大和が沈んで、長いとも短いとも言える60年を過ぎましたが……。
2009/10/19 10:12
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:analog純 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中学生か、高校生の時、たぶん教科書にこの話の一部が載っていたんじゃないかと記憶するのですが、どちらだったんでしょうね。
僕の記憶の場面では、中学生の時というイメージが強いんですが、でもこの文体はとりあえず和漢混淆文ですかね、そんなに難しくはないですが一応古文で書かれているので、うーん、中学校の教科書にこんなの載るだろうかと思ってしまいます。
この本の最後の方に、「著書目録」というのがついていまして、それを見ると、『少年少女世界のノンフィクション……戦艦大和のさいご』というのがあります。
ひょっとしたらこれかな、と思ったのですが、とにかく、昔、この一部を読んだ記憶がありました。そしてそれは、結構おもしろかったという記憶であります。
あれはいったい、どういった社会の風潮だったのでしょうかね。
昭和30年代の終盤から40年代の始め頃、例えば、漫画にもいわゆる「戦記物」というのがけっこうありましたよね。
ちばてつや『紫電改のタカ』とか『あかつき戦闘隊』園田光慶とか、『ゼロ戦はやと』というのは誰の作品でしたっけ、とにかくそんなのが結構あった気がしますが、戦後も20年近くが過ぎて、あれは戦争ノスタルジーだったのでしょうか。
なんか変な気がしますが、またそれがその後、ピタッとなくなったのはなぜ?
これもどういう社会の風潮だったんでしょうかね。
とにかく、ひょっとしたらそんな一環で、教科書に『戦艦大和ノ最後』があったのかも知れません。
今回、全編読んだのは初めてですから、初読なわけですが、まず文体については、キビキビしていて感心する、というほどでもないなという印象を持ってしまいました。
もちろんかといって下手な文章とは思いませんが、要するに時々ルーティーンな感じの言い回しが見られる、と言ったところでしょうか。
内容的には、これは、2つの部分に分かれますね。
前半は、往路だけの燃料を積んで囮として沖縄方面に出発し、半分も進むや否やで米軍戦闘機の総攻撃の許、大和が沈もうとするところまで。
(今回読んで少しあっけにとられたのですが、昭和20年の4月頃には、呉の軍港から瀬戸内海を西に進み、豊後水道から太平洋に出るや否やあたりになると、もう制海権も制空権も日本にはなかったらしいですね。落ち着いて考えると、さもあらんとは思いますが、だって右手にはまだ九州が見えていあたりで、米軍の潜水艦を側に見つけたりしているわけです。これで本土決戦なんて行っていたのですから、なにをかいわんや、であります。)
「傾斜復旧ノ見込ナシ」
という、傾く大和に対してもはやどうしようもないと言う「副長」のせりふが象徴的ですが、ここまでが前半。
これは、なかなか迫力のある、緊密な、感動的な部分でした。
で、そこからが後半。当然玉砕を予想していた作者がどうして助かるに至ったかという部分で、これは少し考えたら判りますが、なかなか書きにくい部分です。
すでに大量の同僚の死があり、その中を己が生きんがために行動するわけですから、これは書きにくく、結果的にやや思索的・抽象的になっています。この部分をどう評価するのか。それは事実に対する評価ではなく、作品に対する評価として。
なかなか難しい部分であります。
というわけで、僕はこの度この本を、わりと興味深く読みましたが、うーん、それ以上のものではなかったです。それはなぜかと考えると、やはりこれもなかなか難しいものがあります。
大和が沈んで60年を越えました。長いとも言えますし、あるいはまだ短いのかも知れません。
あの戦争の総括が充分に行われているとは言い難いものが、時々現れるのを見聞きするたびに、いろんな思いが行き来する昨今であります。
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昭和20年、必敗の特攻作戦のために呉港を出港した戦艦大和。
海軍少尉として大和に乗艦した吉田満が、出港から沈没、漂流までを綴った。
死を目前にした乗組員たちのエピソードは、「涙なくしては読めない」との評判通り。
中でも自分の死に意味を持たせたい士官たちの議論は、我々にあらゆる問いを突きつける。
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片仮名だし、文語体だし、ものすごく読みにくいのですが、後半はそんなもの気にならなくなります。
みな格好いいのです……生き様が……死に様が……。
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賛否両論あるが、私は読むべき本であると思う。
今、自分のあるこの国がどのような経緯を持って今あるのか。
それを知らずして、今を過去を批判することなどできまい。
そのための一冊である。
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Kodama's review
凄まじいの一言に尽きます。
「進歩ノナイ者ハ決シテ勝タナイ 負ケテ目ザメルコトガ最上ノ道ダ…
…俺タチハソノ先導ニナルノダ 日本ノ新生ニサキガケテ散ル マサニ本望ジャナイカ」(臼淵大尉)
コメントも出来ません。
(06.11.30)
お勧め度
★★★★★
Kodama's review
この時期に2冊の本を本棚より取り出し、再読したうちの1冊。
臼淵大尉の言葉には、何度読んでも心打たれるものがあります。
(09.8.2)
お勧め度
★★★★★
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簡潔にしかも高雅な文体で(カタカナで読みづらい点もあるが)大和の沈没が語られる。書かずにはおれなかった吉田氏の気持ち、そういうことがよくわかる。この本は大和の最期を書いていて、見つめているのは生と死、そして己の存在意義。重いテーマであるし、誰もが考えなければならない問題だと思う。
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戦時中、戦艦大和の乗組員としてその特攻出撃に参加した著者による、記録文学。
硬派な文体で、虚飾や読者への媚びを一切廃し、ただ淡々と自分の体験した大和出撃を描く。途轍もなく貴重な書である。
ここには戦争に対する反省やら、人間の生き方についての哲学めいたものは登場しない。何を読み取るかは読者次第なのだろう。
乗組員の実体験に基づいている為全体的に臨場感あふれるが、特に轟沈から救出されるまでの下りの迫力は凄まじい。
こういった本を読むと、本当に今の我々の世代というものは戦争から遠ざかり、その教訓を実感として感じることがすっかり不可能となっていることを痛感する。
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烏兎の庭 第二部 書評 4.8.05
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto02/bunsho/sangey.html
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題名どおり 戦艦大和の最期。
全部文語体 読みにくいことこの上なし。
しかも諸事情により読まざるを得なくなっただけの読者である私にとっては本当に面倒なだけ、、と 最初は感じていたが・・・
読みなれてくると この文語体が非常に効果的。スピード感 切迫感 今と違う空気 感情がついていかない不安感 とても内容にマッチしてるようなきがしてきた。そして驚くべき乗員達の第三者的な意見の数々、なんだ、、、こんなに分かっていたのか という衝撃。悲惨な状況 それに慣れている人 やはり辟易する人 今と違うようで同じ人。隠されてない当時の人の思いが書いてあったり でも格段驚きはしなかった。そうだよなあ、と思う。著者のめぐらす思いにいちいち反響してしまった。ただその時代にいた人達の叫びがやたらめったら染み入って 何度も涙がこぼれた。感動とは違う、打たれる という感じ。
きっとみんな分かっているのに どうしていまだ解決できないんだろう 大和を沈ませるのに成功した米でさえ そのご復興したたくさんの国でさえ みんなして解決できないこの大問題。誰かを紛糾したところで解決の糸口は見いだせない、この問題が解かれるのを そう長くは待っていられないのに・・・ただ焦りと悲しさを覚える。いろいろ著者には頭が下がる思いもした
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学徒動員で海軍に入隊した著者が、大和の特効出撃と自らの生還を描いたのが本書です。
慣れるまでは全編文語体であり、読みにくいことこの上ありませんでした。しかし読んでいくうちに、文章から異常な緊張感と迫力が伝わってくるようになりました。出撃を命ぜられた時の著者の心情。出撃前夜の若手士官たちの論争。激戦と沈没、そして漂流から生還まで、まさに当事者だから書き得たものといえるでしょう。
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戦艦大和の最期を見届けて生還した若者が終戦直後に記した記録。今更ながら、戦艦大和の最期について知った。片道燃料の”必敗”特攻で沖縄を目指していたのか。敗戦濃色の時期に、折角作った巨艦を使わないで負けるわけにはいかない、どう考えても戦艦対戦闘機の闘いは負けるのが分かっているが、目に物見せて華々しく散ろう、とった作戦だったようだ。全力を尽くさないで負けるわけにはいかないという気持ちも分からないでもないが、戦争はスポーツじゃなんだから・・。負ける戦はしない、ということか。本書は漢文調の文語体で淡々と書かれていて読みづらいが、それがかえって死に向かう戦闘に臨む人々の心の有様を再現している。
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戦争関連の本を読むようになったきっかけの本。
戦艦大和最後の出撃から大和が沈み乗組員が助かるまで、一般の小説に比べたらそう長くはない時間を丁寧に書かれている。
カナ混じりの文語体に慣れず読みにくかったが、それでも一気に読んでしまった。
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戦争で戦艦に乗っていた若者が遺した記録・・・
つまりそのときの若者か書いてた日記みたいなもの。
そもそも戦争がいけないなんて言葉は
戦争を経験してないやつが言っても綺麗事に思えます。
そう思い生きてきたので、この本を開くまで戦争について考えることすらしませんでした。
(考えたことはネタバレなので回避しますが。)
戦争体験者の気持ち、きっとどんなに努力しても私には分かりません。
だから読み終えた今も戦争はいけないなんて言えません。
戦争肯定は決してしませんが。
最後の1ページ、
悔しい悲しい虚しい情けない申し訳ない
こんな感情がほんの数行にすべて詰められている気がしました。
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友人に紹介してもらった.
時代の熱気が伝わってくるとのことだったが, まさにその通り.
死線を越えるとはまさにこういうことをいうのだろう.
「われ果たして己の分を尽くせしか 分に立って死に直面したるか」
こういう問は, 日々自分自身に問い続けねばならない.
それも, 「最善を尽くす」とかいった生温く甘えた馴れ合いの果てにではなく, 「ほんまに限界までやってんのか, 限界を超えるつもりでやってんのか, 今日のお前はどうやねん」っていうぎりぎりのせめぎ合いの中で問わなければならない.
それが「心の切れ味」を産むのだろう.
心に「切れ味」がある人の言葉だから, 自分の身に深く差し込んでくるし, えぐってくる.
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「大和轟沈 一四二三」
昭和20年4月7日12:20
「目標捕捉 イズレモ大編隊 接近シテクル」
戦闘開始から2時間後のことである。
カタカナの文語調の文体には緊張感が漂う。
時系列、日記的な記載により臨場感が増す。
基点(大和)から、話題がぶれないために、時局の把握は容易にできる。(時代背景や軍備)説明はは少ない。
天号作戦は、死出の作戦。出航後の帰還はしない。
緊&緩の繰り返す波、艦上と下船の会話。これは軍隊と家族、戦争(死)と生活(生きる)との対峙なのだろう。会話中に登場する、許婚、父母や、妹があり。
戦闘(攻撃)の描写は息を飲む、目前での死別あり。無言の最期があり。死に直面しての、落ち着きは何を示すのか。
作戦中止のあとでは、生きることを命じられる。海中で漂う間にも、死を願っている。生恥をさらすことはつらい。だが、生還した。
一読ノ価値アリト信ズル