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ストーリーは良かった。特にラストシーンには、甚く胸を打たれた。
翻訳に関してだが、信頼を置いている池央耿氏の訳という事で楽しみにしていたのだけれど、相変わらずよく言葉を知っているなあと唸らされはしたものの、本著では些か衒った言葉遣いが鼻についた。文章もかなり難しく(抑々近代文学であるから当然と言えば当然であるが)、あまり人にお薦めは出来ない。
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「自由、平等、博愛、さもなくば死!」血みどろのフランス革命。当時の空気ってこんな具合だったんだなあ。気が触れてしまったかのような大衆の熱狂が伝わってきてゾッとした。この狂乱の雰囲気を体感しただけでも読む価値があったと思う。もちろんストーリーも面白い。最後のシーンは別格だった。神聖な輝きが溢れていて、なんとも言い難く美しい。個人的には死体盗掘人の男が終盤で心を入れ替えて言ったセリフもたいへん胸に響くものがあった。全体の作りとして個人の心理を追究するという趣向ではないが、大衆の心理を媒介にして、それを作り上げ牽引する側と犠牲になる側の個々人が複雑に交錯する群像劇はとても読み応えがあった。満足。
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18世紀末のロンドン・パリを舞台にした、世界中で読み継がれている傑作であるが、個人的にはそこまで良いとは思えなかった。なぜならば、各人の行動原理がどうにも理解できなかったからである。とくに理解不能なのは名もなき民衆たちで、もちろんフランス革命の熱に浮かされていて正気ではいられないという理窟はわかるのだが、どうにも胸にストンと落ちない。しかも、その民衆が随所に登場して、時には重要な役割さえ果たしている。そのような調子ゆえ、物語じたいも素直には吞み込めず、読み進めることにだいぶ難儀した。また、物語の展開じたいにも理解しがたい部分があって、最終盤のミス・プロスが誤ってマダム・ドファルジュを殺してしまう場面などは、はたして本当に必要であったのかと考え込んでしまう。逆にいえば、フランス革命の狂躁を的確に描いているからこそのある種の「異常」性をうまく表現できているともいえるが、個人の印象としてはやはりそこまでの高い評価はできなかった。
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<登場人物>
チャールズ・ダーネイ→フランス亡命貴族
シドニー・カートン→弁護士(見た目はダーネイとそっくり)。ストライヴァーとは昔からの友人。
ストライヴァー→弁護士。ダーネイ氏の裁判に出席。カートンの主人のような関係の友人。
マネット医師→18年間生きたままバスティーユ牢獄に入れられていた
ルーシー→マネット医師の娘で美人
ロリー→テンソル銀行員。テンソル銀行はロンドンとパリどちらにも属する銀行
ドファルジュ婦人→反革命派の人間をリストアップし、彼らを順に告発して死に追い込む
このうち、ダーネイ、カートン、ストライヴァー全員がルーシーに恋をすることになる
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よかった。読んでよかった。
静かに静かに進んでいく上巻。
正直睡魔に襲われて全然進みませんでした。。
そしてフランス革命。
運命に翻弄される人々を描いた激動の下巻。
下巻で散りばめられたあらゆる伏線が回収されていく様子に
ページを捲る手を止められませんでした。
自由、平等、博愛、さもなくば死!
虐げられ貧しさに耐え自由を勝ち取るために立ち上がった
もう誰にも止められない群衆の熱気が怖いほどに、
読んでいる私にも伝わってくるようでした。
今回もまっさらな気持ちで読みたく、
いつも通りあらすじも帯も全く見ないで読みました。
あぁ主役はあなただったのか…と。
それぞれの結末に、後半はずっと胸がいっぱいで泣けました。
重厚で読み応えのある本でした。
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『二都物語』はディケンズの代表作として、小学生の時から知っていました。でもこんな話だったとは衝撃です。映画も見たことないし。 まさに歴史大河ドラマじゃないですか。なんだってカートンはこんなことを思ってしまったのか。神様の生まれ変わりか?なんだか読み終えてぐっと疲れた。長いのと内容の重いのと。この夫婦、一生彼のことを忘れられないだろうな。あとがきではディケンズの生涯も紹介されていました。苦労人だったんだなぁ、この文豪は。