投稿元:
レビューを見る
【由来】
・
【期待したもの】
・スティーブン・ジョンソンは好きなライターなので。
【要約】
・
【ノート】
・「6つ」とはガラス、冷たさ(冷蔵庫とか)、音、清潔、時間、光
【目次】
投稿元:
レビューを見る
●ガラス、冷たさ、音、清潔、時間、光の六つに焦点を当てて、それらの発展や人類の挑戦が人類の歴史にいかに寄与したのかロングタームで概観した本。
投稿元:
レビューを見る
イノベーションの物語。 人ではなく、発想の成長と社会適用の物語。 アイデアって生き物のように成長してくるんですね。社会も変える。 ガラス、音、興味深かった
投稿元:
レビューを見る
ガラスが、冷たさが、清潔さが…どんなイノベーションを経て、どう人の生活を変えてしまったのか…
私たちはその発明がなかった時のことを知らないが、それに価値を認め、その価値を人が安全に安く使用できるように、どんな工夫をしてきた人がいるのかを知れる。
私たちの生活はいくつもの発見と工夫が積み重なってできているのを、心の底から理解することができると思う。
投稿元:
レビューを見る
科学とテクノロジーに対する理解の蓄えが豊富になればなるほど、その蓄えが見えなくなっていくっていう話。
第一章のガラスと第五章の時間が特に面白かった。
ロング・ナウ協会の役員ケヴィン・ケリー
一万年ものあいだ時を刻む時計があったら、どんな世代単位の問題や計画を提起するだろう?
もし時計が一万年動きつづけるのなら、私たちの文明もそうなるようにするべきではないのか?
私たち個人が死んだあともずっと時計が動きつづけるなら、将来世代がやりとげることになるプロジェクトを試みてもいいのでは?
さらに大きな疑問は、ウイルス学者のジョナス・ソークがかつてといかけたとおりだ。「われわれはよい祖先になっているのか?」
投稿元:
レビューを見る
本書で扱う6つの革命は「ガラス」「冷たさ」「音」「清潔」「時間」「光」とユニークなテーマだ。そしてひとりによる大発明ではなく、著者が「ロングズーム」と称する人類史で脈々と流転してきた革命に焦点をあてる。グーテンベルクの印刷技術が眼鏡市場を拡大させ、通信/鉄道の普及が正確な時計を求めたように、ある特定の分野の発明が別の分野の発明を促す「風が吹けば桶屋が儲かる」的な物語が面白い。微積分のニュートンとライプニッツのように、人類は接点のない人物が異なるロケーションで同時多発的に同じ発明をすることがあるが、本書の「隣接可能領域」という説明が非常にしっくりくる。
人類はこれからも様々な革命や進化を遂げていくだろうとワクワクさせてくれる一冊であった。
投稿元:
レビューを見る
表の革命に隠れた裏の革命の話。ガラス・冷たさ・音・清潔・時間・光といった、人類を大きく前に進めたが、あまりフィーチャーされていなかった裏の革命をフィーチャーしている。
詳細は下記。
https://note.com/t06901ky/n/n4250ec81d19f
投稿元:
レビューを見る
現代の生活を形造るテクノロジーの発展史。個々の物の発明では無く、音や、光のように、ジャンルを章ごとに6つ取り上げる。
現代生活は、様々なテクノロジーの上に成り立っているが、それらは非常に当たり前のこととして受け取られているが、それらが無かったことを考えると、単にある事ができない以上に、暮らし方が全く変わっていただろうということがわかる。
例えば時間。何時という話が正確にできなければ、何時間働くという考え方も時給も無い。分のレベルの正確さが測れる装置が無ければ、そもそも分を気にすることはできないし、電車が遅れたか判断することもできない。クロックがなければ、コンピュータ内の同期が取れない。
これらはテクノロジーがあるから出てきたのか、要求があるからテクノロジーが誕生するのか、どちらとも言えないが、お互いを支え合って進み、世界を変える。
特に面白いと思ったのは、冷たさや清潔さといった章で、クーラーが発明されていなければ、人口分布は変わっていた(南部諸州は暑すぎる)というのは、成る程と思った。
基本的に、欧米のことしか考えられていないので、清潔さや明かりでは、中国や日本では随分事情が違うと思った。ルイ13世は7歳まで風呂に入ったことが無かったそうだが、秀吉は有馬温泉が大好きだったんだよね。
投稿元:
レビューを見る
・花と昆虫、花とハチドリといった全く別物の生物でありながら「共進化」により進化の中で花がハチドリの羽のデザインに影響を与えている、この序章からして知的好奇心を駆り立てる内容
・本書では日常的なものとしてあたりまえである6つの事柄=ガラス、冷たさ、音、清潔、時間、光 によるイノベーションを取り上げている
・グーテンベルの活字印刷によって人間は遠視であることに気付き、眼鏡の需要が増加した
・ガラスは眼鏡だけでなく顕微鏡、望遠鏡、鏡、光ファイバー、スマホの画面へとイノベーションが続く
・顕微鏡により細胞をみつけてウィルスの発見につながり、望遠鏡によって宇宙についての知識を得て、鏡によって自己を認識し宗教などの概念にも繋がっていく。そして現代はガラスによるファイバーを活用した光ファイバーによるインターネット普及と、ガラスでできたスマホ画面によるカメラやSNS活用が行われている
・寒い国では無価値の氷を船で熱帯の国へ持ち込むビジネスを試みたが、氷の保存方法など課題があった
・やがて人口冷却の発明で食材を保存することへの発展や、空気を冷やすクーラーの発明により砂漠など熱い国に人を動かすことができるようになった
・また人口冷却のテクノロジーで精子と卵子の凍結保存により世界中に何百万人も人も増やしている
・氷は一見些細な進歩のようにみえて、贅沢品であり必需品ではないが、この2世紀あまりをロングズームでみると新たな命とライフスタイルが生まれ、砂漠に都市が栄えるようになった
・音は古代ネアンデルタール人が洞窟で壁画を見ながら歌や声を反響させて聴いていた
・その音が拡声器やアンプ、音を電気に変えて電話や通信へと発展していく一方、超音波により妊婦の胎児の性別を事前に区別できてしまうことから、男子を強く要望する中国では多くの女子の胎児が中絶させられるなど影を落としている
・私達は普段意識することはないが、清潔さが保たれている都市地下には汚染の川が流れ、デジタル革命に必要なマイクロチップはクリーンルームという綺麗すぎて飲めない水を使用する場所で作られている
・19世紀は時計は一般化したが標準化されておらず、地域毎に時間のずれが著しかった
・マッコウ鯨の脳油を使ったロウソクが富裕層の間で家庭の灯りに使われていた
投稿元:
レビューを見る
水道、電球、クーラーなど、現代の人々が日常生活で何気なく利用している製品や技術の発明の歴史を辿り、それらのイノベーションの背景にある複雑な連鎖の物語を解き明かした一冊。
著者は、我々の生活においては「あたりまえ過ぎて」その背景に想いを馳せることがない領域(ガラス、冷たさ、音、清潔、時間、光)に焦点を当て、「ロングズーム」と名付けたアプローチで分析することにより、それらのイノベーションは、歴史上著名な発明家だけでなく、多種多様な人物同士の関わりから生み出されていることや、例えばガラス加工技術が鏡の普及を通じてルネサンスにつながるなど、アイディアやイノベーションは時に独り歩きして、創り出した本人も予期せぬ社会の変化を起こす場合があることを明らかにしている。
ほとんどのイノベーションは、複数分野を跨る「隣接可能領域の境界」で起こっており、著者は時に「個人や集団がまるでタイムトラベルのような飛躍をする」のは、彼らが天才だからというよりも、自分自身の専門領域とは異なる領域の交点において「異系交配」することに長けていたからだと主張する。数々のイノベーションの連鎖によって今日の社会が成り立っていることが理解できると同時に、誰もがイノベーションを起こす可能性を秘めた存在であるという希望をもたらす良書。
投稿元:
レビューを見る
大変面白かった。
身近なものがいかにして生み出され、我々の生活を変えたか、という基本路線はもちろんのこと、それぞれの発明品が思わぬところで新たな発明を生むさまは圧巻であった、世の中うまくできているなという気持ちである。(例えばガラスによって小さきものを拡大することが可能になった結果、疫病の原因が明らかになり公衆医学が発展するなど、ハチドリ効果というらしい。)
また上記から考えさせられたのは、ある程度原理が把握できる人工的な空間ではなく、自然科学的な事象に触れることでのアハ体験がどんなに重要かということ。コロナでより閉鎖的な自己に親しみのある空間に留まること中で、思考や発想の幅が狭まっているなという焦りはぼんやりと抱いていたが、改めて、未知で予測不能な現象を体験しなくてはという危機感を新たにしました。ありがとうございました。
投稿元:
レビューを見る
我々現代人が生活する中で当たり前に使用している事物についての「歴史」に焦点を当て、「ガラス」「冷たさ」「音」「清潔」「時間」「光」の六項目について掘り下げている。
現代の世界を創り上げたそれぞれの科学技術は単独で発展したものはなく、世界の局面や社会的要請で相互作用を及ぼすことで、ここ数百年に爆発的な発展を遂げた。また、それらの科学技術は無縁と思われるような社会的な変革も引き起こしてきた。
最も注目すべきなのは、それらの発展や変革は「偶然の産物」である事が多いことだ。どこぞの国では、"応用展開が見込めない科学研究にはお金を出しません"などと公言しているが、それはイノベーションの連鎖を断ち切る愚行である。何が世界を変革するか、将来を読むことができないからこそ、意味のあるか分からない科学研究に対しても、温かい目で見守るべきなのではないだろうか?
投稿元:
レビューを見る
一般に当然と思われている世界を新鮮な目で見られる!
私たちが当たり前だと思っている日常生活
しかしそうなるまでには紆余曲折…そして意外な展開から発展した事例がいくつもある
~水道水を飲んで48時間後にコレラで死ぬことをまったく心配しないことがどれほどすごいことか…~
~エアコンのおかげで50年前には耐えられなかった気候の中で快適に暮らしている人がたくさんいる~
そうこんな革命の科学の歴史を紐解く本書
その6つの革命とは
「ガラス」、「冷たさ」、「音」、「清潔」、「時間」、「光」
「ガラス」
レンズの誕生には、別々の数々の事柄の展開が関係している
ヴェネツィアのムラーノで育まれたようなガラス作りの専門技術(なぜムラーノか…というストーリーも面白い、もともとトルコ人が始めたようだ)、
修道士が歳をとってから、巻物を読むために使ったカラスの「球」、印刷機の発明が眼鏡需要の急増につながった
そこから顕微鏡、テレビへと発展が止まらない
この二酸化ケイ素の依存度の高いこと!
そしてガラス工房での溶解をきっかけに二酸化ケイ素がテクノロジーを次々生み出す様は圧巻としかいいようがない
「冷たさ」
ボストンの氷を暑いカリブへ運ぶという大胆な発想から人工冷却へと展開
熱帯地方の人口の増加へつながる
瞬間冷凍の技術や、エアコンの誕生、さらには受精卵の瞬間冷凍と凍結保存など
思いもよらないほど壮大な影響を与えている
地球全体の移住パターンが再編、そして大勢の新生児が産まれたのだ
「清潔」
シカゴ山のない平坦な土地
住むには一見快適な地形であるが、実際は勾配がないため下水道に苦労した地域だ
(ジャッキで町を持ち上げる!というまさかの発想と経緯もある)
1840年代までシカゴの給水設備はひどく、蛇口からの水を飲むのはルシアンルーレットだったという
(脱水予防は一体どうしていたのだろうか…)
流しや浴槽は死んだ魚であふれ、その魚は人間の排泄物に汚染されて死んでいたという負のサイクル…
(1840年とは、結構最近である)
1847年に手術前の手洗い提案した医師が非難されることさえもあった
しかしこの習慣が感染サイクルを断ち切れたのだ(今では当たり前の常識が当時は非常識だった)
そして塩素革命
コロナですっかり有名になった「次亜塩素酸カルシウム」
汚染水の病原菌となる細菌を殺すのに有効であることが発覚される
が、当初はツンとした刺激臭は、逆に疫病を思わせて、受け入れられない
(とても飲みたくなる水ではなかった でしょうねぇ)
薬品による殺菌は受け入れられない
しかしニュージャージーの医者は奮闘
政府当局から受け入れられないため、なんと秘密裡に貯水槽に塩素剤を加えた!
テロリスト扱いを受けたがやがて認められる(報酬なんかいらないからなんとか安全な水を!という立派なお医者様でした)
今では当たり前に使われる次亜塩
コロナ禍でもずいぶんお世話になったし、洗濯の除菌や食器の漂白でもなくてはならない存在だ
が、そんな効果も知らない昔に…あの目がシバシバするほどの刺激臭を飲み水に入れると言われたら…
当時の人が猛反対するのもわからなくはない
「時間」
時間の歴史は「日時計」から始まり、「ガリレオの振り子時計」そして今一番馴染みのある「原子時計であるクォーツ」
恐らく一般常識だと思いますが(常識のないワタクシは知りませんでした)、原子時計の原理は…
石英(クォーツとはもともと石英のこと)などの特定の結晶(石英の透明な結晶が水晶)に圧力をかけると安定した頻度で振動させることができる
ちなみに石英は二酸化珪素(けいそ)からなる鉱物で、石英の透明な結晶が水晶
(クォーツ腕時計は水晶で作った水晶振動子を時間の調速、つまり1秒を1秒に、1分を1分に制御する装置に使用している時計のこと)
時計に正確な時を刻ませるためには一定の周期で振動するものを利用している
ここまでは一般的な時間の概念である
ここからの時間は間隔がとてもとても伸びます
万年単位へワープ!
それは「炭素年代測定法」というものだ
特定の放射性元素の崩壊速度を岩石の年代を特定する時計として使える
地質学的時間を測定することができる
先史時代の人類の移動など多くのことがわかってきた
(近頃この発見による様々なニュースが聞かれるようになった)
「光」
ローレンス・リバモア国立研究所
レーザーを利用して核融合(水素原子の融合)に基づく新しいエネルギーを作っている(「国立点火施設」という核融合施設がある)
簡単に言うと太陽で自然に起こっているプロセスを人工的に行う
そうすることで元手を上回るエネルギーを得ることができる…これはまさに「クリーンで持続可能なエネルギー」
長きにわたり研究と実験を繰り返してきたが数十年にわたる取り組みにもかかわらず、核融合を達成するために必要となるエネルギーの量が、核融合で発生するエネルギー量を大きく上回ってしまうのだ(これでは生産の赤字現象と同じですね)
が、ようやく投入以上のエネルギーを核融合後に得ることができるようになった
最近では2022年にも成功している模様
まだまだ安定的な再現とコスト面に問題がありそうではあるが個人的に原発問題もクリアになるのでは…と非常に期待している
(生きているうちは無理かなぁ、次世代かなぁ あと不穏な情報もあるのでよくわからないのが実情)
科学が得意じゃなくても読み物として十分楽しめる
そして先人たちの閃きと努力とにありがたく頭を下げたくなる本でもある