紙の本
毒はほどほどで、読みやすい
2020/12/27 13:40
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投稿者:なみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
白新堂と黒新堂、両方のテイストを持った小説。
「黒新堂」のパートの闇深さ、毒々しさがほどほどで、読みやすかった。黒新堂全開は、かなりキツいので・・。
ラストがサラッとした印象なので、新堂作品では久々にすっきりした読後感だった。
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病院乗っ取りの話。作者お得意のエグい描写はゼロ、でも白新堂というわけでもなく、なんとも中途半端な感じ。やはりどちらかに突き抜けて欲しい。(黒希望 笑)
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この方の著作は全て買ってますが、とにかく多作。そして、エンターテインメントに徹してますね。言い換えればメッセージ性が薄い(笑)
それでも初期の作品はもう少し情熱を注いで書かれていたように思うんですがね。「鬼子」とか「カリスマ」とか、かなり面白かったです。話の筋覚えてるのに、もう一回読みたいですもん。
ただ、だんだん本人が書くことに飽きてしまったのか、ネタが尽きてしまったのか、最近は似たようなストーリーが多いし、一作ごとの劣化が著しい気がするのは私だけでしょうか。
とは言いながら、この作品も途中からやめられなくなって、最後まで一気に読んでしまいました。そういう意味で魅力はあるんですよ。そもそも全作品読んでるわけですしね。
で、それなりの感慨を持って読み終えたら、最終ページにこんなことが書いてありましたわ。
「本書は2010年4年、弊社より単行本として刊行された、書き下ろし小説『白と黒が出会うとき』をタイトル変更の上、文庫化したものです。」
・・・。
私、数年前にこの単行本、買って読んでたんですけどっ!
読み終えるまで全く気づかないほど、内容を記憶してないってどういうこと? そういうこと?(笑)
しかし、タイトル変更で文庫化とは(よくあることとは言え)敵ながらあっぱれじゃ。敵!?
まー、同じ話で2回も楽しめたんだから、きっと得したんだよねと前向きに考えておきます。
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「明応のナイチンゲール」と呼ばれ、どんな患者にも優しく献身的な対応をすることで病院内でも有名な森下早苗。しかしそんな早苗が働く明応総合病院を、乗っ取りで有名な久我グループが狙っていた。その片腕である前田恭司は、末期癌でホスピスに入院している父親を救う資金をちらつかせながら取材という名目で早苗に近づき、彼女から病院が危ないという噂を流させようとする。
早苗も偽善に違いないと考えるも、「ナイチンゲール」という皮がなかなか破れずイライラする恭司だったが、次第に彼女は本物なのかもしれないと思い出す。そんな2人を描きながらも、早苗の父親をあっさり殺し、極端から極端へと変容する早苗の姿に「あぁ、やっぱりこの人の小説だなぁ(^^;」と。悲恋だなぁ。