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第1章 軍艦島―ユートピア/ディストピア
第2章 ノイエ・フランクフルト―銀行都市のもうひとつの顔
第3章 赤いウィーン―政治とユートピア
第4章 アムステルダム―表現至上の建築家たちの思い
第5章 「お値打ち住宅協会」のパリ
第6章 東京―帝都復興、ユートピアとスラム・クリアランス
エピローグ 語り継がれる集合住宅
著者:松葉一清(1953-、神戸市、建築学)
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軍艦島やエイヘン・ハールトの集合住宅は写真含め大変興味深い
一方で、これだけ色々な例を挙げながら、紹介がメインだからなのか、思想的な偏りからなのか分からないが、結局何が言いたかったのかいまいちわからかなったのがもどかしかった
ル・コルビュジエが環境と分離した船を理想としていたというのはなるほどと思った
個人的には
環境から離れ宙に浮いたような工業化された建築や郊外に散在する田園邸宅という現代的な風景は、大量消費と石油エネルギー消費によって実現していると思う
集合住宅が富国強兵、工業製品化、社会主義思想、貧民救済など様々な思惑で発展していったが、そうした力を失ってスラム化していくのか、新しい力を得るて変わっていくのか考えたいと思った
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集合住宅団地は画一的で無味乾燥なものと指弾されるが、果たして本当にそうか。
ユートピアとして作られたかつての集合住宅団地を訪問し、その夢と現実の差を見る本。
軍艦島もそんな一つだ。当時これだけの規模を作ったということに驚くとともに、かなりの密度に詰め込まれたディストピアとしての雰囲気も強い。
廃墟が世界遺産になり、同潤会アパートのような日本の集合住宅象のひとつともいえるようなものはすでに取り壊されている。
本書(のヨーロッパ紀行部分)に通底しているのがハワードの田園都市構想、レッチワースのこと。
翻って我が国は、個の強さ(というか個しか気にしない)によって「場」が作れないのだなあ…