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みんなのレビュー23件

みんなの評価4.1

評価内訳

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23 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

近くて遠い遺伝の解明

2008/08/21 12:53

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kokusuda - この投稿者のレビュー一覧を見る

遺伝はSFなどに登場するだけでなく、大昔から
よく知られた現象でした。
産まれた子供が親に似ている。
人間から人間が産まれ、馬から馬が産まれる。
親の特性が子供に受け継がれているのです。
しかし、身体的、構造的に似ていることが心理的、知的に
似ていることになるのでしょうか?
それ以前に遺伝や心の本質とは何なのでしょう?
 
著者の安藤氏は行動遺伝学、教育心理学の立場から
知能と遺伝の関係を研究しています。
具体的には一卵性双生児と二卵性双生児の行動や能力を
調べ比較することによって心理や知能に対する遺伝や
環境の影響を調べているのです。
 
生命には個体差があり、特に人間は知能において同一例が
発見されないほど互いが異なっています。
個別に調べても他の例には当てはまりません。
そこで数学(統計)的手法を利用して研究を進めます。
個別では判明しなかった事実が多くのデータを集めることで
見えてくるのです。
 
実際には、この研究分野は数多くの難問を抱えています。
統計学的手法導入の是非、研究結果が人間の価値を決定
してしまうのか?など倫理的問題。
それ以前に知能とは何なのか?
遺伝によって生命の機構がすべて決定されるのか?
これらの問題点や前提が明確にならないまま見切り発車した
研究分野のように感じられます。
 
歴史的には19世紀のダーウィンの進化論から、
ゴールトンの優生学、メンデルの遺伝学や医学、生物学、
最新の行動遺伝学や分子生物学などまで様々な研究分野が
登場してきています。
遺伝がいかに複雑なシステム(仕組み)かが判明すると
同時に数多くの謎も発見されてきたのです。
現在も多くの研究者たちが様々な視点から謎の解明に
挑み続けているのです。
 
本書は私たちの頭の中で遺伝と環境が、どのように
影響を与えているのか?遺伝とは何なのか?
人間の心理、知能とは何なのか?などの一端を
垣間見せてくれています。
科学的な興味を持つSFファンだけでなく、小さな子供を
持つ親や教育関係者などにも読んでほしい本です。
 
SFファンにもメンデルの遺伝三法則くらいは
知っていて欲しいものですが、一歩進んで遺伝が知能に
及ぼす影響についても考えて欲しい気がします。
教育などの環境も大切なんですが、、、。

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紙の本

遺伝観の見直しを迫る意欲作

2000/12/14 09:22

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:三中信宏 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は、新たな「人間行動遺伝学」がもたらした研究成果を踏まえて、社会に広がっている「遺伝観」の見直しを求める。研究の方法そのものは高度に統計学的な技法が要求されるが、本書のスタイルはそれをよく噛み砕いて伝えており、一般向けの啓蒙書として適切なレベルだと私には感じられた。
 知能・性格・心理などの行動形質を量的遺伝学の立場に立って、その遺伝要因と環境要因さらには両者の交互作用の効果を解明するという方法は、進化生物学や応用育種学ではすでに広く適用されてきた。とりわけ、最近の心理測定学では、共分散構造分析(構造方程式モデリング)が複雑な多変量行動形質の統計解析法として広く用いられるようになってきた。
 「心の遺伝」を論じることがともすれば「遺伝決定論」とか「優生主義」というレッテルを貼られてしまうことを十分に意識している著者は、行動遺伝学の基本的な考え方を慎重に議論していく。進化学の祖チャールズ・ダーウィンとそのいとこである優生学の祖フランシス・ゴールトンから説き起こし(序章)、量的形質の遺伝メカニズムとその測定法を説明する前半部(第1〜2章)は、よくまとめられていると思う。
 このあたりまで読み進むと、行動遺伝学の過去の【汚点】−データ捏造や人種差別−に向けられた批判者の全面的攻撃に対して、著者がどのように対面しているかが見えてくるだろう。IQ論争におけるスティーヴン・グールドの主張(たとえば『人間の測りまちがい』河出書房新社を見よ)は反論の典型例である。グールドはスピアマンの一般知能因子(g)や因子分析で構築される因子が「統計学的な artifact」に過ぎないことを理由に、知能遺伝論を反駁するという戦略を取っている。
 著者はグールドのこの戦略は「人間の心理的形質の遺伝の問題をイデオロギー論争の中に位置づけようとする人のとる常套手段」(p.94)であると批判する。しかし、統計学的に構築された因子の reification の危険性はつねにあるわけで、相関係数や因子をあたかも【実在】するかのように述べることがまちがいであるというグールドの指摘は基本的に当たっていると考える。
 むしろ、著者はグールドが攻撃対象としたような心理統計分析の手法はその後新たな方法論によって置き換えられ、あるいは修正され、グールドが批判するような欠点は現在では解決されているのだと述べた方がより説得力をもったのではないかと私は感じた。もちろん、本書のような一般向けの本の中では、統計学的な詳細を議論するスペースはきっとなかったのだろうが。
 第3〜5章にかけては、創発的遺伝(3−4節)や環境概念の再検討(5−1節)などさまざまな実例を通して遺伝と環境との関わりを説明する。「遺伝と環境をお互いに両立しない二律背反のように考える癖」(p.155)をえぐり出すことで、「遺伝観の再考を促す」のが本書のもう一つの大きな目的であることを読者は知るだろう。
 第6章は、著者自身の双生児研究に基づく事例が紹介される。「教育とは人間の遺伝的制約を“乗り越えて”、環境によって人間の可能性を開花させることではないということだ。遺伝的な条件を背負う人間に対して、その遺伝的条件の発現の場を与えているのが教育なのだ」(p.211)という著者の結論は、当然の帰結だと私は感じるが、それでもなお議論の火種となるだろう。最後の第7章では、社会に広まっている「遺伝観」が「貧しく」しかも「硬直している」ことに対し、強い懸念が表明される:「人間の心理的形質に遺伝的影響がある」という命題は、冷静に考えてみれば実に当たり前のことなのである。むしろこの当たり前の命題が、素直に受け入れられていないことの方が問題なのである」(p.217)。この一文は、むしろ本書の冒頭にあるべきだっただろう。

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紙の本

文科系遺伝学の必然性。

2003/06/29 23:15

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「遺伝子は人間の姿やかたちのみならず、一人一人の心のあり方にまで影響を及ぼすのだろうか」。本書は、思わず、考え込んでしまうような命題を考察したものである。作者は、人間行動遺伝学の見地から認知能力とパーソナリティの発達に及ぼす遺伝と環境の影響に関して、双生児研究から追究している。

村上春樹の小説のような話なのだが、かつて、双生児の女の子と短い間だが、つきあっていた。彼女は一卵性双生児の姉の方だったと記憶している。ある夜、彼女の自宅に電話をした。てっきり、彼女だと思って話をはじめたら、妹だった。姉とそっくりな声だった。

作者曰く、一卵性双生児とは遺伝的に全く同じであるということ。生まれてすぐに別々に遠く離れた地で一卵性双生児が何十年かぶりで再会したら、趣味、性格などに「驚くほどの相似性」があったという有名なエピソードが紹介されている。

ぼくたちは「遺伝」なんて言葉を耳にすると、どうも文学的な解釈をしがちで、すごく運命的なものを感じて、ともすると、一生そこから逃れられないなどと嘆く人も存外多いだろう。しかし、作者は従来の「貧しい遺伝決定観」に対して「多要因の全体的な力動という視点が欠落しているのだ」と批判している。

本書の冒頭で、「進化論」を唱えたチャールズ・ダーウィンと昨今またぞろ物議を醸している「優生学」の祖であるフランシス・ゴールトンが似すぎたいとこ同士として紹介している。ちなみに、優生学は、ナチスのホロコーストの温床と目され、「悪魔」のレッテルを貼られた学問。しかし、遺伝を論ずるのには、避けて通れない問題である。

二人は、いとこであるのだから、容貌は似ているのは当然なのだが、進化に対する考え方まで似ていると。このエピソードのオチとしては、晩年の二人の写真が掲出されており、歳月を経たら、二人は異なる道を歩んだためか、その容貌はすっかり異なってしまった。

いわゆるゲノム学がこのまま発展したら、前述の優生学の再来を招くのではないかと危惧されている。そのために、作者は、遺伝学も理科系のみならず、文科系からのアプローチも必然であると述べている。

「いま必要なことは、ただ手をこまねいて悲観的な未来像を描くことではなく、新しいミケランジェロが自然に生まれ育つような新しい遺伝観に基づく豊かな社会を築くことである」と結んでいる。同感である。

大学の心理学のレポートというと、いまも『性格を決定するのは、遺伝か、環境か』などという十年一日的なものなのだろうか。


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一知半解での評価は危険だが、やはり釈然としないものが残ってしまう行動遺伝学

2000/12/05 18:59

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:FAT - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書の「心はどのように遺伝するか」というタイトルから、評者はいわゆる「ミーム学」のような内容を予想したのだが、意外にも本書は、人間の心理的特性に「遺伝」が及ぼす影響を研究する人間行動遺伝学の入門的概説書であった。
 この学問は、心理的特性の違いを「遺伝」により、どの程度説明できるかを統計的に明らかにすることを目的としているのだが、具体的な方法論は、双生児の集団から、双生児の組ごとに計数的に捕捉できる心理的データを計測・収集し、母集団の属性ごとに心理的データの相関係数の高低を比較する。その際、ある心理的データに関する一卵性双生児の母集団から得られた相関係数が、二卵性双生児のものと比較して有意に高ければ、その心理的特性については「遺伝」の影響下にあると結論付けるというものである。
 このようなアプローチ自体には首肯できる部分が大きくある。「心と遺伝」という、得てして議論が抽象的になりがちな分野において、相関係数という統計量に基づいて反証可能な命題を積み重ねていこうという努力は、強い説得力を持っている。一方で、実態は捨象して、統計量のみから一定の結論を導き出すというアプローチには、どうしても釈然としないものを覚えるのも事実だ。それは恐らく、統計量に基づいて判断するという方法論が潜在的に含んでいる「人間の心理現象も数量に還元できる」という前提に、感情レベルで納得できないところがあるからだろう。
 しかし、繰り返しになるが、進化論を知ってしまえば、どうしても払拭することのできない「心はどの程度、遺伝によって支配されているのか」という疑問について、実証的なデータに基づいて議論しようとする人間行動遺伝学は、興味深い学問的試みであることは否定できず、その入門書として、本書は非常に意味があると思われる。

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遺伝の誤解を解き「人間行動遺伝学」の基礎を伝える

2000/11/16 02:24

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:彦坂暁 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 人間の心が「遺伝」と「環境」の相互作用によって形成されることは、一般論としては誰もが認めるだろう。しかし人の諸々の「性格」や「知能」には、実際にどの程度まで遺伝や環境が関与しているのか? この疑問に双生児研究などの手法を用いて答えようとするのが人間行動遺伝学で、本書はその入門書だ。一卵性、二卵性双生児の比較から、どのようにして遺伝や環境の影響を数値化するのか、その数値をどう解釈するのかなど、行動遺伝学の基本的な研究法と考え方が易しく解説されている。
 もちろん心の遺伝学的研究に対しては多くの批判もある。中には「遺伝的=決定論的」というような単純な誤解に基づくものもあるが、双生児研究の妥当性などについての、専門的な批判もある。本書は、このような批判への反論にもかなりのスペースを割いている。
その議論に納得できるかどうかはともかく、批判にフタをせず、正面から答えようとする姿勢は評価できると思う。

(彦坂暁/広島大学 総合科学部 http://hiko475.ias.hiroshima-u.ac.jp/index-j.html)

<本書の「参考文献」から>
『遺伝と環境 人間行動遺伝学入門』(R.プロミン著)
『子育ての大誤解 子どもの性格を決定するものは何か』(ジュディス・リッチ・ハリス著)
『優生学の復活? 遺伝子中心主義の行方』(ブライアン・アップルヤード著)
『人種 進化 行動』(J・フィリップ・ラシュトン著)
『DNA伝説 文化のイコンとしての遺伝子』(ドロシー・ネルキン、M・スーザン・リンディー著)
『人間の測りまちがい 差別の科学史 増補改訂版』(スティーヴン・J・グールド著)
『遺伝子という神話』(リチャード・レウォンティン著)
『続 科学の終焉(おわり) 未知なる心』(ジョン・ホーガン著)
『遺伝子万能神話をぶっとばせ』(ルース・ハッバード、イライジャ・ウォールド著)

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2005/01/16 09:28

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