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有川浩っぽくもあるけど科学的なことをちゃんと分かりやすく書いてくれるのはいつもどおりで、安心して楽しく一気に読めた。
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【津波予測に挑む、若き地震学者たちの物語】3・11後に地震研を辞めた準平は津波予知のプロジェクトに誘われる――。自らの使命を見つめ直す科学者たちの、新たな挑戦を描く。
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津波予知に挑むお話。
装置の仕組みとかは想像しきれず、その辺りふわっと読んでしまいました。その分人間ドラマがぐっときました。
津波について備えるということを、国や研究者や自治体だけの課題ではなく、皆のものにしたいっていう考え、本当にその通りだなぁと思います。
津波だけじゃなく何か災害に遭った時、誰かに逃げろって言われなくても逃げる事ができるだろうかと自問しました。
「だって誰も逃げろなんて言わなかったじゃないか」と後悔する事のないように。
瀬島さんはワールドトリガーの冬島さんのイメージ。
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何かを開発しようとする人たちってエネルギッシュでいいな。ちょっとしたヒントで物事が大きく動くときがくるのだろう。
人との繋がりも必要。刺激が多いほど、自分の目指すものに早く近づけそうな気がする。
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理系大学院出の自分には結構面白かった。
展開的には予想よりも盛り上がりに欠けたけれど、読んで良かったと思うだけのものはありました。やっぱり伊与原さんの作品は好きですね。
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地震学の大きな敗北、と言われた東日本大震災から三年。
様々なジャンルの地震のプロ達が集まり、究極の津波予測に挑む物語。
個性的で世間の常識からはみ出した地震研究者の彼らは、それぞれの知識を武器に自然科学に立ち向かう。
震災後文学は色々読んだきたけれど、こういった理系的手法は初めて。
プロジェクトの仕組み等は専門的で理解はなかなか出来ないけれど、何より説得力がある。
「地震予知は、すぐにどうにかなる話ではない。起きてしまった地震に対してできることも、ほとんどない。だが、津波は違う。地震が発生してから津波が襲ってくるまで、逃げる時間が十分ある。まずきちんと見張るべきなのは、津波だ」
「我々科学研究者が問うべきは、人々がなぜ逃げなかったのか、ではない。なぜあの津波の姿を正しくつかめなかったのか、ということだ。科学の領分はまさにそこにある」
「僕たちには今、やるべきことがある。津波から人々を守るために、やれることがあります。やれることがあったのに、それをやらなかったとなれば、我々はもう終わりです」
この津波観測システムにはモデルが存在するという。
より正確なシステムが早く完成されることを祈りたい。
各々の得意分野を駆使したプロ集団のプロ意識と心意気に、読んでいる私もアツくなった。
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いや~面白かった。
3.11の反省から津波のリアルタイム警報システムの構築に取り組む、はみ出し者の寄せ集めチームの話です。
こんなに面白いのに何故あまり話題にならないのかと思い、他の人のレビューを見ていたら「予定調和的」という表現が有りました。まあ、確かにそんなところもあります。登場人物のキャラは有川浩っぽいし、ボスとはみ出し者の戦いは池井戸さん的かな。でも私にはそれらは欠点よりも長所のように思えるのです。
ちなみに『月まで3キロ』で話題になった伊与原さん、地震なども取り扱う地球惑星物理学で東大大学院を出たガチガチの理系さんです。しかも小難しい科学を判りやすく説明することが非常にうまい方です。
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この読み心地の良さ。
展開としては王道っていうのでしょうかね、でも爽快です。
また、過去に読んだ2作品と同様ですが、科学技術に関する専門的なことやその世界のことなどが無理なく適度にストーリーに溶け込んでいてよいです。決して簡単じゃない内容のはずなんだけど、とても読みやすくて、イメージしながら読めます(読めた気になれます、かな?(笑))。
さ、次はどれを読もうかな。
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SFだと思う。
震災といえば東日本大震災なんだと再認識。
地震、津波を扱った物語。
最初、表紙の人物が誰が誰だか分からなかった、主人公若いんだな、あと武智さんも若い。
ホリエモンがモデルの人物は良い人そう。
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初 伊与原新 作品。
東日本大震災で発生した津波。正確な津波情報を研究するアウトロー集団の奮闘記。
東日本大震災の発生前後、余震・前震と呼ばれる地震が多数発生している。これは、結果的に3/11に最大の地震が発生したから余震になったに過ぎない。それぞれの地震が発生した段階では、どれが”本震”か特定することは誰が断言できたのでしょうか?
そして、津波もしかり。私たちは、地震予知は時間がかかるにしても津波予測は明確だと、信じていた。誰も観測していなかったとは。そして、これが、災害大国である日本の現実である。
きっと、現在のCOVID-19にしても、線状降水帯による大雨にしても、東日本大震災にしても、すべて、”想定外”で片づけられてしまうのであろう。あるいは、”未曾有”として。
やっぱり、やりたいことをやるには、偉くならなきゃ難しいかぁ。最後の決断は、会長がまだ研究者だったからかもしれない。もし、政治家とか官僚ならば、結論は違っていたに違いない。
フィクションのため、どこまで技術が進んでいるのかは不明ですが、類似の開発が進行中とのことで、今後、”想定外”の被害となる前に設営されることを心から祈る。
次の津波による犠牲者が出る前に。
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★
【感想】
・ともあれ心地よく読み終えられました。主人公たちにとってある意味「都合よく?」発生する事態がクライマックスになるのだが、まあお話としては当然かなとは思う。
・津波予知、対策は、この作品のようなかたちになるといあなあと思った。
・この作品が書かれてからさらに数年経つが、いまだに東日本大震災の痛みは感じている。阪神・淡路大震災だっていまでも記憶は近く、まだ痛い。
・読み終えたちょうどいま、地震が来た。
【一行目】
よく誤解されていることだが、水は無色透明ではない。
【内容】
・武智は比較的凡庸な研究者といえる準平をなぜ(それも最初に)引き入れたのか?
・武智と瀬島、それぞれの活動はどこかでリンクするのか?
・チームには金がなくなかなか進めない。
・地震・津波ギョーカイからの横やりもなかなかうるさい。
・海でなにかが進行中。
▼簡単なメモ
【天木恒彦/あまき・つねひこ】東都大学地震研究所の副所長。「地震村」の大物。気に入らない者への妨害もわりとマメ。
【池上】準平と同年代の実験屋。MEIの地層サンプル「コア」の保管と分析を担う高知海洋研究センターにいる。
【市川直紀/いちかわ・なおき】かつて高校生の頃MEIの一般公開やサイエンススクールに来ていた青年。武智が指導していた。今は運送会社で働いている。東日本大震災で両親を亡くした。
【ウミツバメ】武智と瀬島の研究を合体させた調査機器。波力だけでメンテナンスが必要にならないかぎりずっと自律航行できる。
【川元律子/かわもと・りつこ】MEIの理事。予算面も担当している。文部科学省の元官僚。
【行田準平/こうだ・じゅんぺい】→準平
【小森】行田の恩師。なにかと面倒みてくれた。退官して禁煙に成功。地元の山梨に戻って畑仕事と登山にせいを出している。
【地震本部】政府の「地震調査研究本部」。地震研究のすべてを取り仕切っている。天木はそこでの発言権が強い。
【準平/じゅんぺい】主人公。元地震学者。凡庸で地味な実験屋だったが、地震研究所の広報を担い、東日本大震災のテレビ解説もしていてわりと顔を知られている。その後研究生活をやめた。どこか屈折している。武智はなぜ彼を最初に引き込もうとしたのか? そのバランス感覚と不器用さ素直にが人と人を繋ぎプロジェクトの推進剤になると考えたからかなあと思うが?
【瀬島】四十近くでボスドクだが、もともとは超エリート。いまはベンチャーを立ち上げようとして、準平を誘う。《すさんでるやつは、調子がいいだけのやつより、信用できるような気がしたわけよ》p.53。鎌倉のお金持ちの息子。サーフィンが好きでサーフィンを基準に、いい海のある大学を選んできた。で父親の遺したサーフショップを根城にしている。「どんな研究だって、やってみれば面白いもんだぜ?」p.90。大物や。《瀬島は、海というものが示しうるすべての形を、音を、匂いを、温度を、そして、あらゆる青さを――ただ知りたいと願っているだけなのだ。》p.189
【専門】瀬島いわく《人間てのは、自分のやってることに特別な意味を持たせたがるものだか��な》p.91
【ダイナモ津波計】武智が実用化したい観測機器。命名は準平。
【武智要介/たけち・ようすけ】MEIの上席研究員。地球物理学者。マントルやコアが研究対象だが今は津波に意識がある。信条は「できる者はすればいい。できない者は――」(中略)「なんとかすればいい」p.105
【谷】準平の先輩。理論屋。図太く顔が広い。「やばい」が口ぐせ。あんまり信用はでけへんけど憎めない人物ではある。
【テラ・シミュレータ】MEIが運用するスーパーコンピュータ。李が使いたがっている。
【照井/てるい】観測装置をつくっている技師。キックボードで団地内を走り回っている七十に近いと思われる男性。かつて「ゴッドハンド」と呼ばれた凄腕技官。
【二宮汐理/にのみや・しおり】古地震の研究者。東日本大震災は想定外ではないと言う。また、千島海溝の危険性を訴えた。すぐ怒り誰にでも噛みつく。天木にもケンカを売った(買った?)。準平は、彼女は自分自身に怒っているのではないかと感じた。
【始まり】武智いわく《世の中にあるたいていのものは、誰かが一人で始めたことだ。》p.25。《思いついたからには、それをやるべきだ。やるべきだと思った人間が、腰を上げるべきだ》p.26
【阪神・淡路大震災】準平が地震研究を志すきっかけになった。地震名は「兵庫県南部地震」だったかな。関西圏の人間はなんとなく大地震をひとごとに感じていたが、研究者たちはメディア等を通して、関西で大地震が発生する可能性を以前から示唆していたことは覚えている。関心はあったので意識にはとどめつつ真剣に受けとめていなかったのは僕じしんではある。いつ起こるかという予知はまあでけへんと思ってたけど、研究者たちやはやれることはやってたなあと事後に思った。一部の人が「役立たず!」とか「何をしてたんや!」とか非難していたのは妥当と思えなかった。
【東日本大震災】準平が研究者を辞めるきっかけになった。地震名は「東北地方太平洋沖地震」。
【三宅】二宮の先輩。専門は火山学。
【明神新島】大噴火を始めた海底火山。この物語の最初からちょろちょろ話題にはなっていたがだんだん剣呑なことになってゆく。
【MEI/めい】「海洋地球総合研究所」の略。横須賀港に面している。
【メンバー】リーダーの武智。リアルタイム予測のためのシミュレーションが李。技術全般をカバーする照井。観測網の展開をどうするか古地震の立場から戦略を立てる二宮。遊軍というか雑用係の準平。
【李英秋/り・ひであき】数値シミュレーションが専門の博士課程一年。本人は論文を書いたりするのが嫌いらしいがその結果を教官が論文にまとめたら「サイエンス」や「ネイチャー」で採用された。
【若松史也/わかまつ・ふみや】IT長者。刑務所に放り込まれしっつ村ごと沈んだといわれる「黒田郡/くろだごおり」の調査を趣味で? やっている。「組織や制度に絶望したとしても、人に期待することだけはあきらめるな」p.301
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東日本大震災後、はみ出し研究者チームが新しい津波監視システムを作ろうと奔走する物語。
3.11で傷ついたのは被災者だけではないことを改めて感じる。
助けられなかった人が心に抱く後悔が、これからの災害から人を守る方向へのパワーになっていて、楽しく読めた。
MEI(海洋地球総合研究所)からの妨害、うまくいかない資金集め、運用試験中に起きる漁協とのトラブル。
あまりぐいぐい引き込むドラマティックな描き方ではないが、津波計や火山と津波について、そして新しい津波監視システムについてなど、分かりやすくさらさらと読ませてくれて、そこがこの作者の良さだなぁと思う。
国や研究者に守ってもらう、言われたからやる、では本当の防災は根付いていかない。
この新システムを、普通の人々の手で守り続けていくことにこだわる主人公も良いと思った。
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津波予知。組織からはみ出した人達が、東日本大震災のような惨事を二度と起こさないようそれぞれの能力を発揮して奮闘する物語。実際に同じようなプロジェクトを進めている人達がいると思えただけでも、この小説を読んで良かったと思いました。
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東日本大震災から三年。
かつて地震研究所で広報を担当していた準平は、学界の“プリンス”武智要介に、ある計画に誘われる。
準平は、無謀だと思いつつも、武智の強い決意に推されてこの計画に参加することに。
他にも、それぞれの思いを抱えた〈チーム武智〉の個性豊かなメンバーたち。
彼らは、次々と立ちはだかる困難を乗り越え、プロジェクトを成功させることができるのか。
(アマゾンより引用)