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ヒストリカルシリーズで一番好きかも。
設定もお話も読後感も、ヴィクトリア朝の時代も。
まず、ルルが看板絵描きという仕事についてるのが面白い。自分で編み出した仕事ということだけど、その仕事ぶりが生き生きしてて、女性として自立心もあって、楽しそうで、よかった。
ストーリーは完全にシンデレラストーリーの、ハーレクイン系。
それでも、芯の強い女性キャラがいいし、庶民がいきなり奥方になっても嫌味がないし、どんどん読めちゃう。
素人だとこうはいかない気がする……単なるご都合主義というか。
それでも、自ら変装してお金を稼ぎに行ったりとか、変装(多いな!)して屋敷に潜入したりとか、能動的に動くヒロインなのは、コバルトらしいところ。
ちょっとしあミステリー仕立てというか、冒険譚というか、ただの恋愛オンリーにしてないところも面白い。
新人賞だと、もうちょっと冒険や事件を押し出したほうがよさそうだけど、1話関係のこのシリーズ、ロマン大賞の参考になるよねー!もっと読み込まなくちゃねー!
終盤は、名実ともに奥方になってからの話があり、夫だけでなく、他の家族や、家全体を明るくし、気にかけていくという妻像は、わたしの理想でもあり、読んでいてとても幸福感にひたれました。
ヒーローのアーサーは、ちょっとキャラ弱いかな?とも思うんだけど(執事のミシェルさんが最高だっただけに)、はじまりの印象が最悪で、でも彼の事情を知っていくうちに惹かれるという王道パターンはよくて、謎の刺客に襲われ続けるとかかわいそうだし謎めいてて、読者としても惹かれてしまう。
花衣さんお得意の、男性キャラ視点でのヒロインへの想いがときおり挿入されてて、真摯な想いにときめいたり、キュンときたりで、すごくいい。
わたしも、こういう男性キャラ視点書きたいと思ってるんだけど、なかなかうまくいかないんだよねー!効果的な男性視点、もっとよみこんで勉強したいところ。