紙の本
一つの建物に関わる人々
2019/07/10 23:12
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投稿者:ワガヤ - この投稿者のレビュー一覧を見る
一つの建物に関わる人々の話。建物の雰囲気によく合った文章だと思った。1章の音楽の話と、4章のバーの話がよかった。
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いまいち乗り切れず、読むのに時間がかかってしまった。
冒頭の、明らかに自分を投影した作家さんの登場で、ひいてしまったのが大きい。
でも、いろんな人の會舘への思いが連作短編風に続いて、登場人物がかすかに重なるのは面白い。
最終話の「しあわせの味の記憶」は、とっても好き。
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素晴らしい!!
まだ上巻だけど、本当に素敵な物語を読んでいるんだと実感出来て読みたいのだけど、読み進めるのが勿体無いと思うほど!
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東京に長い間住んでいて、丸の内で働いたこともあるのに、恥ずかしながら「東京會舘」が実在することも知らず、先に概要を調べてから、読み始めた。東京會舘の創業は大正11年。それから皇居のほとりで、関東大震災の時も、太平洋戦争の時も、そして東日本大震災の時も、東京を、東京の人たちを見守って来た。近くに帝国ホテルや帝国劇場などがあり、それに比べると派手さもなく、ただ暖かくお客様を受け入れる姿は、母親みたいだと感じた。そんな東京會舘の1回目の建て替えが行われる旧館までのお話。個人的には、「こんなことも東京會舘が始まりだったの!」と思えることが盛りだくさんで、とても勉強になる1冊。
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ページをめくると鮮やかな景色が目の前に現れるようなそんな作品でした。この本を通していろいろな人の記憶を借り、その時代を見ることが出来てしみじみと楽しめました。
2016.12.20
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読む前は、「なんでこんなに長いんやろ?」と思いましたが、読んでみると、これくらい要りそうでした。
下巻にも期待です!
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辻村さんの新刊を本屋で発見しわくわくしながら購入。早速上巻を読みました。なんて素敵な物語。物語の中に生きている方達と同じくらい、この作品を読みながら私も大切な時間を一緒に過ごせた気持ちです!移り変わる時代背景と共に東京會舘のことをもっと知りたくなります。このまま下巻へ♪
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東京・丸の内にある近代の社交場の草分け、
「東京會舘」を舞台とした短編集の上巻です。
構成は、
戦前、戦中、戦後の3編を挟んで、
開業当時の第一章をプロローグに、
東京五輪の第五章をエピローグとした、
5編からなる連作短編集ではありますが…、
1本の完結した作品としても、よかったです。
(3話と4話で、登場人物が切れている点が、
若干ね、惜しぃところではありましたが…)
どのお話も、
全編に通じたポイントが押さえられていて、
それぞれによかったと思いますが…、
特に、締めくくりとなる最終話(第5章)は、
思わず、ホロリとしてしまぅところもあって、
とてもよかったですね。
この流れで、
現代に舞台を移した下巻も期待できそぅです。
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東京會舘が一人ひとりにとって意味のある場所、建物になっていくことを丁寧に描いた小説。仕事に誇りを持っている人がたくさん出てくるのがいい。
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関東大震災を耐え、戦中戦後を見てきた東京會舘。會舘で出会った多くの従業員やお客様の、気持ちや出来事を数人の「わたし」を通して伝えてくれる。職人の心意気だったり普通の暮らしの中にある小さな幸せだったりを。
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東京會舘は、大好きな場所だった。正確には、日比谷シャンテの中に入っていた、東京會舘のティールームに、かつて私は足繁く通っていたからだ。顔を覚えてもらい、ちょっとしたお話をしたり、随分親切にしていただいた。その思い出から手にとった本。帝国ホテルも好きな場所だけど、この2つが縁ある場所なのだなんて、この本を読むまで知らなかった。同じように通底する思い出の記憶は、どちらも優しい。どんな気持ちでスタッフの方々や、多くのお客さんが関わって、あの美しい場所を育てたのか。そりゃあ、どちらの場所も好きなはずだ。人との関わり方の根っこが同じなのだもの。
パイナップルのお菓子もマロンシャンテリーも好きだった。つややかなオペラも、いつ見ても美味しそうで。小説は、私の記憶を良いふうに上書きするように、とっても素晴らしかった。辻村さんのお作は、どれも話題になるし、素材もとっつきがいい。なのにいつも読み切れないで、図書館に返してしまう。それなのにこれは、すごい勢いで読み終えた。病気がこじれていて、読書どころか延滞だったのだけど…読みだしたら止まらなくて。早くお返しして、次の方に読んで頂こう。
東京會舘自体には、一度帝劇の記者会見に招待されて伺った折、当時のパートナーと大喧嘩をして、気まずく立ち去ってから、行きたいなと思っても、通り過ぎるだけ。相手はもうそんなこと、思い出しもしないだろう。ずっとつらくて行っていない。ガトー・アナナの味を覚えていて、行きたくなったしあの場所とももう一度、ご縁が結べたらと思ったけど、苦いその記憶は、よっぽど私、嫌だったのだろう。思い返すだけで涙が出た。文中に登場するスタッフの人達のように、優しく迎えてもらえる理由もない。
でも、その代わり、この本があったから。いいのだ。やっぱりあの場所も、味わい深いお菓子も、暑かったでしょう。とシャンテでお給仕してもらったアイスティーも、取り戻せた気がする。いつか、もう一度東京會舘に行くことがあったら。今度は泣かずに帰ってくることが出来るかも、しれないではないか。
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(2017/10/6読了)
やっと読む機会となった。上下巻続けて読みたかったので、図書館の順番待ちが落ちつき、貸し出し延長ができるまで待っていた。
紹介文には長編とあるけど、これは連作短編集なのでは?時代は違えど同じ舞台で生まれる優しい物語。
時代物が苦手なので、最初は入り込めなかった。私には祖母や母から聞いた時代。その「時代」を感じるというより、「昔っぽさ」を感じてしまう。まだ全く知らない世代の方が、物語として楽しめるのかも。
(内容)
海外ヴァイオリニストのコンサート、灯火管制下の結婚式、未知のカクテルを編み出すバーテンダー…“會舘の人々”が織り成すドラマが、読者の心に灯をともす。大正十一年、丸の内に誕生した国際社交場・東京會舘。“建物の記憶”が今、甦る。激動の時代を生きた人々を描く。直木賞作家の傑作長編小説!
(目次)
第一章 クライスラーの演奏会 大正十二年(一九二三年)五月四日
第二章 最後のお客様 昭和十五年(一九四〇年)十一月三十日
第三章 灯火管制の下で 昭和十九年(一九四四年)五月二十日
第四章 グッドモーニング、フィズ 昭和二十四年(一九四九年)四月十七日
第五章 しあわせな味の記憶 昭和三十九年(一九六四年)十二月二十日
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東京會舘をめぐる、時代をかけての連作短編集。
冒頭から登場する作家さんは男性だけど、これはきっと辻村さん本人なのね、と思いながら読む。
1章~3章、大正~昭和初期で、戦争の色が濃い。
4章は接収され“アメリカンクラブ・オブ・トーキョー”となっていた時代のバーの名カクテル誕生秘話w
5章は「しあわせな味の記憶」・・・これも秘話ですねーw
これには思わず涙が・・・下巻がますます楽しみに!
ツレと東京で食事をした後に、お散歩してる時たまに通って、なんだろう?きらびやかね?パーティーでもやってるみたいね、とか言いながら見あげたりしてたけど、こんな歴史的な場所だったのね!と慄く・・・これは中に入ってみないと!という思いが募る・・・でも今は休館中なのよね~~、残念!!w
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東京會舘の100年近い歴史における群像連作小説。
上巻は大正12年(1923年)から昭和39年(1964年)の間を五つのエピソードで繋げていて、登場人物が重複することで連作性が強く出ています。
また、歴史的事実を描くのではなく、それに関連した人の物語を描くことで、時代や會舘の歴史を紡いでいるように思いました。
各作品の主人公も、小説家、ボーイ、花嫁、バーテンダー、パティシエと、會舘の内外からの視点で飽きさせません。
ちなみに、東京會舘と関連のある、帝国劇場の観劇(森繁の屋根の上のバイオリン弾き、しかも500回記念公演)、帝国ホテルの挙式(大学の友人で職場の同僚の結婚式)、パレスホテルの宿泊(妻と)はしてましたが、なぜか東京會舘には行ったことがありませんでした。
というこで、下巻が楽しみです。
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第一印象は…「辻村深月っぽくないな」という印象。
連作短編で前話の人物が出てきたりはするけど、他作家の作品でもこういうことはよくあるし、これまでの辻村作品にあったような、複数の話に関わる人物が話の大局に関わってくる感もなく。
淡々と、東京會舘にまつわるエピソードをフィクションを絡めつつ紹介している作品という印象が強くありました。年齢が高めの読者だったらノスタルジーに浸れるのかなー、と思いながら、歴史的な重みが作家の個性を前に出させないほどの重圧に繋がっているのかなー、と思った次第。
個人的に惹かれたところは、酒飲みの私的には今井清氏が登場する話。バー通いしている人にとっては伝説的な人だと思うのですよ。その人が登場する話を読んで「アガる」ことを避けられる訳がありません。
こうした印象が下巻でどのように変化するかが、恐ろしくも楽しい今現在です。