も冒頭の、「見知らぬ土地の話を聞くのが病的に好きだった。」ってのはかっけーと思います。
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読んでて一番落ち着く村上作品。
ねずみと僕の二人の青春の彷徨。
ゆっくり歩けたっぷり水を飲め、どんな髭剃りにも哲学はあるのだ。
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初期三部作第二部。どこへもたどり着かないところがとにかく良い、70年代の雰囲気も素晴らしい。
ピンボールに関する記述も秀逸。
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非常にソリッドで良質なつくりの中編小説。
この本に出てくるジェイズ・バーのくだりになるとどうしても行きたくなっちゃう(存在なんかしないのに)。
それと、双子の208と209はいったいどんな女の子なんだろう?
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「風の歌を聴け」に続く「鼠三部作」の第二弾。
「僕」と「鼠」がそれぞれの場所で体験する、奇妙な出会いと別れの物語。
二人の主人公の人生は、悲しみと不安の匂いを漂わせながら「羊をめぐる冒険」へと加速していく。
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「風の歌を聴け」よりは読みやすかった。
ピンボールを追いかける所とか、ドキドキした。この主人公好きやなぁ。
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とても短い作品だけど、ひじょ〜に味わい深く読める。
鼠のパートがいちいちしみる。かっこよすぎるハードボイルド。
とてもいい本。
「風の音だけがあたりを被う、たいしたことじゃない。ひとつの季節が死んだだけだ。」
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1作目よりも面白かった!!!
双子の女の子の登場も不思議だけど新鮮だし、
ピンボールについては詳しい話が載っていて私もピンボールがやってみたくなりました。
突然なくなった3フリッパーのスペースシップに出会えるまで気になったし、最後は少し悲しくなりました。。。
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『風の歌…』につづき、再読して拍子抜け。あれえ? これ春樹作品の中でもかなり好きな作品だったはずなのに。好きな場面はいっぱいある。たとえば双子と一緒に、配電盤のお葬式のため、貯水池に行くところ。魔法瓶に入れたコーヒー飲んでクッキー食べるところ。あと、これまた双子とゴルフコースで夕暮れを眺めてるとき、ふいにピンボールが「僕」の心をとらえるところ。双子はパフィーみたい、って思ってたことを思い出した。Tシャツ着てるとことか。
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双子がでて、ゴルフボールがでて、配電盤がでて、3フリップのスターシップが出てくる話。
なんかかっこいいけど、現実にはそぐわない。悲しいことにね。
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村上春樹さんの作品にしては内容が地味な印象を受けますが、登場人物や事物が魅力的で、作品全体の雰囲気が素晴らしいです。
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三部作の第二弾。読解力がないのかよくわからんようになってきている…。むずかしいことを考えず楽に読めばいいのかな…
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初めて読んだ、村上春樹の作品がしっくりこなかったこともあってずっと敬遠してたんだけれど、
たまたま読んだこの話が今の自分にとても必要なもので、似通ったものを感じて、このタイミングで出会えたことに感動しています。何度も読み返すと思う。