投稿元:
レビューを見る
小中学校の教科書に立ち返って基礎を見直すというのは大いにアリだと思う。佐藤氏のアジテーター的な発言、井戸氏の野党としての立ち位置での発言が気にならなくもないが、全体的には良い本だと思う。
投稿元:
レビューを見る
p.40
ドイツのリサイクルは細かい
・ナチスの思想、身体は総統のものであり、個人が勝手に処理していいものではない、からきている
・人間という資源の効率的な利用
・禁煙運動もナチスが始めたこと、生涯現役にこだわり、医療費を削減した
→いいことのように思えるが、戦争のための資源としか人を見ていなかったとすると、とても怖い考え
p.50
国会の仕事、法律や予算を決めるというのは、いわば、国民の利益を調整する作業
→確かに、法律は人間が作ったものなので必ずどこかに落とし穴がある、それを埋めることが大事
p.64
・国会議員は国民の代表と書かれているが、
国民の利害は人や世代によって異なる
・政党は、部分の代表。民主党は、全体の代表だと思い込み、失敗した。
・日本の正統派政権を取ると全たちの代表になろうとする
→かといって、部分の代表のマニフェストを出せば、選挙で通るかというと違うような。
電力総連や、電機連合など、労働組合、宗教の利益を考え人を選ぶというのは、ある意味正しい
p.70
政党は社会から生まれてくる、私的結社(社会の代表)それに対して、内閣総理大臣は、官僚の長(国家の代表)という地位を持っている。民主党はこの矛盾を解決できずに、総理大臣がすぐ変わった
→なるほど。自民党は長く政権にいたことで、この矛盾の調整力に長けていた
p.74
大統領とは選挙で選ばれる王様。社会の代表としての規制は議会が行うため、限りなく政府、国家の代表として動ける
→ある種、北朝鮮の首領と同じ、独裁可能だが、アメリカ大統領には、三軍の指揮権は与えているが、宣戦布告権はない。
p.90
教科書には、国民は政治的関心を持ち、選挙に行こうと書いてあるが、それは本来の市民社会の論理ではない。
国民は本来、政治をやらずに欲望を追求する。だから代議制がとられ、プロが政治をする。
・政治の目標は、逆説的だが、国民が政治について考えずに済む世の中にすること
・一番大事なのは平和の維持
p.134
唯名論
・リンゴはリンゴ、イチゴはイチゴ
→果物というのは便宜的につけたものであって、実際には存在しない
実念論
・認識に先立ってものが存在すると考える
→果物があるとして、そのなかに、リンゴやイチゴ、目に見えないけど、果物は確実に存在する
→日本の憲法の見方はこちらに近い。
憲法とは別のところに規範がある
p.150
小笠原、奄美も、沖縄と同じようにアメリカの管理下に置かれた過去がある。
ただ、沖縄だけは過去になってない。
・国土の0.6%でしかない沖縄に、米軍基地の74%があるから
→構造化された差別だけど、今更どこか他の県が受け入れてくれるはずもない、原発と同じだ
p.153
国連の体制で戦争が違法化されて犯罪となり、安全保障理事会が平和維持行為として取り締まる仕組み
→イラク戦争も、戦争ではなく制裁行為との位置付け
→平和のために戦争に参加���よう
p.160
内閣法制局
・日本政府の法律解釈を決める役所
→日本は国際法上、国家として集団的自衛権をもってはいるが使えない
p.195
アマゾンやスターバックス、グーグルの税金逃れは有名
・アマゾンは本社がアメリカで、日本の法人税が取れない
p.196
日本はずっと、低〜中負担で高福祉
・国家がやる機能は会社が果たしていたから
・それが壊れてしまったのが、問題化している
・低負担、低福祉のアメリカ型か、高負担、高福祉の北欧型でいくのか
→福利厚生のよい会社を増やすこと、そのためには企業に体力が必要。
投稿元:
レビューを見る
本書は、作家の佐藤優さんと政治家の井戸まさえさんによる、小学校社会科の教科書を用いて、政治の基礎知識を身につけていくことを主眼に置いた対談本です。
今までに大人に向けて、小学校の教科書で勉強を勧める本を見たことが無かったので、その新たな視点に惹かれて購入しました。
内容としては、高等学校の政治・経済の教科書ではなく、なぜ小学校社会科の教科書なのかという理由が書かれた序章から始まり、国会、内閣、裁判所、憲法、三権分立、税金、選挙について、教科書の本分の一部を抜き出し、解説を進めていきます。
この本の特徴としては、それぞれの章で「表の教科書」と「裏の教科書」に分かれており、表の教科書では、教科書本文の解説になり、原則論が多く書かれていますが、裏の教科書では綺麗事なしでそのテーマの現実はどうなっているかが書かれており、ただの教科書の解説に終始しないようバランスのよい説明がなされています。
様々な知識が書かれていることは良いことですが、それでも首を傾げる箇所がいくつかありました。一例を挙げますと、ドイツのリサイクルについての件が書かれていますが、そこでナチスが健康にこだわっていたという例をあげます。国民の身体は総統のものだから、国民自身が勝手に処理していいものではなく、健康体を維持しなければならないという考えが当時あり、これは人間という資源の効率的な利用であり、この考え方がいまドイツでは人間ではなく、ごみに向かっている、と佐藤さんは説明されております。しかし、ドイツにおけるごみのリサイクルというのは、戦後ごみの量が増えてきたために、ごみを仕分けしてリサイクルを行い、ごみの量を減らすという目的で始まったはずです。従って、ナチスが国民を資源として効率的に使おうと様々な方針をあげていたことが、戦後ではごみに向かったという思想的な発想よりも、単純にごみの量の増加が原因で、環境に配慮したごみ処理方法を模索していった結果、リサイクルが一般化したと考えるのが合理的ではないでしょうか。ナチスの健康志向とリサイクルの因果関係が結びつくことに疑問符がつきます。書かれていることを全て鵜呑みにのは注意が必要です。
投稿元:
レビューを見る
「選挙」の章は面白かった。「一票の格差」について、投票価値の平等を追求することが本当に正しいのかどうかは自分も疑問に思っていたので、我が意を得たりの感を持った。『ファーブル昆虫記』を最初に日本語に訳したのが大杉栄だったというのも面白い。
投稿元:
レビューを見る
世の中の政治の基本を、小学校社会科の内容を踏まえながら学んでいく。
こうやってみると、小学校の社会科は要点を捉えて簡潔にまとめられているなと感じる。これが中高になると重箱の隅をつつくような知識になってくるかな。
投稿元:
レビューを見る
わかりやすかった。
しかし、野党色が強く、ところどころ首を傾げるところもあった。より合理的な政治を希求すべきなのに、政治に無知な市民を、ただ単に現政府に反対するだけの犬にしたいのだろうか。より合理的に国民が考えられるような内容(そうでなくても政府の今やっていることの悪い面だけでなく良い面にも十分に理解できる内容)にしてほしかった。
・改憲=国体の復活、はあまりにも論理が飛躍しすぎではないか?
・官僚が嫌われるのはよくわかるが、「国民から収奪する者」はあまりにも言い過ぎ。最低賃金のアルバイトと同じくらいの収入で、定時帰りの人以上に働いている官僚へ税金泥棒というイメージは差別的であろう。著者の官僚時代のコンプレックスの表れでは?
・司法権に国民審査がないのは問題だ、とあったが、司法権は少数者を守るために存在するのだから、多数決による国民審査がないのは当然だ。
・高負担・高福祉がダメだというのなら何か代替策を示してほしい。低負担・高福祉は現実的ではないのは明らかだし、現実的でないということを分かっていない人は多いのでそこについてより説明してほしかった。
投稿元:
レビューを見る
政治の全体像を薄く、部分的に濃く解説している。思った本と少し違う。表題にある政治の基礎知識を身につける感じの本ではなく、教科書に書いてあることを、大人の視点で見るとこうだよね、的な一冊。論点は面白かった。
投稿元:
レビューを見る
公民に関する知識は小学生レベルで充分だと思うが、国民の9割はそのレベルに達していないだろう。もちろん自分も達していない。ただし、この本は章立てに利用しただけでであり、この本を読んでも小学生レベルの知識は身に付かない。別途入手して読まないとダメ。
内容的にはいつもの安倍政権批判の時事放談。通常対談本は議論が発散するのだが、教科書的に章立てがされているので、テーマとしてはそれなりに整理はされている。あとは、参考文献を読めって事ですかね。
新たな気づきとしては、
・国家と社会は別物。よって内閣の存在は矛盾している。
・大陸法と英米法の違い
・最高裁判事には司法試験に合格していない人がいる。
・実念論と唯名論
・中間団体解体の背景にはソ連の崩壊がある→再結集でファシズムになりやすい。
投稿元:
レビューを見る
小6社会科の教科書が教える表の社会科と、元外務省主任分析官の作家と経済ジャーナリスト出身の政治家の著者二人の経験も含めた裏の社会科。国会、内閣、裁判所、憲法、三権分立、税金、選挙について、基礎的な知識と興味深いうがった見方も含めた教養に触れることができる。
もちろん著者の立場から本書の情報にも偏向はあると理解しながらも、憲法改正議論や靖国問題などで諸外国がどのように受け止めるのかの想像力が欠けているという主張は、(それだけで十分な訳ではないが)大切な視点だと感じた。
あくまでも基礎なので、より深い情報には参考図書に当たることが期待されているのだろうし、多角的な情報には開かれていない点はやむを得ない。
17-45
投稿元:
レビューを見る
新聞読んで時間がかかるのはやっぱり基礎がぽつぽつ抜けているから。。。ということで読みました。ただいまいろいろ基礎仕入れ中です。
さくさく読めるし、大人の社会ということで裏側も知れておもしろい。たださくっと読んだのであまり記憶に残っていないな。まさかの公民の参考書で今勉強しているので、終わったらもう一回読もうと思います。
投稿元:
レビューを見る
タイトルとは違って基礎知識を身につけるためという本ではない 。左寄りの本を初めて読んだので、それなりに新しい発見もあった。
投稿元:
レビューを見る
分かりやすい内容で政治についての理解が深まった一冊。 近年思うことは、難しい内容を簡単に話す力を持つ人ほど能力の高い人なんだなと改めて痛感。 私も専門分野を深掘りして簡単に話すことが出来るように基礎をおさらいする気持ちにさせてくれた内容です!
投稿元:
レビューを見る
税金を考えるとき、高負担高福祉か、低負担低福祉か、という考え方は聞いたことがあった。アメリカは低負担低福祉。高負担高福祉で有名なのは北欧だろう。ちなみに日本は低負担中福祉と聞く。しかしそれは借金で穴を埋めているので、現実的にはいずれ破綻する。佐藤氏は高負担高福祉がよいと思うけど、日本では難しいという。なぜなら、人口が多すぎてフリーライダーが出てしまい、不公平感からシステムとしてうまくいかないから。あぁ、そうなんだぁというのがなかなか蒙を啓かされたところ。
小学校の教科書を使って、わかりやすく、社会について学ぶことができた。面白かったしね。
投稿元:
レビューを見る
作家の佐藤優氏と政治家の井戸まさえ氏のお二人が小学校の社会科の教科書を使って政治についての基礎知識とお互いの知識経験から裏側までを解説した一冊。
お互いに佐藤氏は知識面で井戸氏は実績面での角度から政治に精通しているので読んでいて基本的な知識はもちろんながらもっと深いところや裏側の真実にまで知ることができ有用な一冊でした。
また章末や巻末にまとめが掲載されているので本書で書かれている知識を効率よく会得することができました。
また本書では今まで読んだ政治関連の書籍には書かれていない用語(実念論や中間団体といった)も多数登場し勉強になるだけでなく、新たな考え方の視点も得ることができました。
特に政党の考え方である部門の代表や選挙に関する
内心の自由などは読んでいて感心しました。
また、政治の目標が国民が政治について考えずにすむ世の中にすることというのは強く感嘆しました。
そして、他の国の政治や裁判についての制度についても書かれており、日本との違いもわかり勉強になりました。
そんな本書のなかでも選挙や逮捕された時の対応などは経験者の意見でもあるので説得力があり、知識となりました。
また、高負担高福祉の実現についての条件は勉強になりました。
この2点は印象に残りました。
小学校の教科書で本質を知り、お二人の経験などから深掘りしていく本書は政治についての本質を知ることができ読んでいて大変勉強になりました。
本書で得た知識はこれから政治を考えていくうえで新しい視点を与えてくれた一冊だと感じました。
投稿元:
レビューを見る
さくっと読めて、深い内容。
特に私のように政治法律関係に疎い(が、いま勉強しないといけない)人間には面白かった。
<ほんとうの市民社会の論理>
国民は政治をやらないで「欲望」を追求するんです。経済活動なり、文化活動なりの欲望を追求する。それで税金を納める。それによって社会が発展していくんだというのが、基本的な資本主義社会、市民社会の考え方です。
<刑事と民事>
裁判というのは、大きく分けると「民事裁判」と「刑事裁判」があります。この教科書でも「争い事や犯罪」ときちんと分けて書かれていますね。
「争い事」が民事、「犯罪」が刑事というわけですね。
<近代社会は複雑性>
そこで、その複雑なものをいかにらくに解決するかというときに、「信頼」という複雑性の軽減メカニズムが出てくるわけです。
<政治はことばの芸術>
候補者が、政策や訴えをどう言語化しているかに注目する。