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中学生のいじめによる男子生徒の死。
加害者の生徒、その親、被害者の親、先生、警察、マスコミ。。真相が暴かれていくも、結局何も解決してない。
中学生ってこんなに難しい年頃なんだ。サバイバルなんだ。サバイバルを行く抜くには、まだまだボキャブラリーが足りない。友達、親、先生、先輩、いろんな狭間で生きていて、自分の意見もまっとうに言えない。自由に行動できない。そのはけ口がいじめ?
自分が中学生だった頃と、親の年齢に近くなった今を重ねて読んでた。
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テニス部に所属し地元では有名な呉服店を経営する家の一粒種である名倉祐一が学校内で死んでいた。事故か殺人か、警察が調べていくにつれ名倉はいじめにあっていたことが判明する。加害生徒の祖父は県会議員だったり母子家庭であったりするがどの親も自分の子供がまだだ巻き込まれたに過ぎないと信じている。学校側は被害者親族からの全員に作文を書かせて欲しいなどの要求を飲むか飲まないかで管理職と学年主任が対立する。いじめを受けても状況が理解できず、場の空気を読まないような発言をしてしまう名倉はもしかして自閉症スペクトラム障害ではなかったのだろうか、そんな気がしてならない。
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201601/これはすごいな…。例えどうであれいじめの理由にはならないと思ってはいても。被害者(という表現も微妙だが)とされる側の言動が明らかになるにつれ、「それなら仕方ないかも…ましてや中学生だし…」と思わせられてしまうんだけど、そう思わされてしまい自己嫌悪するとこまで含めて、作者が想定したと思える作品。名倉少年の「兄弟」設定のくだりはなくてもいいように思うけど、周囲の人々の狡さ等の描写もさすが奥田英朗。
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中学生は人生で一番のサバイバル期という言葉がぴったりな話。子供、親、警察、検事、先生、新聞記者いろいろな人の思いが語られていて、みんなに賛成できるが矛盾する複雑な思いをする物語でした。
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中2男子生徒が、放課後の校内で遺体で発見される。
人間、立場が変われば考え方も変わる。加えて、平常ではいられない部分も。
という面で、被害者家族、被疑者家族、当事者生徒、教師、刑事、検事、マスコミその他モロモロの人々の書き分けが秀逸。
とくに中学生たちの心理描写がすんばらしい。(元)中学生だった(はるか昔)身としても、全然違和感なし。
大切にしなければならないものの優先順位が、独特の価値観でズレまくっているという。
最後の方で、教師が元同級生と飲みながら打ち明けた話、なんだか的を得ているような気がする。
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結構なボリュームだったけど面白く、一気読み。色々な視点で描かれる事件。考えさせられる問題作。少年たちの思考・価値観、確かにそうかもと何度も肯く場面があった。
あらすじ(背表紙より)
北関東のある町で、中学二年生の名倉祐一が転落死した。事故か、自殺か、それとも…?やがて祐一が同級生からいじめを受けていたことが明らかになり、家族、学校、警察を巻き込んださざ波が町を包む…。地方都市の精神風土に迫る衝撃の問題作。
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時間を忘れて読みふける本は久しぶり。
稀に見る集中力で600ページ近い本を一気読み。
様々な人物が登場するこの作品。教師であったり、母親であったり、中学生であったり、誰かしらに共感を覚え、ついつい肩入れして読み込んでしまう。
そうそうその通り、そうだったなあそういえば、なんて思わず唸らされる。こんなに上手に文章に表してくれるのね、、、作家さんって、、さすがです。
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中学生のいじめを扱った作品。
ただ、誰の目線というのでもなく、それぞれの視線で書かれている。
同級生の名倉が学校の木から落ちて亡くなっているのが見つかった。
自殺か事件か…当日、一緒にいた同級生4人が名倉をいじめていたという理由で逮捕・補導される。
2人は13歳で補導、2人は14歳で逮捕という大きな壁がここで示される。
いじめた側の親は本人たちを信じる一方で自分勝手な考えを展開させていく。
誰もが自分のことにしか頭が回らない。
人が亡くなっているという意識が誰からも感じられない危うさ。
真実を語らない4人と同級生も、何かを履き違えている。
真実を隠すのは幼さなのか?
言い様のない不快感が終始まとわりついてくるようだった。
2022.5.8
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中学生の世界をなんと細かく表現してるんだろう。
現実でも中学生のイジメや暴力、自殺がニュースになるのは珍しくない。殺人事件さえ起こる。こんな世界に子どもを放つなんて不安でしょうがない。
その上、無神経で卑怯で他人の神経を逆なでするような行動をとる、そんな人間も存在する。
自分にまともな常識があれば、余計に腹が立って堪えられないかもしれない。
親のしつけ次第で、色んな子どもが育つ。
ただ、大人の世界だってもっと大変だ。
中学校はその入り口。
この話では、
大人の方が自己中心的だと感じた。
我が子を庇いたい想いが強く、その為なら他の人はどうなっても良いような…
人の悪い面が多い話。
これを読んで、こんな世界をどうやって生きぬくか、自分ならどの子の立場になるだろうか、それを考えさせると思う。
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それにしても奥田さんの本は、どうしていつも一気読みになってしまうのか。
ここ最近本より夢中になってたモンハンを放り出しての読書でした。
あらすじだけ読むと、「ソロモンの偽証」に似た感じ?と思いましたが、似てるのはストーリー的には「中学生男子が転落死」、だけでした。
いろんな人の視点で話が進んでいきます。
加害者の母親二人と被害者の母親、この三人の視点も出てきますが、加害者側と被害者側、どちらの心情もよくわかる。
私が同じ立場だったら同じように思い、同じように行動するんじゃないかと思います。
特に名倉くんの母親の気持ちは辛かった。
加害者側は、子供が逮捕されようが相談所に送られようが、生きてるし、これからもまだまだ未来がある。
でも被害者側は、二度と会えないし、未来がそこで閉ざされてしまったんだもん、被害者側の要求はもっともだと、私は思ってしまいます。
そしてまた、私にも中学生だった過去があるので、中学生たちの感情もわかる。
文中に「中学生の三年間は、人生で一番のサバイバル期」というセリフが出てきますが、まさにその通りだと思う。
あの頃は、「人と違う」「仲間がいない」「ノリが悪い」と思われるのが一番怖かった。
元来のお調子者なので、なんとか乗り切ってここまで生きてきましたが。
今中1の娘も、がんばってほしい。
朋美も思っていたけど男子は暴力に直結するのが怖い。
女子も、まさにサバイバルだけどね。
いじめは、「いじめられる方にも原因がある」とかよく言われますが、確かにそうかもしれないけど、それでもいじめちゃダメだと思う。
……って、大人になると当たり前のようにわかるんだけど、子供にはなかなかわからないんだろう。
ましてや、「存在がミステリー」な名倉くんみたいな子がそばにいたら。
いじめに加担しないと、自分に矛先が向くこともおおいにあるわけで。
名倉も名倉だよなあ、と思っちゃうけど、でもでもそれでもダメなんだ。
まあ、大人になってもそれがわからない人がいるから、職場とかママ友同士でもでもいじめが起こるんだからなあ。
最後に余計なことだけど、この中学に一つだけ言いたい。
「イチョウの木、切るか、他の場所に移しましょ!」
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一気読み。人にどんな小説か説明する言葉を考えあぐねていたところに、池上冬樹さんの解説があった。
「暗く激しい万華鏡のような小説」
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人物描写や設定が丁寧で、最後までぐいぐいと一気読みしてしまった。
ちゃま男がもしかして発達障害?って考えながら読むと不憫過ぎて泣けた
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何よりも奥田英朗の書き方が秀逸。
「いじめ」は(誤解を恐れず言えば)おそらく扱いやすいテーマで、多くの小説になっている。
人間の心理を描きやすい。残酷さがついてまわるテーマだから、読み手の心に訴えかけることが容易。
それに加え、この「沈黙の町で」は、視点が親、子供、学校、警察、検察...と複数。多少、尻切れトンボ感はあるもののそれぞれ十分な描写がある。読み手の心を宙に浮かせて、悩ませる。
悪いのは誰?とか犯人は誰?という結末をラストにもって来てはいるものの、焦点はそこではない。読み手も想像できることであったし、分かったところでそれは重要では無かったと悟る。普通のミステリーではない、魅力的な小説だ。
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いじめはもちろんいけないんだけど、いじめられる子にも原因があるなんて言っちゃいけないんだけど、勧善懲悪で割り切れない複雑な話。中学3年間は人生で一番のサバイバル期というセリフに、ものすごく共感。
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中学校でおきた生徒の転落死を軸に、様々な関係者の視点から描かれる群像劇。
奥田英朗の得意技だが、1つの事件を軸にした群像劇は珍しい。
立場が変わると考え方も変わる。彼らの言動には彼らなりの背景がある。当たり前のことだが、その違いが巧みに描かれている。読み応えは十分。