投稿元:
レビューを見る
5月に読んだ本。群像新人文学賞受賞。ジニの、朝鮮学校に通うことで経験したことと、そこで出会う人への想いと、北朝鮮への幼いながらの考えが実話かと思う程だった。それに向き合う力が、この特殊?な状況でありながら、大人への、なんとなくやり過ごしてしまう性質への反抗という、普遍的?なもので、高校の時など思い出すと、すごく身近だった。今となっては、自分は、ジニの立場でなく、大人の立場だと思うと、やっぱ大人になんてなれないと思った。
投稿元:
レビューを見る
第59回群像新人文学賞受賞作。
出だしは、岩城けいの『さようならオレンジ』に近いかなとも思ったが、そこまで純文学ではない。
在日朝鮮人が主人公であり、在日朝鮮学校のスクールライフを描いているという点ではあまりないパターン。
投稿元:
レビューを見る
「群像」で読んだ。ジニという日本出身コリアンの青春記。
日本の小学校に通っていたジニは中学で十条の朝鮮学校へ。そこでなじめず、金親子の肖像画の額を外して投げ捨てたりと「問題行動」を起こした末に放校、その後アメリカへ。
冒頭のアメリカでのシーンは「ライ麦畑~」を思わせた。私があまり得意ではない翻訳小説風。そこからは激動の朝鮮学校のパート、そして最後のアメリカでのシーン。静と動がはっきりしているし、突き刺さってくるようなコリアン特有の心理表現が鮮烈だし、朝鮮学校の中の描写も興味深い。だけど最初と最後のパートとのつなぎが弱い気がして、その点は残念。だけど鮮烈。ずっと心に残り続けるはず。芥川賞獲るでしょ。
投稿元:
レビューを見る
芥川賞候補
たったひとりで学校と、社会と、国と闘おうとした一人の少女。
日本に生まれ、日本語を話し、日本で育ったのに、日本人じゃないとこの国から言われる
ことの理不尽さ。
一人闘い続けたラスト、彼女のただひとつの願いがかなったその瞬間に私の中の全ての
扉が開くのを感じた。
そうだ、私も受け入れねば。この国に生きるものとして。
近くて遠い隣に国のことをもっとよく知るために。
投稿元:
レビューを見る
期待が思っていたより大きかったのか、読み終わって、「う〜ん」という感じ。
たぶん、女性作家による少女の微妙な心理描写が、私にはその細かなひだまで読み取れなかったのかなあ?
まあ、昔に詰め込んだ余分な知識が邪魔してるかも(^_^;)
投稿元:
レビューを見る
ジニの革命は、私がやりたかった革命だ。
既存の価値観に縛られているくらいなら死んだ方がマシ。
何が悪いのか。何がこの社会を悪くしているのか。
その全てをぶっ壊す。革命だ。革命だ。ぶっ壊す。
私を守るために、私たちを守るために。
すごい青春小説。
女の子視点というのが、私からすると面白かった。金城一紀さんとはやはり違う、もちろん世代が違うからアレなのだけれども。
くっそ魂こもっている。文章はうまくないと思う。だけどやっぱりこちらの何かを叩くものがある。こういう人間がもっと多くなればいい。
崔実さん「ジニのような激しい生き方がいいとは思わない。でも、あのようにしか生きられない少女もいる。人は、人でしか癒やされない。誰かの胸に文章が届いたらうれしい」
しかし正直に言うと、苦しくもなった。
このやるせなさは、誰もが感じるものなのだろうか、そうではないのだろうか。
ここまでいってからが、勝負だとも思う。
著者は私と一歳違い。もしこれが少女時代の体験を元にしているなら、なぜ私はそこにいなかったのだろうか、悔やまれる。
もちろん、自分が自分で自分を救わなければならないのは確かなのだが。
このまま何もしないジニでいるなんて、他の星が輝けばいいだなんて、思わないでほしい。
革命は、若い人の特権なのだろうか。
私は諦めないよ。
2016.7.24.
投稿元:
レビューを見る
息苦しく生きにくい世の中でどう生きるか、諦める事が成長なのか、自分を抑えて息を潜めて生きる事が大人なのか。大人の私は、生きづらさを抱える原因の一つとなった出来事や時代について考えてしまいます。中学生・高校生くらいの大人未満の人が読んで、ジニと一緒に考えてもらいたいと思いました。読後感は良いです。
投稿元:
レビューを見る
中学から朝鮮学校に編入したジニの体制に対する疑問は、民族の長い歴史が背景にあると思います。
作品から、作者の強い主張を感じます。
投稿元:
レビューを見る
なんて強い物語なんだ。
なんて強く、美しい物語なんだ。
群像新人賞受賞作。芥川賞候補。1985年生まれの作家さん。
喜怒哀楽の中で、最も強い『怒』の感情を惜しむことなく発露している。まっすぐすぎて怖くなるほど。抑えきれないほどのエネルギーが漲る文章は、それ自体が熱を帯びている。すごい。すごい。こんなに揺さぶってくれる小説に出会えて幸せだ。
オレゴン州の高校を中退になる、哀しい目をした主人公・ジニは日系朝鮮人。ホームステイ先のステファニーに、5年前の東京での出来事を告白し始める。
中学から朝鮮学校に通い出したジニは、一人だけ朝鮮語が話せず居心地の悪い思いをしていた。北朝鮮がミサイルを打ったというニュースが日本中を駆け巡ったある日、チマ・チョゴリを着て登校した彼女を襲った理不尽で侮辱的な出来事。学校全体を包んだ攻撃的な視線。子どもたちが何をしたっていうの?
彼女は決意する。革命家になると。歴史に囚われて差別を生んでいる大人を憎み、政治的なものを破壊する。
ほとんどの人間が、彼女の同級生のように「関係ない」「深く考えたことない」で終わることだろう。そんな中、大きなものに立ち向かう彼女の道は苦しく険しい。
でも、こんなに美しいものって、ないよね。戦う彼女の姿を頭に描いた私の目から、涙が止めどなく溢れた。ステファニーに出会え、落ちてくる空を受け止めることを知った彼女に、居場所ができますようにと願わずにはいられない。
投稿元:
レビューを見る
第59回(2016年)群像新人文学賞受賞作。主人公は、日本の小学校を卒業し、中学から朝鮮学校へ進学した在日韓国人3世の少女。学校でも社会でも異質な者として扱われることへの戸惑いや怒り、悲しみ。とある事件を経て普通の少女が「革命少女」へと変質していくくだりが鮮烈な印象を残す。
投稿元:
レビューを見る
第59回群像新人文学賞受賞
第155回芥川賞候補
在日コリアンの少女ジニ
空を受け入れよう
芥川賞でもよかったんじゃないですか
『コンビニ人間』が強すぎた
この小説のほうが好み
引き込まれるパワーがありました。
投稿元:
レビューを見る
根深い民族差別と戦う少女が少し大人になるまでの物語。重いテーマであるし、書き出しから最後まで重い。ジニが最後には救われることだけを願って読んだ。自分の故郷にも朝鮮学校はあった。チマチョゴリを着た生徒と直接関わったことはないが、子供の目を通して見ても何か異質なものを感じた。ジニは在日朝鮮人は立場で日本語や米国で過ごす。日本語で書かれた小説であるが、日本人には到底理解できない世界がそこにある。そこに異質な存在があることで不当な差別を受けるジニ。差別をする方は意識的でも無意識でもやる。その行為がどれほど人を追い詰めるのか、この小説を読んで体験するべきだ。重い小説である。作者の実体験も混じっているのだろう。日本人作家には書けない思いが作品に込められている。
投稿元:
レビューを見る
韓国。北朝鮮。朝鮮学校。中学生。民族差別。在日韓国人のジニという少女の体験。学校からもそれ以外の社会からも浮いた存在として扱われて、攻撃され、どこが自分の居場所なのか、この居場所は正しいのか、悩み、革命を目指す。当たり前の世界を疑い始めたら、もう当たり前には戻れない。
投稿元:
レビューを見る
ちょっと苦手な分野だった気がする。感動もなく、ただ、淡々と流れるジニの回想記録小説にすこし、うんざりした。あまり私には合わなかった気がする。とはいえ、第59回群像新人文学賞なのだから、何かあるのかなあと思うが私にはちょっと理解できなかった。
内容は、ジニという主人公(在日朝鮮人の女の子、朝鮮語が話せない)が語る朝鮮学校での出来事だが、ちょうとテポドンがどうのこうのと日本でも騒がれていた頃の話だ。確かに、その当時は私も朝鮮学校という学校があるとは知っていたが、あまり関心はなかった。
なので、今更こういう小説を読んでもあまり、ピンとこない。ただ、今現在の北朝鮮はそれにも増してロケットを打ち上げ過ぎではないかと思うくらい、世界にアピールしてる。
今は金体制も息子に変わってはいるが、やってることは同じような事をしているし、あまり、興味はないが、ジニが教室の金一家の肖像画を剥がず場面はちょっとだけ、スッキリしたような気がした。
投稿元:
レビューを見る
在日の辛さ悲しさ、世間の矛盾や親への思いなど、痛いほどわかる。
冒頭のアメリカでの生活との連続性はわかるけど、ここんところの筋がちょっとわかりずらい。でも、実に考えさせられる秀作。