なみさんのレビュー一覧
投稿者:なみ
紙の本ウツボカズラの甘い息
2019/10/28 21:11
まさに、ウツボカズラ
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
解離性障害を患う主婦の高村文絵が、中学の同級生と再会してビジネスに誘われることで、大金と生きがいを手にして、輝いていく。一方、殺人事件を捜査する刑事達の話。全く違う二つの話がどんどん近付き、交わり、混沌としていく。
さあ交わったらどう展開する?サングラスの女は実在するのか?妄想か?ならば、どこまで妄想か?読みながらたくさんの?が浮かび、全て解決して、すっきり読み終わった。
最初から最後まで、引き込まれた。おもしろかった!
紙の本傲慢と善良
2022/09/24 14:56
傲慢と善良
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
結婚、婚活における、傲慢と善良さから始まっているが、もっと自分の内面の、無自覚な傲慢さ、善良が過ぎた傲慢さに、目を向けさせようとしていた。わかりやすい表現で、読み応え充分だった。
自分を低く評価する人ほど自己愛は強いとか、無意識に自分の価値はもっと高いのに、と思っているから婚活がうまくいかないとか、印象的なフレーズがたくさんあった。特に、結婚相談所の所長の、観察眼の鋭い、ひねった考え方が、興味深かった。
紙の本リベンジ
2023/05/19 10:05
リベンジ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
どんどん人間離れしていく、怪物リカ。
リカがどんなに不死身であろうと、アクロバティックな動きをしようと、それがリカなのだから、全て有り。
なかなか姿を現さず、リカの情報だけで話が進んでいくが、それでもリカの存在感はすごい。ねっとりとした闇と、臭いが漂ってくるようだった。
リカの意外な「協力者」も登場し、次回作が楽しみだ。
が、本編よりも「あとがき」の方が生々しく、ショックだった。
紙の本蓮の数式
2022/01/02 15:49
蓮の数式
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
夫と義母に虐げられてきた千穂は、ある日抑えてきた感情が爆発し、そろばんの個人授業をしていた透の元へ逃げる。
2人での逃避行が始まるが、明るい未来をまるで想像できない、破滅しかないような旅だった。次第に明らかになっていく透の過去。自分ではどうしようもない鎖に繋がれているようだった。透の孤独が底なしに深すぎて、つらい。
救いがないのに、ちょっとの救いを求めて、読むのがやめられなかった。
紙の本屍人荘の殺人
2020/12/15 11:07
小説だからこそおもしろい。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
二重の密室殺人。ゾンビという、推理物を壊してしまいそうなモノを、テロとして、密室の一部として、うまく取り入れていた。おもしろかった。伏線がたくさんあり、何回か読み返して納得した。それもまた楽し。
小説より先に映画を観てしまった。映画ではゾンビがなんだか安っぽいし、ラストの明智もひどい。小説だからこそ生きるストーリーだと思った。
紙の本代償
2019/09/05 13:38
一気読み。
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
圭輔の少年時代や、裁判までの話は、達也の毒が蔓延していて、読むのがつらかった。が、反撃編ともいえる後半は気が楽で、さくさく読めた。
現実に、達也のような人間はいるんだろうなぁと思ってしまう。狙った相手を直接・間接的に追いつめて破滅させ、楽しむ。が、一見悪党とわからない。関わりたくないものだ。
2019/06/28 15:32
読み進める程に、すっきり
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
小さな違和感が積み重なっていく。
奈津子の年齢がはっきりしてなかったり、紗英との親友関係がいつから始まったのか、混乱してしまったり。でも読み進めるうちに明瞭になっていくのが、快感だった。
たくさん騙され、最後の最後まで仕掛けられた感じだが、全て繋がって、すっきりした。
2024/03/04 15:44
一気読み
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父が殺害され、真世は、叔父で元マジシャンの武史と共に、独自に犯人を探し出す。
なかなかクセの強い武史だが、洞察力、推理力は鋭い。ペテンまがいの強引な手法、刑事から情報を盗み出す手口など、手品師の域を越えていて、面白かった。独断的だが個性的で、魅力的な人物だった。
過去にも何かありそうで、続編が楽しみ。
紙の本アンマーとぼくら
2023/03/02 11:18
アンマーとぼくら
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沖縄に移り住んだリョウと、お父さん、おかあさんの思い出に、お母さんの思い出。
子供以上に子供で、迷惑この上ないお父さんは、側から見ているのはいいが、関わると大変なタイプ。リョウは素直だし、おかあさんも、お父さんには勿体無い位、とても出来た人。そんな家族の、あったかい、優しい物語だった。
序盤から、「来たる別れの為に」的な物言いが感じられ、少しずつ不安が強くなっていくようで、落ち着かなかった。が、さすが有川さん、悲しい物語も、暖かい未来にしてしまう。素敵なお話だった。
紙の本楽園の真下
2022/07/30 16:24
楽園の真下
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自殺者の多発と巨大カマキリがどう結びつくのかと思っていたが、見事に関連付いていた。
「読み始めたら止まらないパニック・ホラー」の通り、中盤以降は一気読み。特に、巨大カマキリとの死闘は、怖いけど読んでしまう状態。想像するとゾッとするし、怖いのにやめられない。夜だったら、びくびくしてしまう。昼間に読んで、良かった。
緊迫感の中での、荻原さん独特の軽い調子が、ふっと息をつけた感じだった。
紙の本凍てつく太陽
2021/02/21 14:55
読み応えあり
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終戦間際の重苦しい緊迫した生活、特高、民族差別、殺人事件など、盛りだくさんだが、全てがつながり、読み応えありでおもしろかった。
どの位史実に基づいているのだろう。それを考えながら読んでいた。脱獄犯・白鳥由栄は事実だし、室蘭空襲も、室蘭に軍需工場があったのも事実。フィクションとノンフィクションが絡み合っていて、ストーリーに深みを増しているようだった。
悲惨な描写も多かったが、未来に希望の持てそうなラストが、良かった。
紙の本崩れる脳を抱きしめて
2021/01/11 22:03
切なくて、じんわり
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
途中でやめられず、一気読みするしかなかった。
恋愛、ミステリー、主人公の成長物語、いろいろな面を持っていたが、読み終わって、心の奥がほんのり温かくなる感じだった。願わくば、幸せが少しでも長く続きますように。
同僚の冴子も魅力的、広島弁も魅力的。
紙の本ノーマンズランド
2020/12/22 21:20
ストーリーも登場人物も良いー
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大好きな姫川玲子シリーズ。
日下主任に抑えられ、いつもよりおとなしめの玲子だったが、以前の刺々しさがなく、意外と良い関係かも。湯田や葉山、保さんも登場し、懐かしい。あ、井岡も。
玲子と武見との関係に菊田が絡んでいくのか、また、勝俣の過去も描かれ、不穏な未来へ向かいそうな気配がある。幾重にも今後が楽しみだ。
ラストの雨のシーンはインビシブルレインを思い出させ、切なくなった。
紙の本望み
2020/09/19 22:14
被害者・加害者双方の絶望
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高校生の息子が行方不明に。その後、息子の友人が殺害され、息子は加害者か、又は息子も被害者か、わからない状況になる。
加害者でもいいから生きていてほしいと願う母親と、状況から被害者だと思う父親。でも違うかもしれないと揺れ動く、2人の心情。小説のほとんどが2人の苦悩だが、マンネリせず、じわじわ、どんどんと2人の絶望が伝わってくる。最後はとげのように刺さってくる。
被害者側、加害者側両方の絶望がひしひしと感じられて、つらいストーリーだった。
紙の本レゾンデートル 存在理由
2019/12/09 15:25
知念作品の中で一番、かな
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今まで読んだ知念作品の中で、一番良かった。
雄貴とジャックの事件と、沙耶とペンダントの事件が絡み合い、雄貴の病気の進行もあって、ずっとハラハラドキドキ。
雄貴と沙耶のお互いを思いやる気持ちが、殺伐としたジャックのストーリーと対称的で、ほっとし、暖かい空気になり、潤いにもなった。
ジャックの話だけだったら、あまりに冷たすぎた・・。
「死ぬ時は笑って死にたい」、そのための先輩医師の話が、印象的だった。