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ずっと「読みたいな」と思っていた本だったのに、いつの間にか忘れてしまっていた。偶然書店で出会って速攻で購入。
自閉症の子どもを持つご両親にとって、そして自閉症の人にとって、これほど尊厳を取り戻させてくれる本なんてないんじゃなかろうか。
とにかく、当時13歳の少年がこれを書いたということを知り、まあびっくり。
「自閉症かどうかなんて関係ないな」と心から思えた。
それにしても人間の心って、体とは別のところにあるんだねえ。
感覚的には分かっていることが理路整然と書かれていて、本当に素敵な読書体験だった。
単行本は敷居が高くても、文庫本ならこりゃ手に取りやすい。
自分以外の誰かのためにも、絶対に絶版になってほしくない本です。
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著者が13歳の時に書かれた本だという。ちゃんと診断を受けたわけではないが、私は、自閉症スペクトラムだと感じている。この本の東田さんの思いに近い感情に気づかせられながら読了。短編小説『側にいるから』も素敵なお話だと思った!続編もあるようなので、そちらも読んでみようと思う。
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どうして目を見て話さないのか、夏の気分でいること、回転するものの魅力など、本人からの率直で素直な言葉の数々に驚かされ、そうなのかとこちらも素直に思う。
自閉症は文明の支配を受けずに自然のまま生まれてきた人、という言葉にあー、となった。素敵だ。
短編小説のあとがきというか目論見に衝撃を受けた。
「自分の当たり前は普通の人の当たり前に置き換えるときっとこういう気持ち」というのがすごくわかりやすく、的確に表現されていた。感動…。
彼だからこそ書ける、彼にしか書けない文章たち。自閉症語(?)の名翻訳家だなと思った。
筆をとってくれて本当にありがとう。
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これじゃいかんと思っても、色眼鏡で見ている自分がいます。内面を理解する一歩として読みました。
良いか悪いかは別として、障害を持った人を「個性」とフラットに言える友達に出会って、こいつすげぇ奴だな。と思いました。
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自閉症の作者が書いた本では圧倒的に有名な作品。
読んでみようとおもいつつも、いままで読めなかったのは、この作者がどうしてこうも完璧に文字を打ち込めるか、そこにとても疑問があったからです。
もちろん親と本人のたゆまぬ努力があったことは想像にかたくないので、同じ状況に自分が行きつけるとは到底思えないのですが、彼の言葉によって理解できるものは圧倒的に増えると思える本でした。
自閉症の人の本当の気持ちを本人が人に伝えている例は少ないのです。
それなのに自閉症の人の本当の気持ちを理解できる人も少ないです。自閉症児の親ですら、否親だからこそ、子供の気持ちが分からず混乱してしまいます。
それなのに周りは本人にもその親にもどうして?と問いただしてきます。しかも結構強い口調で。
全員に当てはまることではないですが、そういう感覚なのかと理解することは、文化の違う人間同士にも当然必要なことですから、この本は有用だと思いました。
質問形式で答えてあり、中にはどうしようもないんだなという答えもありますが、量もほどほどなので読みやすいと思います。
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著者が13歳のときに筆談で書いた作品。当事者の視点から「自閉症」の人がどうしてそうふるまうのか、周囲の声や対応にどう感じているのか、などを問答形式で説明している。「光とともに…」などで多少の知識はあったが、やはり個人差もあるし、当事者の言葉というのはかげがえのないもので、真摯に受け止めたいと思った。一見したところ聞こえるし話せるから、ロックトインなどであきらかにコミュニケーションができないケースよりかえって厄介なのだなと思った。
こちらからとくにおすすめしたわけじゃないのに、中学生の長女、小6の次女も手にとって読んでくれたのがよかった。
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自閉症の本人が自分の言葉で思うこと感じることを綴った内容は、其処此処に共感できる所があった。
大人でさえ少なくとも100人に1〜2人は発達障害の人がいる現実のなか、彼らが何を思い感じているのか、是非、皆に読んでいただきたい。
流行りのダイバーシティって、そういう事からですよね。
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自分は、他人の気持ちをちゃんと想像して寄り添うことができるほうだと、勝手に思っていたけど、そんなの全くのひとりよがりの勝手な自己満足だったと実感した。
全然想像と違ってた。そんなつもりなかったけどやっぱり上から見てた。優しく接してあげよう!みたいな。恥ずかしくなった。
自閉症の方をあんまり聖者のように思うのも違うだろうし失礼なんだろうけど、最後に書いてたように、殺伐とした世の中への救世主と感じる。
読んでよかった。自分自身のためにとても勉強になった。
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うまく声に出して自分の想いを伝えられないもどかしさが伝わってきた。本の中に出てくる、自閉症の人への様々な疑問。彼の答えは、なるほど、と思わせるほど、筋が通っている。自分でも困っていたら、後悔したりしていて、苦しんでいること、私たちに理解と見守り、手助けを求めていることがわかった。今まで持っていた偏見に、ごめんなさいという気持ちになった。
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自閉症の著者による、自分はなぜこんな行動を取るのかを、一問一答形式で書いた本。
言葉は借りてきたような、概念の外側のような、率直ですが、少し言わされてるところがあるのではないかという心配になる言葉。
それでも、この本を書いた当時、著者は13歳で、言葉をを口にすることが難しかった。そのなかで、書き言葉を身につけ、己の心を見つめ、それを文字に示したと考えれば、ものすごい偉業なのだろう。
自閉症と言っても十把一絡げには出来ず、あくまでも、著者の感じたことなのであるが、思うことと逆の言葉が出てしまう、同じ行動を繰り返す裏側に、やわらかな心があることを知ることが出来た。読んでよかった。
また、巻末に大人になった著者のあとがきがあり、その論理的にしっかりとした言葉にほっとした。
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驚きました。本当に自閉症の人が書いているんでしょうか。
この疑問が出ること自体、自閉症に対する偏見を持っていることに他ならないことを思い知らされました。
素晴らしい自己分析を行い、感動を与える短編小説まで掲載されています。
一つ一つの自己分析を通じて、自閉症とそうでは無いひととの境はシームレスであることがわかります。多かれ少なかれ所謂普通の人も自閉症の症状の側面を持っているのでは無いでしょうか。少なくとも私には思い当たる節が多々ありました。
幾つか心打たれる文章がありましたので、引用させていただきます。
”赤ちゃん扱いされるたびに、みじめな気持ちになり、僕たちには永遠に未来は訪れないような気がします。
本当の優しさというのは、相手の自尊心を傷つけないことだと思うのです。”
”僕がずっと困っているのは、目を見ていれば相手の話をちゃんと聞いていると、みんなが思い込んでいることです。
目を見て話すことができるぐらいなら、僕の障害はとっくに治っています。”
”僕たちの1秒は果てしなく長く、僕たちの24時間は一瞬で終わってしまうものなのです。
場面としての時間しか記憶に残らない僕たちには、1秒も24時間も、あまり違いはありません。
いつも次の一瞬、自分が何をしているのか、それが不安なのです。”
”僕たちの見ている光は、月の光のようにやわらかく優しいものです。そのままだと、直線的光が目の中に飛び込んで来るので、あまりに光の粒が見え過ぎて目が痛くなるのです。”
”自分の気持ちとは関係なく、いつも脳は、いろんなことを僕に要求します。僕がそれに従わないのならば、まるで地獄に突き落とされそうな恐怖と、戦わなければならないのです。
生きること自体が、僕たちにとっては戦いなのです。”
”僕は、自閉症とはきっと、文明の支配を受けずに、自然のまま生まれてきた人たちなのだと思うのです。”
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自閉症の子が筆談を覚えたことで自分の心の内を文字にすることが出来ました
外から見えている姿や行動、反応と心の中で考えている事のズレがよくわかります。
そんな風に考えているんだ…と結構衝撃的です。
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なるほどな、と思った。
「理解できない」で終わらしてはいけない、「理解する」ことが大切で、必要なのだ、と。
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色んな人の顔が浮かぶ。目の前に居る一緒に時を過ごす人達寄り添って、想像力をもっともっと膨らませて一緒に過ごすための重要な参考書。
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この本は、奇跡の本だと思う。
目の前で起きていることを直視しただけでは、まったく読み取れないと思う。
ご両親、そして当人の信じる心なのか、なんとかしたいという思いなのか、
どうしたらこのような本へ書き起こすことができるようになったのだろうか。
自閉症の人とコミュニケーションをはかりたいと思うすべての人にとって、
この本は計り知れない道しるべになるのではないだろうか。
(以下抜粋)
○よくは分かりませんが、みんなの記憶は、たぶん線のように続いています。
けれども、僕の記憶は点の集まりで、僕はいつもその点を拾い集めながら、
記憶をたどっているのです。(P.18-19)
○本当の優しさというのは、相手の自尊心を傷つけないことだと思うのです。(P.23)
○そんな僕たちですが、頑張りたい気持ちはみんなと同じなのです。
だめだとあきらめられると、とても悲しいです。(P.57)
○僕たちのように、いつもいつも人に迷惑をかけてばかりで誰の役にも立てない人間が、
どんなに辛くて悲しいのか、みんなは想像できないと思います。(P.58)
○ひと言でいうなら、障害のある無しにかかわらず人は努力をしなければいけないし、
努力の結果幸せになれることが分かったからです。
僕たちは自閉症でいることが普通なので、
普通がどんなものかは本当は分かっていません。
自分を好きになれるのなら、普通でも自閉症でもどちらもでいいのです。(P.60-61)