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混乱のジンバブエに産まれて、出られない国アメリカに渡った。
新しい土地の人になることはできず、故郷を語ることもできない。
子どもの口調ではじまり、ティーンエイジャーの分別で終わる。子どもの目線で政治を浮かべ、ティーンエイジャーの心情で歯がゆさを語る。
ひりひりするような小説だ。
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うーん、これを日本人の私が感情移入するのは難しい。ディアスポラや民族分裂や難民を多く出した国(韓国とかパレスチナ、イスラエル、アフガンあたり)の人達にはグッとくるものがあるのかも。
平和ボケした日本で育つと頭では理解できるけど、この気持ちに共感がし難い。
ただ海外に長く住んだことのある人ならわかる、電話の向こうの故郷との時間の歪みみたいなものは凄く伝わるし、共感できる...
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ジンバブエで幼少期を過ごし、叔母を頼ってアメリカに移住した少女が一人称で語る連作集。
空腹、盗んだグアバ、悪いことをするとぶたれる、ブリキの家、ビンラディン狩り、呪術的キリスト教聖職者による公開レイプの儀式、子供の妊娠、NGO
ダイエット、ヴィクトリアズシークレットの下着、試着ごっこ、進路選び、不法移民によるホテルや精神病院での労働、デブの白人と結婚して永住権、ポルノサイト、全ての体罰は禁忌
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アフリカの小説というよりこれはグローバルな小説。新聞の記事でしか知らない今日のジンバブエという国での暮し、逃げたアメリカでの暮し、特殊というより、普遍的で時代を超えている気がした。私は国とか故郷とかを意識したことがほとんどなく、難民のニュースも理解しようと思ってがんばって読むけれど、実は全然わかってないと思う。この本に出てくるNGOの人みたいに。この本を読んで、国がぐちゃぐちゃになったり他国で暮らす気持ちがほんの少しは想像できる。それは嫌なものだ。「国盗りゲーム」NGOとのやり取りに胸を衝かれる。「しーっ」エイズになって帰ってきた父さん。子供たちが歌う場面に涙が出る。「ほんとのこと」恐ろしいが子供たちはそれでもそれを遊びにしてしまうのだ。後半、アメリカにダーリンが行ってからは辛くてあまり好きなエピソードはない。
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子供の頃、世界がひとつになり戦争がなくなれば良いと思っていた。戦争は今でも避けるべき第一のことと思うが、世界がひとつになるなんてあり得ないと毎日思い知らされる。
とは言え、多様性が他者への不寛容を助長しているのも現実だ。
ジンバブエのインフレのニュースをネットで見て笑っていたこともある。そこで暮らす人、そこで生きる人のことに気づかず。
自分の根っこを余所の地に隠し、枯れないように水や太陽を必死で取り込もうとする人の抑制された行動を見ようともせず。
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アフリカで生まれ、アメリカで育った著者の自伝のような物語。文章が生き生きとしていて、情景が目に浮かぶようだし、声が聞こえそうな瑞々しい表現。アフリカ某国で本当に自由だが、どうしようもなく貧しいし、暴力などの暗い影を感じて育つ。反体制派の知り合いが撲殺されてしまうが、お葬式で撲殺ごっこを楽しむ。アメリカに渡ってからは、googleやYoutubeやSkypeを使いこなし、母国に一抹の後ろめたさを感じつつも先進国でも生活をenjoyする。学生VISAが切れ不法滞在となったことで常に国外退去の不安が付きまとい、まともな職業につけない。国に残した家族や友人からは妬みや嫉み、国を捨てた人間というレッテルを貼られる・・・。ストーリーは必ずしも幸福ではないが、絶望的な悲劇でもなく、自然や美しさが印象的。海外小説の面白いところだと思う。
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ジンバブエで生まれて、叔母の住むアメリカに移り住んだ少女が主人公。
著者の自伝的な作品。
ジュノ・ディアスが絶賛。2014年PEN/ヘミングウェイ賞受賞。
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新聞の書評を読んで。
星は4つで、良かった、という評価をさせていただいたが、実は読み進めるのは辛かった。
内容云々ではなく、自分にとって文体が読みやすくなかったから。
ところどころ、言い回しがユーモラスだったり、興味を惹かれる内容や衝撃的なシーンもあったが、女子のおしゃべりが延々と淡々と途切れずに続く感じ。
展開もわりと急で、なんとなく息をつく暇がないというか、疲労感があった。
アフリカのどこか貧しい国に住んでいる少女なんだろうな、とはうっすらわかるものの、具体的にどの国だかわからないモヤッと感。
(ジンバブエ、という国名が最後になってわかってすっきり)
登場人物と主人公の関係がよくわからなくなるイラッと感。
単に私の読解力が足りないかもだけど、説明がないまま人が登場するので「この人は何者?」「前に出てきたっけ?」と、もやもやしながら読み進めるしかない。
最後の方に、チポがアメリカに「逃げた」主人公を責める件。
主人公は憤慨?するが、どこにも逃げ場がない人達の本音なんだろうな。
著者も書いているように、なんでもかんでも「アフリカの話」とは一括りにできないだろうけど、恥ずかしながら、私(達?)にはアフリカの内情は似たり寄ったりに思えてしまう。
こういう本がもっと世に出されるといいと思う。
現在進行形の厳しい現実を知るために。
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血とか風土とか歴史とか記憶とかが刻んだような小説。少女の語り口の淡々とした感じがにむっとするような暑さを感じた。
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ジンバブエからアメリカに渡った少女が、理不尽で容赦のないこの世界を生きていく姿を描く。
国を捨てた者と残った者それぞれの諦めや喪失感、葛藤が生々しい。
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ジンバブエ→アメリカ移民。まあよくある「ほぼ自伝」ってやつ。
なーんか貴重な「生きた証人」ってのはわからんでもないが、ちょっと自虐が多いというか、
どっちの国に対してもディスりが多くて、それがあんまりユーモアに変換されてなくて。やっぱエドガル・ケレットにはなかなかなれないのな。