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第1回島田荘司小説賞受賞の台湾ミステリ。仮想空間での殺人というSF的設定に隠された端正な仕掛けに大満足。さらにその仕掛けが小説全体の主題と密接に結びついているのも素晴らしい。すごいぞ台湾ミステリ!!。
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翻訳作品。ヴァーチャルシティでの殺人と、現実世界での起きた過去の殺人がリンクしていて……という話。
世界観が独特なため読みにくいが、構成はすごく凝っている。トリックはダイナミックで、この世界ならではのものになっているので、世界観に入れるかどうかで評価が変わってきそう。
台湾の人が書いた小説を初めて読みましたが、欧米の翻訳作品よりも、日本の小説構造に似ているように思った。
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ヴァーチャルと云うものが、それほど実際に全く縁遠いものでもなくなりつつある昨今。
そしてSFのガジェットとしてはもう、全然目新しいものではなくなっている昨今。
ただその仕掛けをどのようにして利用するか、その利用の仕方にアイディアが要求され得る訳ですが、解説によるとこの物語ではそれが斬新であった、とのことです。
私はミステリもSFも両方ともに詳しくないし、何が「新し」く、「本格」かとかよく判らないので、プロがそう云うならそうなのでしょうが、何となく割り切れないと云うか。
何となく、どうしようもなく、「物語の為の殺人」と思えてしまいました。
ミステリとしての仕掛けが凝っていればいるほどそう思えてしまうジレンマがあるのかもしれませんが。
しかも、ある一つの謎が解かれずに残っていると云うのは、「本格」としてはありなのか、と思うのですが、どうなのでしょうか。
SFとしては、ヴァーチャルやAIなどもう少しで実現出来そうなガジェットを使いつつも、全体的に80年代っぽい雰囲気を醸しているのは、面白かったです。
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ヴァーチャルストリートで起きた殺人事件、現実の都市の過去の姿を模したその仮想都市で実際に何が起こったのか…?凝った設定と緻密な展開、途中一瞬「ああそういうことか、ありきたり」と早とちりしかけましたが、実際にはそんな浅い読みを裏切る“一枚上手”なミステリになってて、非常に面白い。ネットを利用した生活が当たり前になっている世代には読みやすい、SFになりすぎていないリアルさが良い。台湾物ということで普通の海外ミステリとは翻訳の雰囲気も異なりますが、漢字表記にカタカナルビで中華世界の香りがきちんと出ていたのも良かったです。
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ヴァーチャルリアリティと現実世界、過去と現在が交錯して... とややこしそうな設定ではありましたが、それほど難解ではなく分かりやすかったです。読後はスッキリ。なるほど島田荘司っぽいなあと思いました。
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■第1回島田荘司推理小説賞の受賞作品って帯のキャッチを見て思わず借りちゃったんだけど、読み始めてみると台湾の作家の作品だった。なので、地名とか人名がすっと入って来なくいんだよね。だから最初はちょっと苦戦した。(笑)
■舞台が近未来の台湾なので、SF風味のミステリーとしてもなかなか。あちこちにトラップが仕掛けてあって、読み終わるころには結末はなんとなくわかっていたのに、それでもやられた感たっぷりで読み応え充分。その上、読後は『感動!』って感じになること間違いなし。
■週末の忘年会@温泉に持ち込んで読了。
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開発途中の仮想空間で見つかった死体。
ログを辿りユーザーを見つけ出すと、その男もまた同じように殺されていた。
犯人は? 手口は? バーチャル世界と現実世界の狭間で何が起こったのか。
第一回島田荘司推理小説賞受賞作。
う~ん、なんだ。
これを書いた心意気は買う。
買うが、SFとして設定が破綻しとるよ。
しかもそれをオチに使っちゃダメでしょ。
あと主人公からしてクールなのか、夢見る乙女なのか、まったく性格が分からなかった。
分からなかったってよりその場その場で性格変わりすぎ。
ママとの関係も曖昧なままで。
むしろママの存在って必要か?って思ってしまった。
とにかくまず人間を書かないとなあ。
第2回受賞作の『遺忘・刑警』を原書で読もうと思ってたんだけど、なんだかめげてきたぞ…。
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仮想空間で産み育てていた死んだ娘が間違って人を殺してしまったという話。縁は仮想であっても義理であっても、血の濃さではなくその人その人の性格・資質によるところが大きいのだろうなあと感じた。
ギミックとしては、仮想空間で現実の80%の力が出せるというのがやや疑問だった。相対的な制限ではなく絶対的な制限(○○キロ以下)を設けるのが、MITでドクターまで取った研究者なら、やることなのではないかと。それもソフトウェアではなく現実世界のハードウェア側に。ただそこを制限してしまうと殺人事件が起こらなくなってしまうから無理なのかな。まあそこがやや不満だったので☆4です。
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VRという題材を活かした実に巧妙なミステリ。Who, How, Whyどれもよく練られている。物語の構成も見事だ。そして日本での刊行が2010年であったことを知り驚く。華文ミステリの台頭は最近のことだと思っていたが、当時からこんな作品が執筆・翻訳されていたとは。2015年以降は台湾でも新作を出していないらしいのが残念だ。